組織の関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 20:33 UTC 版)
主人公の佐藤明が専ら「ファブル」として恐れられているが、元々はこの名は個人の渾名ではなく、組織に対する呼び名である。ただし、正式名称という訳ではなく、明は「おまえらが勝手にそう呼んでるだけだ」と言い、ボスは「その呼び名は好きじゃない」「本来は名もなき組織だ」と語っており、明たち構成員は単に「組織」と呼ぶ。 佐藤明(さとう あきら)※偽名 / ファブル 演 - 岡田准一 本作の主人公。幼少時から殺し屋としての訓練を受け、物語開始時点で現場に出て6年、合計71人を殺害しているが、殺人を好んでいるわけではなく、普段は至って温厚な人間であり、仕事以外で無駄な殺生はしない。友達や世話になっている人物に対しては恩を返す性格。 訓練により「どんな敵でも6秒以内に殺す」技術を持ち、場所や道具を選ばないオールラウンダー。殺気や気配を消す能力を持ち、ターゲットのみならず、初対面の組織メンバーにも正体を見破られることなく接近できる。その実力は組織内でもずば抜けていて、同じ組織の幹部山岡をして、明が10点としたら自分は8点程度の評価であり、さらにその後明の点数に関しては、10点どころではなくそもそも点数で測れないとしている。また、洋子ほどではないが短い時間であれば瞬間記憶をすることができ、ターゲットを車で追う時などマップを少し見ただけで記憶し運転している。 これらの明の戦闘をはじめとする能力は訓練や努力というものより「サヴァン症候群」の一種であるとされ、鈴木は「オリンピックに暗殺の種目があれば金メダルを取れる」と評するほどである。 武装はナイトホークカスタム(銃身長はラインナップには存在しない4インチ。劇場版ではグリップはダイヤモンドバック仕様、銃口にはDCI製サプレッサーアダプターを装着)と小型ナイフを使用。ナイトホークを用いて暗殺を行った際には、使用後銃身を廃棄して新品に交換していた。武器を大阪へ携行することをボスから禁じられたが、銃身を外したナイトホークとナイフだけは隠して持参した。大概のことは知恵と工夫で何とかなるというボスの教えを貫いているため、ミサキが小島の策動に巻き込まれた際には、救出に備えて市販の素材(モデルガンの薬莢や鋼材、花火など)を使って手製の銃身と弾薬を自作した。かつては「ブラックホークCQD-MKⅠ」というサバイバルナイフも愛用していたが、山で遭遇したクマと戦った際に失っている。 標準語、関西弁、広島弁、九州弁、東北弁を流暢に話すことができ、言葉を切り替えるときはおでこを指で突くことで「スイッチを切り換える」イメージトレーニングを行う。このトントンとおでこを突く行動は正確には「顔に力を込めてイメージチェンジするが、おでこには力が込められないので指でつつく」であり、話の中でも言葉の変更よりむしろ行動の切替でトントンする場合が多い。同様に同業者の前で無害な一般人を装ったり、山道を高速で運転する前にはおでこを突いて切り替えを行っている。 訓練を通じて身に付けたサバイバル技術として、食べられるものか毒を含むものかを舌で判断できるが、その影響で舌の感覚が鋭敏になってしまい極度の猫舌となり、熱いものはよく冷まさないと食べられない。また枝豆をさやごとかじるなど、食べ方が一般人のそれとは多少ずれている。洋子が作った手料理の出来が悪いと、食べる前にそのことを指摘できる。舌以外の感覚も敏感で、「ニオイ」という感覚で監視カメラや盗聴器を見つけることができる上に、相手が銃を所持しているか、同業者であるか、身体能力や何か盗撮など悪いことをしようとしているかなども気づくことができる。アルコールには強いが、飲酒すると昔の傷が体に浮き出てくる。自宅では全裸で過ごし、就寝時にはベッドの上に寝具でダミーを作り、自らは浴槽で眠っている。 お笑い芸人・ジャッカル富岡のファンで、彼の出演する番組や広告を見ては大笑いしている。 自らが殺しのプロである自覚は強く、何かをする際には「プロとして」と自分に言い聞かせるように呟くことがある。一方で「プロ」という言葉自体に弱いのか「プロとして」と付け加えて頼まれると「プロか」と呟き行動してしまうことが多い。大阪に来てからは普通の生活をしていることから「普通」という言葉にも反応する。 ボスの指示によって大阪に移住して以降は、現地の暴力団「真黒組」の若頭・海老原の庇護の元で一軒家暮らしを始め、その後自ら仕事を探し、小さなデザイン会社「オクトパス」の配送・雑用担当として雇われる。