魔力型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 16:14 UTC 版)
魔力型魔法は自然秩序の乱れを「魔力」として感知しそれを取っ掛かりに自然を操作する魔法である。 魔力型の攻撃魔法は「自然物・自然現象を操って敵にぶつける」というものが多く(例:円環大系の人工稲妻・相似大系の人工津波)、自然のエネルギーを魔法に取り込めるので出力が高いし、もともと自然界に存在している物をぶつけているので、魔法消去にも比較的耐性がある。ただし、「魔力」を見出せるものしか操れないので、できることとできないことがはっきり分かれてしまう融通の利かないところもある。例えば円環大系であれば、どんなに極めても周期性から抜け出すことはできない。 因果大系(いんがたいけい) 現象の因果関係に「魔力」を見出す魔術。因果を逆転させたり途中で止めたりする事等が出来る。拡散を逆転させて濃度差を作りだしたり、熱伝導を逆転させて温度差を作りだすなど、マクスウェルの悪魔的な現象を起こすことを得意とする。人が生存できる環境ならどこにでもある事から空気を操る能力が特に発達している。また、魔法の組み合わせや分業技術も発達している。魔法的転移(テレポート)「今ここにいるから次の瞬間もここにいる」という因果関係を捻じ曲げ、「次の瞬間いるかもしれない場所」へと転移する魔法。 因果大系で最高難度の魔法であり、高位魔導師にとっても成功率の低い魔法だが、体の一部さえ転移できればリカバーが効くため、リスク分散のために体を分割して転送することが多い。 因果巨兵空気ピストンのような単純な魔法を組み合わせることで作成される高度な魔法機械。 一人の術者でも作成できるが、複数人で分業することでさらに強力なものを作ることもできる。 円環大系(えんかんたいけい) 振動や回転といった周期のある運動や自然現象が安定しない世界で発達した、周期運動するものに「魔力」を見出し支配する魔術。典型的な魔力型魔法であり、既知魔法最大級と言われる超大出力による高い攻撃力、高機動力を誇り、魔法消去にも耐性があるが、紙と揶揄される防御力の弱さがネック。主に電子を操る技術が発達しており、雷神神話のモデルとなった。「三十六宮」序列紅宮六位の世界だったが、基本法則の間違いが発見されたため九位まで落とされた。破滅の化身(アバタールイン)自分がここにいるというそれ自体閉じた円環になっている現象をあやとり糸のように無理やり変形させ小さな円環を無数に作り出す事で、自分を増やす(複製する)魔法。簡単に言うと分身を作る魔法だが、分身といってもどれが本物でどれが分身と決まっているわけではなく、全員が本物でもあり分身でもある。 分身も術者と同等の能力を有し、魔法を使うこともできるため、火力や手数を増やしたり、役割分担したり、高度な魔術を分業で組み立てたりするのに用いられる。 人数が増えていても基本的には同一の存在という矛盾を抱えているため、使用には全員が同一の存在という条件が満たされなければならない。もし、分身のどれか一人がほんの僅かでも負傷(変質)すれば「同一の存在」という条件が崩れてしまうため、術者は消滅してしまう。 円環大系の高い攻撃力をさらに高めることができ、全アバター中最高の攻撃力増加能力とも呼ばれるが、この「同一条件」という制約から、僅かなダメージでさえ即死となる諸刃の魔法である。 開発当初は裸の化身しか複製できなかったが身につけているものも複製できるように改良され、高位魔導師であれば「要塞施設と同化した魔法使い自身」を要塞ごと複製できる。 生命円環生命活動を「生命の円環」として認識することにより、操作する魔術。 円環大系における不死魔術。 傷病や老化は生命の円環の不安定化として観測されるため、逆に生命の円環を概念魔術で強化・安定化させることで、傷病の悪化を食い止めて生命維持を行ったり、老化を止めたりできる。極まれば頭部を失う、頭部以外を失うといった明らかな致命傷を負った場合や無酸素状態といった本来生存不可能な環境でさえ生命維持を行うことができる。 ただしできることは基本的に「悪化を食い止める」「生命を維持する」ことだけで、若返ることはできないし、傷病を「治す」ことは不得手(自然治癒を早める程度)である。つまり生命円環を使用しても、死にはしないというだけでダメージや苦痛はそのまま残るし、生命を維持するだけで魔法を使い続けなければならないため、戦闘中ではジリ貧の最終手段でしかない。 なお生命円環の操作ができれば簡単に老化を止められるはずであるのに、なぜか不老化は非常に難しい。