インド・ヨーロッパ語とは? わかりやすく解説

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インド・ヨーロッパ語族

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 13:24 UTC 版)

インド・ヨーロッパ語族(インド・ヨーロッパごぞく)は、インドからヨーロッパにかけた地域に由来する語族である[1][2][3]


注釈

  1. ^ この語族に属しないヨーロッパの言語に、スペイン・バスク地方のバスク語フィンランド語ハンガリー語などウラル語族フィン・ウゴル語派に属する言語、ジョージア語などのコーカサス諸語などがある[4]
  2. ^ イギリスでは、ジェームズ・ミルによる『英領インド史』によってインドや広くアジアの文化を文化と認めない、改良の対象である野蛮とする見方が方向づけられた。功利主義と結びついた見方は植民地経営に都合が良く、ジョーンズのような知印派は評価されなかったという背景が指摘されている[12]
  3. ^ ヤングは新造語との断りを記していないという[3]。また、これがイギリス以外に広まるのに20年ほどかかり、1836年にフランス語訳indo-européenが現れる[18]
  4. ^ 後者については、タマズ・ガムクレリッゼ英語版ヴャチェスラフ・イヴァノフ英語版が1973年の著作で印欧祖語にライオンやヒョウの語彙が含まれると主張している[30]
  5. ^ 比較言語学において、語の前のアステリスク*はそれが再建または推定された語形であることを意味する。アンソニー上, p.29、宇賀治2000, p.4. ポズナー1982, p.50など
  6. ^ A.Lehmanは、前アナトリア語が分岐したのちに印欧祖語に起こった変化を2001年の論文において10種類提示している[52]
  7. ^ 伊藤は紀元前240年から紀元前81年までの文語ラテン語を「古代ラテン語」としている[59]
  8. ^ 論者によって俗ラテン語の定義が異なるが、いずれにせよ一定の輪郭を持つことがポズナー二章で論じられている。
  9. ^ ポーランドは10世紀後半のピャスト朝で西方教会キリスト教を受容していて影響が及ばなかった。クロアチアはハンガリーの支配下におかれたため西方教会キリスト教に従い影響が及ばなかった[105]
  10. ^ ただし、キエフ・ルーシにおいては11世紀初頭の時点で古代教会スラヴ語と現地スラヴ語との混交が起こっており、古代ロシア文語と見なされるという[106]
  11. ^ ブルガリア語とマケドニア語は格変化を失っている[110]
  12. ^ ブルガリア語には伝聞法があり、トルコ語に由来するとされる[113]
  13. ^ ロシア語は現在時制完了体を用いない[114]。スロヴェニア語を除く南語群とブルガリア語がアオリストを残す[115]
  14. ^ 「多神教信仰者(ヴェーダの宗教)の地」をカーフィルスタンと呼んだが、イスラーム受容に伴い差別的な意味となった。現在ではヌーリスターン語派と呼ぶ。
  15. ^ 独特な字形から中性ペルシア文字やアラム文字の影響などの推測がなされた。現在では、ギリシアの影響を隠すために意図的な創作がなされたものだと考えられている[119]
  16. ^ 生物の性を区別するあり方としては、Աքաղաղ雄鶏/Հաւ雌鶏, Եղբայր兄弟/քոյր姉妹など単語から異なっている例、動物の名詞に雌や女を表すէգやմատակを添加する例(առիւծ:ライオン、էգ առիւծ または մատակ առիւծ:雌ライオン など)、人間の属性を表す語に女性形語尾 -ուհի をつける例(Երգիչ:歌手、Երգչուհի:女性歌手)がある[125]

出典

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