真面目な仕事ぶりと独特の絵のセンスを認められ、イラストを少しずつ任されるようになり、当初800円であった時給は後に1000円になった。こうした普通の生活を通し、明日やしばらく先のことについて考えるようになる。 第1部のクライマックスにおいて、ボスからの指令を受け山岡の殺害に向かい、アザミ・ユーカリも含め3名を圧倒的な実力で制するも、殺害する段になり洋子やミサキ達の顔が脳裏に浮かび止めを刺すことができなかった。後にそのことをミサキに伝えると、佐藤が普通になったのだと教えられた。ボスとの相談のうえ組織を抜けることになった明は、ミサキと内縁の夫婦となり、ミサキが抱えている借金を全て肩代わりする(内縁の夫婦となったのには好意があることと、組織からミサキが狙われないようにするという二重の意味があった)。そしてミサキと社長には必ず帰ってくると伝え、洋子とともに人助けの旅に出た。 佐藤洋子(さとう ようこ)※偽名 演 - 木村文乃 明のパートナー。天才的な瞬間記憶力の持ち主。10歳の時に火災で家と両親を失った後、ボスに保護されて指導を受け、1年前から明の運転手やサポートを務めている。ボスの指示により明とともに大阪に移住し、明の隣家に住んでいる。周囲には明の妹ということで通しているが、明の携帯電話に登録されている名前は「他人」。休業期間中に恋をすることを目標にしているが、暇を持て余し、様々な男を酒場に誘っては酔いつぶれさせて楽しんでいる。 格闘の腕前はかなりの物であり、銃器の扱いも慣れている。しかしながら実戦で人を殺した経験が無いことから、同じ組織の人間達と戦う際のハンデとなっている。山岡曰く、明を10点としたら5点の実力と評されている(後に明の10点は訂正された)。 明と違い両親を失ってから組織に育てられたことから、父親を思い出し泣く等精神的な弱さを見せることもある。明のことは設定上の兄であり、当初は面倒をかけられたくないという思いが強かったが、共同生活を通して徐々に他人とは違う気遣いをするようになり、明の行動を信頼している様子が見られる。明が人助けをする際には積極的に協力しており、また明に足手まといやただの運転手役とは思われたくないとムキになることがある。 山岡の件については、当初は自身で仇をうちたいと考えていたが、自身が人を殺すことに向いていないと悟った後は全てを明の判断に任せている。今後銃は使わないと宣言しているが、明と行動を共にしていくのであれば必要になると、鈴木から銃を渡されている。 明が組織を抜けオクトパスを退社し旅に出ることを決めたときには、何も言わず行動を共にすることにした。明に対する恋愛感情はないらしい(強すぎるため)。ユーカリのことは弟のように思っていた。 自宅で料理をする際、片足立ちになる事がある。 ボス 演 - 佐藤浩市 本名不詳。表の顔として、埼玉県某所で整体院を営んでいる。幼い明と洋子を引き取り、殺し屋とそのパートナーとして指導してきた。裏方に回っているが、若いころは自らも殺し屋として現場に出ており、現在も幹部から新入りの殺し屋を紹介されても使えないと判断すればあっさり射殺する。 ファブルとその関係者の正体が暴かれるのを警戒し、1年間は仕事を受けないことを決め、明と洋子を大阪に送り出す。本当の目的は、明の桁違いな殺しのスキルを1年の生活の間に少しでも落とし、一般の生活に慣らすことであった。明が小島の策動に巻き込まれたことを察知すると、そのきっかけを作った海老原の入院先に現れ、明の一般人としての生活を乱さないよう警告して去った。 世間には出回っていないテクノロジーを使い、組織の構成員の状況を常に把握している。時代の移り変わりと共に、組織の方針・形態を大きく変えるときが来ていると考えており、暗殺稼業からは手を引くつもりであった。 その際、暗殺者は不必要となるため明の処分も当初は考えていたが、明に対し情もあるため一般人として生活しているうちに精神面が変わってくるようであれば、そのまま組織を抜けさせることを考えていた。後にそのことを明に伝え、人を殺すことができなくなった明に「合格」と言った。明が関わった事件をみているうちに、自身も歳を取ったことから、明の持つ強力なスキルを世の中のために使っていくよう諭し、同様の理由で洋子、アザミ、ユーカリにも明を通して一般人として生きていくよう伝えた。 明にジャッカル富岡のテレビ出演情報などを度々伝えている。 カシラ ボスの「ペットを飼え」という指示により明が飼い始めたズグロシロハラインコ。