その謎が円環世界の真の法則を明らかにすることになる。 自己円環「自らという円環」を強化することで術者が傷つかなくなる防御魔術。守りに難のある円環大系の中では例外的に単純で強力な魔術だが、攻撃を受けてできる歪みを修復し続けなければならない欠点がある。そのため短時間で連続した攻撃を受けると突破されてしまう。 《雷神》クレペンスが開発した魔術だが、イリーズ・アリューシャには上記の欠点から「自己円環を修復する余力を作り出している神経強化の魔法のほうが高度」と評されている。 螺旋の化身対象の秩序自体を変質させるため、どんなものでも、自然秩序そのものでさえ破壊してしまう魔術。神人遺物も神そのものをも破壊した。 神でさえ引きはがすことも与えることもできないとされる、魔法使いの肉体の持つ歪んだ秩序をさえ変質させてしまう。 イリーズ・アリューシャが提唱した「円環世界の基本法則は実は元に戻る円環ではなく、変化を織り込んだ螺旋である」という仮説に基づいて開発された魔法だが、「螺旋を前提としているにもかかわらず、円環を魔法の基盤にしている」という矛盾を抱えており、それを解消するために「術者でありながら術者でないもの」を必要とするため、「化身」の名を冠しているものと思われる。イリーズが使用した際には「メイゼルのコピーである生命円環」を、メイゼルが使用した際には自らに重ねた「破滅の化身」をもって「術者でありながら術者でないもの」という条件を満たした。 イリーズの仮説どおり円環世界の基本法則は「変化を織り込んだ螺旋」であり、円環世界の“神”は時間の移ろいによる変質をも監視していた。イリーズがこの魔法を使って“神”を殺したことで“神”が監視していた時間も崩壊してしまい、円環世界はその被害を食いとどめるために、変質の果てに“神”が復活するまでの13年の間変化を止めてしまった。 この魔術の使い手は、1つの世界の秩序だけでは存在を確保できないため、別の世界に「螺旋同位体」という分身を生み出す。 魔法的転移(テレポート)自分がここにいるというそれ自体閉じた円環になっている現象を無理やり開いて「いるかもしれない場所」へと再結像する魔法。 破滅の化身の応用であるため、使用中に負傷すると術者が消滅する危険がある。 テレポートの中では最も融通が効き、自分の知っている場所や視界内であればどこにでも転移できるし、他人を同時に運ぶこともできる。 都市魔方陣イリーズが開発した円環大系における分業魔法。 破滅の化身による分業を応用し、破滅の化身ではなく複数の魔法使いで分業するようにしたもの。 弱い魔導士でも集団になれば力を持てるようになり、円環世界に革命的な変化をもたらした。 完全大系(かんぜんたいけい) 術者自身が認識したイメージと現実との区別が曖昧な世界で発達した魔術。観測者の脳内の像に魔力を見出し現実の方を脳内のイメージ通りに書き換えることができる。イメージを精密に描ければ、地獄の自然秩序への違反が観測できないほどよく出来た物質や現象を生み出せるため、魔法消去に強い。万能に近い体系だが、それ故に暴走の危険も高く、力を引き出すことよりも制御に重点が置かれた発展をしている。例えば感覚器を操作して幻覚を生じさせ、その幻覚を具現化する、といった回りくどい方法をとっている。それを知らなかった原初の術者達は世界を野放図に書き換えた挙句、欲望のままに自分自身をも書き換えてしまい、人外の生物と化してしまった。そのため現在の術者達は生まれたときに「人間の形」を封印としてかぶせられている。イメージを具現化するという性質上、幻覚を破るのは苦手。なんでもできるもっとも魔法らしい魔法であり、地獄における魔法使い伝承のモデルとなった。「三十六宮」序列黒宮三位。万有の化身(ユニバーサルアバター)「人が世界を感じるということは、自分の中に世界の像を作るということである。そして人が世界を感じられるのは、世界の全てが人間の中に予めあるからに他ならない。即ち人とは世界である。」という理論に基づき、自分の中の世界(の像)を現実に引き出す化身。「世界の全てが人間の中に予めある」ために、この化身はどんな世界でも引き出すことができる。故に引き出された世界の内部秩序は術者の自由になる。 王子護はブラックホールのように「内部に入ったものを二度と脱出させない」秩序を与えていた。また、自分が傷つかないイメージを引き出す事で攻撃を無効化した。ただし術者が恐怖する対象に対しては傷つかないイメージが維持できず、ダメージを受けてしまう。王子護は原爆を恐怖していたため、それで破られてしまった。 