《供物》の正しい読み方
「供物」の正しい読み方
供物は「くもつ」と読む。「きょうぶつ」とは読まない。「そなえもの」と読ませたいときは「供え物」と書く。「供物」の意味解説
供物とは、葬儀や法要の際、亡くなった人や遺族に対して弔いの気持ちを表すために贈られるもののことを指す。個人の親族や、所属していた組織の関係者、親しい友人などから贈られることが多い。宗教によって贈ることのできる供物が異なる。仏式の葬儀や法要の場合、線香や生花、菓子類、果物や缶詰のかご盛りなどが一般的で、肉や魚はNGとされる。神式の場合、菓子類や果物、酒、魚、生花などが贈られ、線香は焼香をしないためNGである。キリスト教の場合は生花のみで、品物の供物はしない。キリスト教であっても宗派によっては生花がNGとされることもある。なお、生花は「供花(くげ)」と呼ばれ、供物と区別される場合もある。
供物は葬儀や法要における役割の他に、宗教の儀礼において信仰対象に捧げられ供犠行為の達成のために用いられる。神などの超自然的なものに対して献上するもののことを指し、こちらも宗教によって捧げるものが異なる。日本の仏教では、生花や果物、菓子類、水などが供えられる。神道では、米や酒、青果、魚、菓子類が供えられる。キリスト教では、ミサの際のパンとぶどう酒が供物にあたる。
なぜ「供物」と読むのか・理由
供物は「きょうぶつ」と読むこともできるが、「きょうぶつ」の読みが使われることはなく「くもつ」と読むのが正しい。なぜなら、供物には呉音を使うからである。呉音とは漢字音(音読み)の一つで、現在の南京市付近から入った漢字音のことをいう。長安付近から入った漢字音である漢音より前に日本に伝わったとされる。呉音は、仏教に関係する言葉をはじめ、古くからある言葉に使われることが多い。「供」の呉音は「ク」であり、「キョウ」は漢音である。また、「物」の呉音は「モツ」であり、「ブツ」は漢音である。したがって、供物は「クモツ」と読む。
「供物」の類語・用例・例文
供物の類語には、供え物(そなえもの)、お供え物(おそなえもの)、お供え(おそなえ)、盛り物(もりもの)、捧げ物(ささげもの)がある。供物を使った例文は次の通りである。
「親戚の葬儀に際し、供物を用意した。」
「供物を贈ってもよいか、葬儀場に確認する。」
「供物」の英語用例・例文
供物は英語で「offering」という。形式ばった場合には「votive offering」といわれることもある。offeringを使った英語の例文は、次の通りである。
「The flowers are offering to the dead.(この花は故人への供物だ。)」
「The Shinto priest put votive offerings on the altar.(神職が、神前に供物を捧げた。)」
《供物》の正しい読み方
「供物」の正しい読み方
「供物」の読み方は「くもつ」である。仏教用語によくある特殊な音読みである。「供物」を「供え物」の略記として用い、「そなえもの」と読ませる、という場合はあり得る。
「供物」の意味解説
「供物」は、神仏にお供えする品物のことである。とりわけ仏教において、葬式や法要に際し、死者を供養する(故人の霊を慰める)ために供えられる品物を指すことが多い。なぜ「供物」と読むのか・理由
「供物」を「くもつ」と読むのは、漢字を「呉音」で音読みしているためである。漢字の一般的な読み方は「漢音」であり、仏教関連の用語では「呉音」と呼ばれる読み方にならって読まれることが多い。たとえば「女性(にょしょう)」や「女犯(にょぼん)」は呉音の読み方である。
「供」は漢音では「キョウ」だが、呉音では「ク」と読む。たとえば「供花(くげ)」なども呉音の読み方である。
「物」は漢音では「ブツ」だが、呉音では「モツ」と読む。たとえば「禁物(きんもつ)」「作物(さくもつ)などは呉音の読み方である。
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