いろいろな名前で呼んでみたが懐かず、「頭(カシラ)」と呼んだ時にようやく懐いたのでこの名前になった。 山岡(やまおか)※偽名 本名不詳。組織の幹部で、元は殺し屋の殺し屋。ただ殺すだけでは面白みがないとの理由で、自身の描いたシナリオに沿って話が進むよう様々な策謀を巡らす劇場型の殺人者である。ボスに対し目を見て堂々とモノを言える数少ない人間。 脳の扁桃体がイカれており、恐怖を感じず、人の気持ちを理解することもできない。かつて洋子を組織に引き入れるために、彼女の両親を殺害して居宅に火を放った張本人でもある。金銭や女、名誉等に何の興味もなく、ただ好奇心の赴くままに人を殺し続ける異常者であり、海老原曰くこの世で生きていくのが難しい人間。反面、約束したことは守る性質であり、また弟子であるアザミやユーカリからは親同然に慕われている。 人の生死には何の興味もないが自分の死に方には拘りがあり、ボスや明のような強者の記憶に残りたいと願っている。ボスが組織をこれ以上拡大させる意向がないのを悟ったことから、自身の好奇心を満たすため明の周辺に登場し、ボスが最高傑作と評した明との殺し合いを望む。殺し合いの前にアザミと打ち合わせた際には、明の恐るべき実力を認め、「明を10点としたら、自分はいいとこ8点」と評したが、実際に明と向かいあった際には「そもそも点数では測れない」と驚嘆した。 真黒組の多くの幹部を殺害した後、最終的には明との戦いに負け、明に殺されるのであれば本望と考えたが、明は精神的に大きく変化しておりトドメを刺すことができなかった。その様子を見ていた海老原により銃殺されこの世を去った。 アザミ ※偽名 本名不詳。山岡の配下で、山岡から自身と五分で殺り合えると評されている、かなりの実力者。花言葉は「触れてはいけない」。 メガネをかけた大柄な体格の男。人当りのよい空気を出しているが、暗殺者であることのカモフラージュである。 派遣先の中国から呼び戻され、山岡の策動に参加するようにみせかけていたが、実はボスからは山岡を拉致するように命令されていた。そのため、山岡が組織に対し反目するような行動を取らないよう、暗に注意をしたり無駄に被害者が出ないよう図っていた。 組織からの命令と、山岡を親同然に慕っている気持ちのなかで葛藤していたが、最終的には山岡側につく。また明の実力を悟り、あれは自身や山岡では太刀打ちできないと山岡に忠告していた。その上で山岡、自分、ユーカリの3人がかりであれば明を倒すことができると考えていたが、明の強さは想像以上であり山岡を目の前で失ってしまうことになった。 オクトパスで社長を守りながら働いていた際、明から一般人の生活は普通の人には嫌なことが多くても自分たち暗殺者にとっては天国のような生活だと言われ、納得していた。後にボスの命令で一般人として生活することになったあとはオクトパスで引き続き働いている。明に対して悪感情はなく、明からも信頼されており、社長の世話とミサキへの借金の肩代わりを任されている。 明と同様にジャッカル富岡の出ている番組を見て大笑いをしていたり、排水口に詰まった髪の毛を「あとで手を洗えばいい」と言う理由で素手で取るなどの行動をしたため、オクトパスの社長からは明に似ていると言われた。 ユーカリ ※偽名 本名不詳。山岡の配下で、アザミのパートナー。山岡曰く、洋子と同程度の実力。花言葉は「記憶」。 洋子と同じく記憶力が良く、一旦見たものを一瞬で記憶・理解する能力をもつ。戦闘能力も相手がヤクザ程度であれば全く問題にならない。 派遣先の中国から呼び戻され、山岡の策動に参加する。当初は残酷で軽薄な言動がみられていたが、実際には無関係な人間を殺人に巻き込まない性格であり、洋子やクロが山岡から襲われた際には密かに助けていた。洋子が山岡に復讐をしようとした際、洋子には山岡を殺す理由があることから、そうなった場合は仕方がないとも考えていた。 アザミ同様に山岡を慕っており、組織から山岡が狙われていることを知ってからもアザミと共に山岡に協力する。 山岡、アザミと三人がかりで立ち向かうが明に撃退される。明に対しては悪感情はなく、ボスが山岡を殺すように命令をしていた件についても、いずれ同じ道を辿ったであろうこと、自分とアザミが少し寂しくなるだけだと話していた。 洋子とは気が合うようで、お互いに兄姉(相手を妹、弟)のような感覚で接していた。山岡の死亡後はボスの命令で一般人として生活することになり、明が退職したあとのオクトパスでアザミとともに働いている。
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