フィン・ウゴル語派とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 方式・規則 > 主義・方式 > 言語 > ロシアの言語 > フィン・ウゴル語派の意味・解説 

フィン‐ウゴル‐ごは【フィンウゴル語派】


フィン・ウゴル語派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 06:38 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
フィン・ウゴル語派
話される地域 ロシア西部、フィンランドエストニアスカンジナビア
言語系統 ウラル語族
  • フィン・ウゴル語派
祖語 フィン・ウゴル語派
下位言語
ISO 639-5 fiu
 

フィン・ウゴル語派(フィン・ウゴルごは、Finno-Ugric languages)は、ウラル語族に属する言語群。

ハンガリー語フィンランド語エストニア語などを含む。このほかにロシア連邦などに分布する多数の少数民族の言語を含むが、すでに絶滅した言語、現在危機に瀕する言語も多い。話者人口は2300万人程度。

シベリア北部のサモエード語派とともにウラル語族を構成する。しかし、話者の人種という面から見ると、サモイェード語派の話者がほぼモンゴロイドであるのに対してフィン・ウゴル語派の話者モンゴロイドコーカソイドの混合であり、特にバルト・フィン諸語話者は完全なコーカソイドに近い。

起源

故地はウラル山脈より西のロシア中央部・北部にあるサンクトペテルブルク付近のイングリア(Ingria, インゲルマンラント)とする説、ウラル山脈中南部とする説[1]、さらに東方のアルタイサヤン地域とする説などがあり、語族としての形成は紀元前3千年紀にさかのぼると伝えられる。再建された祖語にはインド・イラン語派からの借用語(「蜜蜂」「蜂蜜」など)も含み、インド・イラン系民族(スキタイなど)がユーラシア・ステップに住んでいた時代のものと思われる。

スラヴ語派住民が現在のロシアに広がる前、これらの言語はすでにウラル山脈からバルト海に至る範囲に広がっていたと考えられる。これは新石器時代櫛目文土器文化(Comb Ceramic Culture)の範囲に重なり、これが紀元前4200年から2000年頃のフィン・ウゴル語派の文化に対応すると考えられる。フィン・ウゴル語派は、ウゴル諸語(ウラル山脈東側のユグラ地方[現在のハンティ・マンシ自治管区]の言語と、ハンガリー語からなる)と、フィン・ペルム諸語(ロシアのウラル以西、フィンランド・バルト海沿岸まで)に分けられ、フィン・ペルム諸語はさらに多数に分けられる。ウゴル(: Ugric languages)とは、マンシ族の旧名 "Voguls" に由来し、地名「ユグラ (Yugra」とともに「ハンガリー」(: Hungary)と語源的に関係があるとの説もある。

バルト・フィン諸語(フィンランド語、エストニア語など)の語彙にはその他のフィン・ウゴル語派と共通しないものがあり、古い基層言語バルト語派と共通するかもしれない)に基づく可能性もある。また特にサーミ語(ラップ語)に関しては、祖先は別の言語を話しており、のちにフィン・ウゴル語を受け入れたという可能性が高い。

特徴

約200の共通基礎語彙が明らかにされており、親族名称や人体語彙のほか、漁労、狩猟・牧畜(特にトナカイ)、技術・建築、天候などの語彙がある。構造的にも類似の性質が多く、これらも祖語にさかのぼると考えられる。

母音調和がある。格変化は日本語の格助詞に似た接尾辞によって表され、は種類が多い(少なくともフィンランド語は15格、ハンガリー語は18格)。動詞主語人称によって(一部言語では目的語によっても)活用する。文法的なはなく、代名詞にも彼と彼女の区別はない。一般に所有形容詞がなく、その代わりに被所有物名詞に所有者の人称接尾辞をつけ、また一部の言語では人称代名詞の属格で表す。語順は基本的にはSOV型だったかもしれないが、フィンランド語ではSVO型が普通となっており、ハンガリー語では語順で主題・評言関係を表すため SOV、SVO、VOS 等の語順が存在し、一見、決まった語順がないようにすら見える。

分類

以下のような言語を含む。ウラル語族の中でのフィン・ウゴル語派という分類についてはほぼ意見が一致している。しかし、下位諸語の間の分類については確定していない。

各諸語ごとの系統関係はコンセンサスが得られていないが、以下のような説がある。

脚注

  1. ^ フィン・ウゴル語派のうちウゴル諸語オビ・ウゴル諸語)に属するマジャル人ハンガリー人)の故地がウラル山脈中南部の草原地帯とする。

「フィン・ウゴル語派」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フィン・ウゴル語派」の関連用語

フィン・ウゴル語派のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フィン・ウゴル語派のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフィン・ウゴル語派 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS