マクスウェルの悪魔とは? わかりやすく解説

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マクスウェル‐の‐あくま【マクスウェルの悪魔】

読み方:まくすうぇるのあくま

マクスウェル1871年著した「熱の理論」の中に登場させた架空魔物気体入れた容器内の隔壁にある小さな戸の張り番をし、そこで速度大き分子小さ分子とを選り分けて通過させると、隔壁両側温度差生じさせることができるというもの。熱力学の第二法則多く分子のかかわる統計的法則であることを示すのに用いたマクスウェルの魔物。→熱力学の法則


マクスウェルの悪魔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 14:28 UTC 版)

マクスウェルの悪魔(マクスウェルのあくま、Maxwell's demon)とは、1867年ごろ、スコットランド物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験、ないしその実験で想定される架空の、働く存在である。マクスウェルの魔マクスウェルの魔物マクスウェルのデーモンなどともいう。 分子の動きを観察できる架空の悪魔を想定することによって、熱力学第二法則で禁じられたエントロピーの減少が可能であるとした。 熱力学の根幹に突き付けられたこの難問は1980年代に入ってようやく一応の解決を見た。


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  11. ^ 田崎晴明「「悪魔」との取り引き : エントロピーをめぐって(最近のトピックス)」『日本物理学会誌』第66巻第3号、日本物理学会、2011年3月、172-173頁、doi:10.11316/butsuri.66.3_172ISSN 0029-0181NAID 110008593008 
  12. ^ 熱ノイズを選り分けて電流を流すことに成功 マクスウェルの悪魔による発電”. www.brl.ntt.co.jp. NTT物性科学基礎研究所. 2023年3月16日閲覧。


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マクスウェルの悪魔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:56 UTC 版)

永久機関」の記事における「マクスウェルの悪魔」の解説

ある2つ小さな部屋があり、その間小さな窓で仕切られている。片方部屋には分子レベル小さな悪魔がおり、その悪魔はその窓を開閉できる。その悪魔は、自分の部屋速度速い分子飛び込んで来たときと速度の遅い分子が出るときに窓を開けそれ以外場合には窓を閉めるその結果片方部屋では速度の遅い分子のみ、もう片方部屋速度速い分子のみに分けられ自動的に2つ温度に差が生じる。悪魔自体情報処理速度観測データに関するメモリ利用更新)を行っており、その処理(メモリ更新の際のデータ削除)にエントロピー増大が必要であるとされ、このパラドックス否定されている。

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「マクスウェルの悪魔」を含む「永久機関」の記事については、「永久機関」の概要を参照ください。

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