advocacy
「advocacy」とは、擁護・弁護のことを意味する英語表現である。
「advocacy」の基本的な意味
「advocacy」とは、名詞として使われる場合、人の権利の擁護、弁護という意味がある。擁護、擁護活動を意味するカタカナ語の「アドボカシー」とほぼ同様の意味である。形容詞として使われる場合は、見解を主張する、表明する、擁護するという意味合いで、名詞の前に置かれることが多い。「advocacy」の語源
「advocacy」の語源は、ラテン語で力を貸すという意味の「advocare」である。「advocacy」の発音・読み方
「advocacy」の発音記号は「ǽdvəkəsi」であり、カタカナで読む場合は「アドヴォカスィ」あるいは「アドヴォカシー」が近い。「advocacy」を含む英熟語・英語表現
self-advocacy
self-advocacyとは、主に法廷における自己弁護という意味である。国や地域によっては民事裁判において弁護士を指名することなく、本人訴訟の形で法廷に立つことができる。また、知的障害や発達障害があり、生きづらさを抱えている人や、社会的な制度や障壁に対して問題意識がある人が自ら声を上げる運動のことを指す場合もある。特にアメリカでは1960年代から70年代の公民権運動の最中、self-advocacyの一連の運動を通じて障害者同士の間で相互扶助的なネットワークが形成された。
patient advocacy
patient advocacyとは、医師や看護師、ソーシャルワーカーらによる患者の権利の擁護活動を意味する。患者の自己決定権の尊重や、医師をはじめとした医療従事者による説明責任、インフォームドコンセントの重視、難治性疾患のセカンドオピニオンの推奨などもこうした活動の中に含まれことがある。
customer advocacy
customer advocacyとは、顧客満足度の向上に焦点を当てた経営手法の一つで、顧客にとってどのような商品やサービスが必要なのかを調査し、結果を参考にしながら顧客が喜ぶものを提供するというシステムである。経営方針や事業の業態、サービスの内容によって、customer advocacyの重要度は大きく異なる。
advocacy group
advocacy groupとは、権利擁護団体、支援団体という意味である。障害者や犯罪被害者などある特定の問題の当事者が中心となっているところや、社会の各分野の専門家が広く参加しているところまで様々である。
child advocacy
child advocacyとは、児童の権利擁護という意味である。国際条約や各国の法規で定められていることに限らず、非営利のボランティア団体や地域住民が主体となり行われている児童の福祉の向上に繋がる活動も含む。
「advocacy」の使い方・例文
「advocacy」の使い方
「advocacy」は、医療や福祉、法律など様々な分野において権利擁護を意味する単語である。主に名詞や形容詞と組み合わさり~の擁護活動、弁護活動といったニュアンスで文中や会話の中で使われる。
「advocacy」の例文
Children are in the process of growing up, and it is difficult for them to assert themselves to the adults around them. Therefore, it is necessary to actively defend children's advocacy when necessary.
子どもは成長過程ということもあり周囲の大人に対して自己主張をするのが難しい。そのため、必要に応じて積極的に権利擁護が必要だ。
Self-advocacy in court is not impossible for a layman, but it is very difficult, so you should ask a skilled lawyer at an early stage to take measures.
法廷における自己弁護は素人にとって不可能ではないものの大変難しいため、早期の段階で腕利きの弁護士を依頼して対策を立てるべきだ。
Efforts related to patient advocacy are already underway around the world, especially in developed countries, and patients' own rights to self-determination and access to medical care are respected.
患者擁護に関する取り組みは先進国を中心にすでに世界各国で進められており、患者自身の自己決定権や医療を受ける権利が尊重されている。
In women's rights advocacy activities, it is essential to actively support not only women who are concerned but also men who are close to them.
女性の権利擁護活動においては、当事者である女性だけが動くのではなく、身近な男性も積極的にサポートすることが不可欠である。
Among the many consumer advocacy groups, some have been given the status of non-profit organizations because of their high recognition of their activities by governments and local governments.
数ある消費者擁護団体の中には、政府や自治体から活動内容が高く評価され、非営利組織の法人格が与えられたところもある。
Industry advocacy groups, often led by executives of well-known companies, are vital to preserving vested interests in the industry.