魔法的転移(テレポート)周囲の人間の「見失った」という認識を利用することで「この世のどこでもない場所」へ移動し、術者がいそうだと考えた場所へ再結像することで、転移する。 自身の影を動かし、そのイメージに自身の体を追随させる形で転移する。 混沌大系(こんとんたいけい) 関係するものの間に魔力を見出す大系。魔力は術者本人の制御を離れて勝手に生命を持つ。関係性さえ結べれば、どこまでも無限に魔力圏を広げていけるため、世界中をカバーできるほどの効果範囲・射程距離を持っており、情報収集能力に優れる。ただし、魔法を完全にコントロールすることはできない。「三十六宮」序列黒宮二位の高位世界だが「協会」を離反し「連合」に属している。魔術的転移(テレポート)術者と関連のある場所へと転移する。 精霊大系(せいれいたいけい) 自分自身という枠が曖昧な世界で発達した魔術。万物に魔力を見出し、対象と自分との区別を曖昧にすることで精霊と呼ばれる擬似人格を付与し、自在に操る。治療や防御を得意とするらしい。「三十六宮」序列紅宮八位。 相似大系(そうじたいけい) 形が似ている物は「同一の物」と誤認する世界で発達した魔術。似通った形のもの同士を「相似の銀弦」と呼ばれる物で結ぶことで一方ともう一方を同じ状態にする。たとえば剣型のアクセサリーと本物の剣を相似弦で結び、アクセサリーを動かすことで剣にも同じ動きをさせたり、患者を健康な人間と相似弦で結んで、同じ状態にして治療したりできる。簡単にいうと物体操作と治療を得意とする大系。機動力に乏しいのが弱点。魔力型としては比較的器用だが、出力は低め。海水を操作して津波を起こしたことがあり、海神神話のモデルとなった。「三十六宮」序列黒宮六位。原型の化身(アーキタイプアバター)人間は神の似姿であり、原型は同じでみな似ているという観測から、他人を強制的に術者自身に似せる化身。血流を同期させることで不整脈を起こしショック症状を起こしたり、感情をシンクロさせて洗脳・精神崩壊などを引き起こす。人体への直接干渉ができる非常に強力な魔法。治療もこの化身の応用。 不死魔術相似大系には本来寿命を延ばす方法は存在しなかったが、その代替として原型の化身による治療を応用して他人の姿を写し取る(変身する)ことで若返るという魔術が開発された。しかしそのうちに美を求めて他人の姿を勝手に盗み取ったり、姿を盗んだことが訴えられないようにオリジナルを殺したりということが横行し、相似世界は退廃することになる。 魔法的転移(テレポート)術者とそれを模した人形を相似弦で結び位置を入れ替える。術者のよく知っている場所にしか行けないうえ、あらかじめ人形を用意しておく必要があるため決まった場所にしか移動できない。しかし高位の術者であれば概念魔術によって目標位置に人形を作成できるので、好きな場所へと転移できる。応用として他人を強制的に転移させたり、人間同士の位置を入れ替えたり、3者間で位置を入れ替えることもできる。また「位置を入れ替える」という性質上、「遠くに移動する」だけでなく「遠くにいる人物を呼び寄せる(召喚・アポート)」ことも可能。 転送障壁。空間同士を相似弦で結ぶことで繋げ、通過したものを瞬間移動させる魔術。一度作成すれば何度でも人や物をものを運べるため輸送に適する。攻撃魔法も別の場所へ転送してしまうため、あらゆる攻撃を防ぐ盾にもなる。 概念魔術「同じ形である」という結果を押し付けて、強制的に「同じ形」に変形させてしまう魔術。 「同じ形である」という結果が決まっているので、何をしても形が変わらない。圧力をかけても変形しないし、電子を奪っても周囲から電子を集めてイオン化を防いでしまう。 錬金大系(れんきんたいけい) 物と物の境界が曖昧な世界で発達した魔術。物と物の間の境界に「魔力」を見出しその性質を自由に操る。境界に触れたものの温度や気圧を操作したり、相転移させたりできる。気圧操作で空を飛んだり、相転移で物体や人間を破壊したりするのが得意。通常「自分と外界との境界」つまり皮膚を起点に魔法を使うため、発動させる時は裸の方が効率が良く、皮膚の性質を変えることで接近戦で無類の強さを見せる。そのため錬金大系世界では全裸が当たり前であり、むしろ服を着ることを恥じとする習慣さえある。名前の通り、錬金術伝承のモデルになった大系。聖別の化身(デイバイドアバター)本来は皮膚を起点に魔法を使う錬金魔導師が、より広範囲に魔法を使用できるようにするための第二の境界線として作り出すもの。術者を覆う実体のない透明な膜のようなものであり、これに触れたものに魔法をかけることができる。
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