測定 測定にまつわる問題

測定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/23 08:25 UTC 版)

測定にまつわる問題

前提条件の誤り

測定には、様々な誤りがつきまとう。古代ギリシア哲学者アナクサゴラスは、同時刻に測定した約800km離れた2地点から太陽を測定した視差から、その大きさと距離を求めた。間接測定の結果彼は、太陽は直径56km、距離6400kmという値を得たが、これは地球が平面という考えの基で計算されたもので、前提条件の誤りが測定結果に直結した例に挙げるられる[21]

対象やプロセス等の妥当性

測定において、その対象は必ずしも不変ではない。経時的に変化するもの、動物のように測定者の意図に逆らう行動を取る場合など、様々な変化をする[10]。また、個別の測定方法にもそれぞれの弱点や限界(測定限界)が存在し、これらの要因が影響し誤った結果を導き出す場合がある[22]。測定者には、測定法の原理を理解し、目的や対象に沿った方法を選択する事が必要となる[22]

他にも、測定しようとする対象のサンプル抽出が適切なものか、また温度湿度など測定を実施する環境によっても結果が左右されるため、これらの条件の設定も重要となる[10]

メスシリンダーを用いた測定では、湾曲(メニスカス)が生じる。ここで標線 (Richtig abgelesen) を目標に、眼の高さを合わせる正しい使い方を知らなければ、読み取った測定値には誤りが生じる場合がある[23]

力量不足

ヒューマンエラーが測定結果を誤らせる場合がある。これには、作業者の単純ミスから、知識・判断力の不足、視力など個人の能力差やなどが介在する[10][24]。これらは管理を通じて対策する類のものであり[10]品質マネジメントシステム国際規格であるISO 9001:2008 6.2では、測定を行う手順を定める事と同時に、測定を実施する人間に対する教育研修を行い、その力量(りきりょう)を評価することを要求事項に定めている[25]

測定器の問題

測定にはそれぞれの方法に応じた機器が用いられるが、この機器そのものが狂いを内包している可能性が存在する。偏りや経時的な変化、磨耗、また電気機器ではノイズなども影響する[10]。ISO 9001:2008 7.6では、監視機器及び測定機器についてその正当性を保証するために校正もしくは検証またはその両方の実施と記録保存を義務づけている[25]

許容範囲と仕様の問題

プロセスまたは工業製品は、複数の施行または量産される中でぶれが発生し、それに応じて測定結果も一定しない。ただしこれには期待される機能である仕様が設定され、それの応じた測定値の許容範囲が決められる[10]。ISO 9001:2008 7.1では、製品実現の計画段階にて品質目標と製品またはプロセスに対する要求事項を定め、妥当性確認と製品合否判定基準を設けるよう定めている[25]


脚注

  1. ^ a b c d 今井(2007)、p1-3 はじめに
  2. ^ a b 松原隆彦. “物理学基礎Ⅰ【総合】2009年度第2回 (PDF)” (日本語). 名古屋大学医学部保険学科. 2010年10月31日閲覧。
  3. ^ a b c 中原恒. “地球物理学学生実験 誤差について (PDF)” (日本語). 東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座. 2010年10月31日閲覧。
  4. ^ a b c d 芳賀宏. “電気電子計測 第1講 計測の基礎 (PDF)” (日本語). 摂南大学工学部電気電子工学科光波工学研究室. 2010年10月31日閲覧。
  5. ^ a b c 千野直仁. “データ解析演習C (PDF)” (日本語). 愛知学院大学心身科学部. 2010年10月31日閲覧。
  6. ^ 清水哲雄. “会計における測定について (PDF)” (日本語). 滋賀大学学術情報リポジトリ. 2010年10月31日閲覧。
  7. ^ 中善宏. “管理会計情報による組織の可視化について:個人から活動へ(1) (PDF)” (日本語). 小樽商科大学学術成果コレクション. 2010年10月31日閲覧。
  8. ^ 村瀬洋一. “計量社会学” (日本語). 立教大学社会学部社会学科. 2010年10月31日閲覧。
  9. ^ 小塩真司. “心理データ解析A” (日本語). 中部大学人文学部心理学科. 2010年10月31日閲覧。
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  15. ^ a b c d e 森敏彦. “計測工学1章の2 (PDF)” (日本語). 名古屋大学大学院情報科学研究室. 2010年10月31日閲覧。
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  17. ^ a b c 今井(2007)、第1章 計るって何だろう、p14-15
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  21. ^ 山崎耕造『トコトンやさしい太陽の本』日刊工業新聞社、2007年、第1刷、14-15頁。ISBN 978-4-526-05935-3
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  35. ^ 伊藤(2005)、1.単位とは、20-21
  36. ^ 今井(2007)、第1章 計るって何だろう、p22-23
  37. ^ a b 今井(2007)、第1章 計るって何だろう、p24-25
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  46. ^ 事例で学ぶ一般検診・特殊検診マニュアル” (日本語). 国立国会図書館リサーチナビ. 2010年10月31日閲覧。

脚注2

  1. ^ JIS Z8103「計測用語」
  2. ^ Amey,L.R.,A.ConceptualApproachtoManagement.NewYork:Prager,1986, p.130.
  3. ^ トマス・クーン、安孫子誠也・佐野正博訳『科学革命における本質的緊張』「近代物理学における測定の機能」、みすず書房、1998年、p223
  4. ^ 村上陽一郎、『文明のなかの科学』青土社、1994年、p27


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