業界擁護団体は、有名企業の経営陣が幹部を務めているところが多く、業界内の既得権益を保持する上で欠かせない存在となっている。
アドボカシー
アドボカシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 04:06 UTC 版)
アドボカシー(英:advocacy)とは、「アドボケイト」と同じ語源で「擁護・代弁」や「支持・表明」「唱道」などの意味を持ち、同時に政治的、経済的、社会的なシステムや制度における決定に影響を与えることを目的とした、個人またはグループによる活動や運動を意味する。アドボカシーには、インターネット(ソーシャルメディア含む)やマスメディアのキャンペーン、公開演説、調査の実施・発表、またはアミカス・キュリエの提出など、個人または組織が行う様々な活動が含まれる。ロビー活動(利益団体によることが多い)は特定の問題または特定の法律について立法者に直接のアプローチをとるアドボカシーの一形態である[1]。
なお、法的または法律上の文脈では「アドボケイト」とは、法的手続きにおいて、ある人に代わって発言することを何らかの方法で許可・任命されている特定の人(弁護士など)の称号である。語源である「アドボカタス」も参照のこと。
さらに、健康・医療の分野では、1970年代のアメリカにおいて登場[2]した「患者アドボカシー」や、「健康アドボカシー」などの新たな用語も登場するようになった。
形態
アドボカシーには社会に変化を起こすという目的で様々な形態があり、異なるアプローチをもっている。代表的なものとしては、下記のようなアドボカシーの形態が存在する。
- 専門型アドボカシー
- 専門家やエキスパートと見なされる人々がその立場で問題意識を意思決定者に提示し政策的に影響を及ぼす。(いわゆる政策提言が含まれる)
- 予算型アドボカシー
- 市民団体が行政の予算に積極的に関与し、アカウンタビリティや透明性を促進し、一般の人々の必要性や要望、そして地域社会の不公平な部分により注意を払うことを行政側に要望する。
- 大衆型アドボカシー
- 大規模なグループが行うあらゆる種類の行動(請願、デモなど)。
- 利益団体型アドボカシー
- ロビー活動は、大衆アドボカシーを行うインタレストグループ(利益団体)が使用する主要なツール。資金力や組織力が要求されるので政治的意思決定者に影響を与えることにおいて常に成功するわけではない形式である。
- イデオロギー型アドボカシー
- このアプローチでは、グループは意思決定の場で彼らの考えを推し進めるために抗議なども含めて行動する人達。
- メディア型アドボカシー
- 「社会的または公共政策のイニシアチブを推進するためマスメディアの戦略的利用」(Jernigan and Wright、1996)。例えばアルコールやタバコ関連の公共の健康問題などを啓蒙する上で、テレビ広告などを活用する。
他
トピック
現代においては、数多くのさまざまなトピックが提唱されている。一般的なものは社会正義をコーズ(主義・主張・信条・運動原理)としての社会運動、ロビーや権利擁護運動、啓蒙活動などとなる。例えば人身売買問題のように、問題があり解決する価値があると広く認められている明確な社会問題だったり、解決する必要があるという普遍的な合意がある貧困、水と衛生などの人権問題である[3]。しかしながら、中絶や純潔運動などの他のものは、はるかに分裂的であり、対立してお互いを強く支持する意見が激しく盛り上がるものもある。
例
- 健康アドボカシー(Health advocacy):健康管理の権利を支持し促進するとともに、地域の健康および政策の取り組みを強化し、その有効性、安全性およびケアの質に焦点を当てる。
- 患者アドボカシー(Patient advocacy):脆弱な立場に置かれる患者の権利や病人の擁護またその代弁などに焦点を当てる[2]。回復後のサバイバーや世話をしていた親族なども対象に含まれる。
米国では、広範囲に及ぶ論争と深い意見の論点があれば、それを社会問題と呼ぶ。米国議会図書館は、中絶などの広大なものから同性婚、市民の権利、LGBTの権利、女性の権利、環境保護、ビーガニズムなど、特定の理想を推進することを擁護する人々が意図するトピック、「Cause(主義・主張・信条・運動原理)」とも呼ばれるもの、からハッキングや学術上の不正行為(つまりは剽窃)までをも含む幅広い社会問題のリストを集めている[4]。
団体・グループ
アドボカシーグループ(アドボカシー団体)、インタレストグループ(利益団体)、この両者はその実質上の定義「一般大衆の意見や政策に影響を与える為に、種々のアドボカシーの形態を利用するグループ・団体(「An interest group or advocacy group is a body which uses various forms of advocacy in order to influence public opinion and/or policy」 )」、という意味で同義語である。
つまり、アドボカシーグループは一般に、擁護団体、支援団体、権利団体、推進団体、啓蒙団体、はたまた圧力団体、企業利益体、ロビー団体、政治団体(運動組織)、利益団体、愛好家グループなどと呼ばれることになる。
- 政治的文脈では、「アドボカシーグループ」とは、公職への選挙を求めることなく、政治的な決定や政策に影響を与えようとする人々の組織的な集まり。
日本において
日本語(カタカナ)で「アドボカシー」と表記される場合、大別すると以下の二つの意味で使われることが多い。
- 権利擁護としてのアドボカシー
- 政策提言としてのアドボカシー
具体的には、社会的弱者、マイノリティー等の権利擁護、代弁の他、その運動や政策提言、特定の問題に対する政治的提言、保健医療、社会環境での性差撤廃、地球環境問題など広範な分野での活発な政策提言活動を指している[5]。
権利擁護としてのアドボカシー
