サイコフレーム
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サイコフレームで作られた道具
サイコフレーム試料
劇場用アニメおよび小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する。事前通知なしでアナハイム側がνガンダムに搭載した新素材サイコフレームをテストするため、ロンド・ベルに合流したチェーン・アギの元へνガンダムの開発担当オクトバー・サランから送られたT字型の金属。
これをノーマルスーツの腰元に装着したチェーンは、ラー・カイラムの機銃を手動で操作してレズン・シュナイダーが操縦するギラ・ドーガの激しい機動を読んで撃墜、α・アジールのビームに対してバリアーを貼るなど不思議な現象が起こった。劇中終盤、少しでもサイコフレームが多い方がアムロが有利になるとの理由で、チェーンが戦場に届けようとしたが彼女は機体を撃破され戦死、チェーンの元から離れたサイコフレーム試料は戦場を彷徨うことになった。しかし、チェーンが残したサイコフレームの試料片が契機となり、戦場に集う人々の意識が繋ぎ合わされ、ついに地球に落下しつつあるアクシズを引き戻すほどの力を発揮した[30]。
小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 中篇』では、サイコ・フレーム試料をテストしている様子が描写された。疲労テストデータは一万時間までは保証されていたが、これを見たアムロは「これでは俺を殺す気だ、もっと長い時間のデータが要る」とオクトバーに言った。倍加強度は80Gまでは確認済みで上限は120G、試料によって多少のバラツキが観察されていた。これに対しアムロは最大値で揃えるように注文を出し、オクトバーは焼き込みの時の重力制御が甘かったのだろうと考察し、脳波変換のアクセス・チップの並べ方を詰めて改善する事を提案した[31]。サイコフレームの試料は、νガンダムに採用するためモビルスーツ二、三機分のテストを行うなど大量に作られていた。アムロはサイコフレーム技術が、軍以外に使ってはいけない性格のものだと感じ、一技術者レベルで取り扱っていいものではないと評した。オクトバー曰く、サイコフレームは全社的に核兵器と同じレベルでの機密管理を行っており、サイコフレーム試料も封印して破棄を行っている。だがこれに不信感を持ったアムロは、極秘事項として軍からもチェックさせるとチェーンに言った[32]。
RX-0専用パイロットスーツ
アニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場する。ヘルメットなどにサイコフレームを搭載しており、感応波の増幅やシステムとのマッチングが強化されたとされる[33]。
サイコ・スーツ
劇場用アニメおよび小説版『機動戦士ガンダムNT』に登場する。サイコフレームが仕込まれたパイロットスーツ[34]。
劇中では、ナラティブガンダムに搭乗する際、ヨナ・バシュタが着用している。ナラティブガンダム A装備の複合特殊兵装サイコ・キャプチャーは、サイコ・スーツの力を借りて起動させる[35]。装着者、もしくは外部のサイコ・ウェーブ(感応波)に反応して、スーツのサイコフレーム部分が赤く発光し、ヘルメットのバイザーにニュータイプ特有の閃きのような光が煌めく[34]。
ヘルメット部分の分厚いバイザーなど、かなりの重量を持った重装備で、着ているだけで装着者の体力を激しく奪う。また、着脱は1人では重過ぎてできないので、ルオ商会専属のメカニックの介助を必要としていた[36]。
終盤、ヨナがナラティブのコア・ファイターからフェネクスへ移動する際、宇宙空間に破棄された[37]。
サイコプレート
漫画『機動戦士MOONガンダム』に登場する。G-ドアーズ、ムーンガンダム、サイコバウに装備されているサイコミュ兵装[38]。
それぞれが研究段階のサイコフレーム素材で構成されたファンネルの集合体で[39]、「ミスター・エンキドゥ」なる人物の技術協力を受けたティターンズ残党が、「サイコガンダムMk-II」のリフレクター・ビットを発展させ完成された[38]。技術協力を行った人物の正体はシャア・アズナブルであるとされる[40]。作中のメカニック担当者の会話によれば、極小チップまたはセンサーがハニカム状に埋め込まれたもので、コンピューターチップを素材そのものに鋳込んだサイコフレームとではチップの密度で差異がある。
メガ粒子砲は備えていないが、ニュータイプ能力者との共振により非常に硬度が上がるサイコフレームの特性に近いものを備え、作中ではビームライフルの直撃にも耐えているようにシールド並の堅牢さを持っている。推進機も備わっており宇宙空間での高速移動が可能で、パイロットのアイディア次第で分割・合体、レイアウトを思いのままに変えられ、時には盾にも矛にもなる攻防一体の装備である[41]。
単なる兵器ではなく、それ自体が機体本体の操縦性や反応速度を向上させる外付け式のサイコミュ装置としての役割も持つが、これはサイコプレートがまだ研究段階で後のサイコフレームのような小型化には至っていないため、操縦席に張り込むことができないという技術的な限界によるものであるという設定[40]。
注釈
- ^ 漫画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME』では、シャアの部下のナナイ・ミゲルが開発を行ったとアレンジされている。
- ^ 『機動戦士ガンダムNT』脚本の福井晴敏は、この現象について「刻が巻き戻った」と独自のコメントをしている[57]
- ^ 「臨界爆発」という現象(用語)は存在しないため、どのような爆発を意味するのかは不明。
- ^ 現実には、ヘリウム(およびその同位体)は化学的に安定なため、そもそもガス爆発が生じることはない。
- ^ デアゴスティーニが発行している分冊百科類では、F91がサイコフレーム機の発展・系統図[84]、サイコフレーム搭載MS[85]一覧には含まれておらず、「サイコフレームに代わる新素材としてMCA装甲が誕生した」との記載[56]にとどまっている。
- ^ 当初の設計には含まれていなかったが、建造中にサイコフレームが持ち込まれたことで搭載機として完成。小説『ベルトーチカ・チルドレン』版では鹵獲したサイコ・ギラ・ドーガ(ゲーム『U.C. ENGAGE』ギーセン・ドーガ)からサイコフレームを移植。
- ^ 漫画『ラスト・サン』作中では、非搭載という設定[要出典]。
- ^ 小説やラジオドラマ版ではサイコフレームについては言及されない。
- ^ 「袖付き」より技術提供。本来多人数で行う操作をメインパイロットのみで行えるようになった。
出典
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- ^ 『逆襲のシャア パンフレット』, p. 19.
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- ^ 週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第58号 2020, p. 19.
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- ^ 『機動戦士ガンダムNT』のBlu-rayが5月24日発売!記念企画第2弾 監督 吉沢俊一氏スペシャルインタビュー
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- ^ 『ガンダム パーフェクト・ファイル84』デアゴスティーニ・ジャパン、2013年5月24日
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- ^ 機動戦士ガンダムUC インサイドアニメーションワークス2 2014, p. 148-150- 「監督古橋一浩インタビュー」
- ^ 劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』入場者2週目特典『IMMEDIATE REPORT 灰の中から何度でも -サイド6 ヘリウム3備蓄基地臨界爆発事故異聞 -』
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- ^ ガンダムエース2020-3 2020, p. 53-54.
- ^ ホビージャパン1991-2 1991, p. 48.
- ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P57
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