住宅 住宅の概要

住宅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 02:54 UTC 版)

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日本の一般的な住宅
有機的なデザインのThe Turtle House
Iford Manorの裏庭はHarold Petoによる設計。

ひとつの敷地に一世帯が居住する「一戸建(て)」(戸建(て)、個人住宅とも言う。建築基準法においては専用住宅)と、複数世帯が居住する「集合住宅」(建築基準法においては共同住宅)とに大別される。また、自己が所有し居住する持ち家と、他人が所有する住宅を借りて居住する貸家貸間)・賃貸住宅に分けることもできる。いずれの形態でも自身の住む住宅を指して自宅と称することができる。

住宅の形には、社会の変化に応じて流行もあり、和風住宅、洋風、欧風住宅といった呼び名があり、また、高齢者在宅ケアなどのための同居する人が増えるようになり、二世帯、三世帯住宅や、高齢者住宅、バリアフリー住宅といった呼称も出てきた。

歴史

遙かな古代には人類は採集のために移動生活を行ってきたが、ごく初期には洞窟など居住に適した地形を見つけ暮らしていたものが、やがてキャンプ地で手に入るものを寄せ集めて風雨をしのぐための仮の建築物をつくるようになった[1]。これが住宅の起こりである。この時期の住居は移動をする関係上テントや掘立小屋程度のものだったが、やがて定住を行うようになるとともに、固定し容易に移動できない形でのを営むようになった。

人類は定住するに当たり、まずはその近辺に豊富にある材料を寄せ集めて住宅を作った。こうして近隣で豊富に取れる材料を使って住宅を建設することは近代までは一般的であり、このため世界各地でその風土に合わせた様々な材料の住宅が存在するようになった[2]。土や粘土は主要な建築材料のひとつであり[3]、中東などの乾燥地においては、水に弱いものの簡単につくれ断熱性に優れる日干し煉瓦が古代より主要な建築材料となっていた。一方高温多湿な熱帯モンスーン地帯においては、軽量で風通しがよく雨に強い木材を使用することが一般的だった。高温湿潤地域においては、も主要な建築材料だった[4]湿地帯においては外装材にが多用された[5]石材はどの文明でも使用されたものの、煉瓦や木材が使用できる地域においてはそちらが主となることが多かった。特殊な建材としては、北極圏イヌイットは冬季の住居にのブロックを用い、イグルーを建造していた[6]

また、移動の多い遊牧民などは動物の毛や皮などを使ったテントを宿営地に建てたが、これも住居の一種である。また地上に家屋を構えるのではなく、乾燥地においては地面を掘り下げ、地下に穴を掘って住居を建設することも近代までは行われていた。黄土高原における窯洞カッパドキアカイマクルの地下都市[7]チュニジアの旧マトマタなどがよく知られた例である。

住宅建設の技術が進むにつれて、その形状もその土地に合うように変化を遂げていった。寒冷な地域においては囲炉裏などといった暖を取るための設備が重視され、多湿地域においては湿気を避けるためにしばしば建物は高床式となった。また乾燥地域では降雨に対応する必要がないため屋根は平らなものとなる一方、多雨地域では雨を流すよう屋根に角度がつけられていることがほとんどである[8]。他者の襲撃が絶えなかった地域においては住居は防御力を重視して建造され、西アフリカの環状住居[9]や中国南部の土楼[10]のようにいくつもの住居をつないだ小要塞を建造したり、またニューギニア島の一部民族のように樹上住居を建設した民族も存在する[11]

こうしたさまざまな素材・様式の住居は居住者の行動を規定し、生活様式に大きな影響を与えた。近代以降になると、コンクリートなどの新しい建築材料が登場するようになった。また産業革命以後、都市への急速な人口集中によってスラムなど不良住宅問題が発生し、いくつかの対策が検討されるようになった。こうした対策の一つとして、1898年にはエベネザー・ハワード明日-真の改革にいたる平和な道によって自然と共存し自立した都市近郊の小都市論、いわゆる田園都市構想を提唱した[12]。また衛生面における住宅改善の必要性は、ル・コルビュジエらに影響を与えた[13]。貧困のため満足な設備のない住居に居住する人口は現代においても非常に多く、特に途上国では大規模な不法居住地区にスラムが広がっている都市も多い[14]

都市への人口集中は地価の高騰をもたらし、大都市圏では一戸建ての率が目立って減少し、住宅は集合化・高層化の道をたどった。また住宅が都市のはるか遠方にまで連なるようになり、通勤時間の増大を招くこととなった[15]

機能

住宅にはさまざまな機能が存在するが、最も重要なものは外部の危険から居住者を守る機能である。この危険は、寒さや暑さなどといった日常的なものから、台風などの突発的な自然災害に至るまで多岐にわたる。これと同様に、居住者が快適に生活を営むことのできる機能も重要である。居住者は住宅内部において睡眠を取り、食事をし、家庭を持っている場合は育児や団らん、介護などの家庭生活を行い、また趣味や休息などを含む日常生活の大きな部分を住宅内において過ごす[16]

住宅は人の生活の拠点であり、居住者は住宅内部で長い時間を過ごすため、住宅の質は人の健康に大きな影響を与える。住宅建設の際、日照や採光、通風などを考慮し、湿度や空気のよどみなどを避けることが健康的な生活につながる[17]。階段や段差といった障害で転倒するなど、住宅内での事故も多く[18]、この対策として障害を減らし高齢者でも安全に暮らせるバリアフリー住宅の建設も増加傾向にある。


  1. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p61 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
  2. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p8 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  3. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p24 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  4. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p34 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  5. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p36 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  6. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p122-123 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  7. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p63 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
  8. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p62-63 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
  9. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p110-111 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  10. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p92-93 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  11. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p160-161 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  12. ^ 「日用品の文化誌」p5 柏木博 岩波書店 1999年6月21日第1刷
  13. ^ 「日用品の文化誌」p6-7 柏木博 岩波書店 1999年6月21日第1刷
  14. ^ 「ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい」p172-173 ジョン・メイ著 藤井明日本語版監修 本間健太郎訳 柊風舎 2013年6月20日第1刷
  15. ^ 「新版 データで読む家族問題」p76-77 湯沢雍彦・宮本みち子 NHKブックス 2008年11月30日第1刷発行
  16. ^ 「住居学」p74 後藤久・沖田富美子編著 朝倉書店 2003年6月1日初版第1刷
  17. ^ 「居住福祉」p66-67 早川和男 岩波新書 1997年10月20日第1刷発行
  18. ^ 「居住福祉」p61-63 早川和男 岩波新書 1997年10月20日第1刷発行
  19. ^ Richard Webster. Feng Shui in the Garden. Llewellyn Worldwide. p. 47. ISBN 1-56718-793-5. https://books.google.com/books?id=nM_dmNdgCWMC. "The back garden is usually more private and casual" 
  20. ^ Jules N. Pretty. The Earth Only Endures: On Reconnecting With Nature and Our Place in It. Earthscan. pp. 36. ISBN 1-84407-432-3. https://books.google.com/books?id=LTDpl_bgh8wC 
  21. ^ Alison Ravetz, Richard Turkington (1995), “Gardens and External Space”, The Place of Home: English domestic environments, 1914-2000, Taylor & Francis, pp. 176–199, ISBN 978-0-419-17980-1 


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