権利擁護としてのアドボカシーについては、(あまり組織的でなく、適度な)権利の代弁、擁護のことを指すとされ、その場合の例として、自ら自己の権利を充分に行使することのできない、終末期の患者、障害者、アルツハイマー病、意識喪失の患者などの権利を代弁することなどがあげられる。また、患者会やSHG(自助グループ)などがある程度組織的にアドボカシーを行う場合もある。
政策提言としてのアドボカシー
一方、政策提言としてのアドボカシーについては、特定の問題について政治的な提言を行うことと定義され、日本でも保健医療や、雇用における性差撤廃、地球温暖化防止などの環境問題、公共事業問題など広範な分野で活発な政策提言活動が行われている。特にNGO/NPOなどが行う市民活動の分野では、アドボカシーは反政府、反企業といった対立の構図ではなく、論理的・科学的な政策を代替案を示して提言する活動[6]であり、最もNGO/NPOらしい活動と定義する学者や専門家は多い。
その他のアドボカシー
また、ロビイング活動そのものや、そこにいたる代弁・弁護活動までも含めたものをアドボカシーとする考え方もある。最近では成年後見制度などとも関係して、超高齢社会の中で話題になることも多くなっている。また、日本の政府がNGO/NPOによる政策提言能力の向上を目的とした表彰制度を行っているが、そもそも提言を受ける側である国が提言する側を表彰することについては、NGO/NPOの中に疑問の声もある。
事例
- Linux等の自由ソフトウェア運動。自由ソフトウェアとコピーレフトのライセンスの啓蒙と普及促進を目的とした社会運動。
脚注
- ^ “Lobbying Versus Advocacy: Legal Definitions”. NP Action. 2010年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月2日閲覧。
- ^ 「アドボカシーは看護者の役割か」『医学哲学 医学倫理』第28巻、日本医学哲学・倫理学会、2010年、2019年5月20日閲覧。
- ^ UNICEF (2010). Advocacy toolkit - A guide to influencing decisions that improve children's lives. UNICEF. pp. 144 2016年2月11日閲覧。
- ^ “Table of contents for Social issues in America”. loc.gov. 2019年5月20日閲覧。
- ^ “介護用語集”. 全国介護者支援協議会. 2019年5月25日閲覧。 “自己の権利を表明することが困難な寝たきりの高齢者や、認知症の高齢者、障がい者の権利擁護やニーズ表明を支援し代弁すること。”
- ^ “アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)”. 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン. 2019年5月25日閲覧。 “アドボカシーとは:具体的な政策目標を実現するために、政策決定者および同決定プロセスに影響力を持つ個人、組織に働きかけること。”
関連項目
外部リンク
- カレッジボードアドボカシー&ポリシーセンター
- PRワールド - ロビー活動をテーマにしたニュースと情報サイト
アドボカシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 21:05 UTC 版)
「ニューロ・ダイバーシティ」の記事における「アドボカシー」の解説
2013年に自閉特性について当事者やその関係者にオンライン調査を行なったSteven Kappらは「自閉特性は欠陥ではなく違いであるとする見方は、自閉特性の手綱を取り本人の発達にとって利益がある方向へ進めることが重要であると主張する。この見方は、違いの礼賛と欠陥の治療という誤った対立を超えるものである」と結論づけている。 また、倫理学者のAndrew FentonとTim Krahnによると、ニューロダイバーシティの支持者たちは自閉症や自閉症をとりまく社会状況を再概念化することを目論んでいる。すなわち、神経学的な違いは必ずしも治療される必要があるわけではないと知らしめること、「〜状態、〜疾患、〜障害、〜病」といった言葉を用いる言語体系を変更すること、新しいタイプの自立のあり方を示すこと、神経学的な違いを持つ人が自分自身の治療についてどんな治療を受けるかあるいは全く受けないかなどをより自由に選択できるようにすることを目指している。 E.Griffinらは2009年に半構造化面接による調査を行い、自閉症やディスレクシア、運動協調性障害、ADHD、脳梗塞の既往のある学生27人を自分の特性をどう見なすかによってニューロダイバーシティグループと医学モデルグループに分けて分析した。調査の対象となった学生たちはそれぞれ学校において排除やいじめ、暴力を経験してきたが、41%を占めるニューロダイバーシティ派においては学業に対する自尊心や自分の能力に関する自信をもち、うち73%は具体的で明確な将来展望さえ持っていた。ニューロダイバーシティという見方を得ることができたのはニューロダイバーシティを提唱するオンラインのサポートグループに接することができたからだと学生たちの多くは報告している。 企業の側からの取り組みとしては、2013年に「エッジの利いたイノベーション」を追求するドイツのソフトウェア会社SAPが、自閉傾向のある人をソフトウェアのテスターとして積極的に雇用することを始めた。また、米国の住宅ファイナンス会社Freddie Macは、自閉特性のある学生を対象に、有給インターンシップの募集を行った。
※この「アドボカシー」の解説は、「ニューロ・ダイバーシティ」の解説の一部です。
「アドボカシー」を含む「ニューロ・ダイバーシティ」の記事については、「ニューロ・ダイバーシティ」の概要を参照ください。
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