タンパク質
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タンパク質の栄養価
タンパク質の栄養素としての価値は、それに含まれる必須アミノ酸の構成比率によって優劣がある。これを評価する基準としては、動物実験によって求める生物価とタンパク質正味利用率、化学的に、タンパク質を構成するアミノ酸の比率から算出するプロテインスコア、ケミカルスコア、アミノ酸スコアがある。
化学的に算定する後三者の方法は、算定方法に細かな違いがあるが、最終的には必須アミノ酸各々について標品における含量と標準とされる一覧とを比較し、その中で最も不足しているアミノ酸(これを第一制限アミノ酸という)について、標準との比率を百分率で示すもの。この際、数値のみだけでなく、必ず第一制限アミノ酸の種類を付記することになっている。
生物価 (BV)
生物価 (BV) とは、吸収されたタンパク質の窒素量に対して,体に保持された窒素量の比を百分率で示した値のこと。内因性の糞尿への排泄量を補正する。
生物価 (BV) = 体内保留窒素量/吸収窒素量×100 (%)
という式で表される。
正味タンパク質利用率 (NPU)
正味タンパク質利用率 (NPU) とは、摂取したタンパク質(窒素)のどれだけの割合が体内でタンパク質(窒素)として保持されたかを示した値のこと。
正味タンパク質利用率 (NPU) = 体内保留窒素/摂取窒素×100 = 生物価×消化吸収率 (%)
という式で表される。
特殊なタンパク質
イエローストーン国立公園では、熱水の中で生育する細菌が発見されている。このような高温環境で生きられる生物のタンパク質にはどのような特徴があるか、全貌は解明されておらず、外見上も他のタンパク質と差は認められない。分析の結果、熱に弱いアミノ酸(アスパラギン・システイン・メチオニンなど)の含有量が比較的少なく、逆にプロリンが多く含まれていることが判明した[37]。
逆に低温で機能を失わないタンパク質は不凍タンパク質と呼ばれ、魚類から発見され1969年に単離に成功した。このタンパク質が低温で活動できるメカニズムは、氷晶核が形成されにくい構造を持つためと考えられる[37]。
複合タンパク質
タンパク質には、アミノ酸配列のヌクレオチドだけで構成される単純タンパク質と、その外側にアミノ酸以外の装飾をもつ複合タンパク質がある。複合タンパク質が纏う装飾には、主に糖とリン酸がある[38]。
タンパク質が付随させる糖は単糖からなる糖鎖であり、アミノ酸アスパラギンの残基に、N-アセチルグルコサミンとマンノースが繋がったコア構造という土台の先に、分岐も含め多様な構造をつくる。ただし、このようにタンパク質に接続する単糖の種類は9種[39]しか見つかっていない。例えば赤血球の細胞膜をつくるタンパク質に繋がる糖鎖の種類が、ABO式血液型を決定づけている[38]。この糖鎖は、その種類ごとに異なるレクチンという他のタンパク質があり、この組み合わせで情報交換を行う役割を担っている[38]。
アミノ酸のトレオニンやチロシンなどが持つ水酸基残基と結びつくリン酸は、アデノシン三リン酸 (ATP) から供給され、リン酸を放出したATPはアデノシン二リン酸になる。リン酸化はタンパク質の働きを活性化したり、逆に抑制する働きを持つ。ひとつのタンパク質の活性化は次のタンパク質のリン酸化を促し、これが連続することで多岐にわたる情報伝達が行われる。この様子は「リン酸化カスケード」と呼ばれる[38]。
注釈
出典
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