カシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/04 22:20 UTC 版)
オークとの比較
英語で常緑性のカシのみを指す場合はライブオーク (live oak) と呼ぶ。ヨーロッパにおける常緑性のカシ類の分布は南ヨーロッパに限られており、イギリスをはじめとする中欧・北欧に分布するoakは、日本語では植物学上ナラ(楢)と呼ばれているものばかりであるが、文学作品などではカシとして翻訳されている例が多く、誤訳を元にした表記である[1]。
種
日本に自生しているブナ科植物のうちカシと呼ばれているものでは主に以下の種がある。
- コナラ亜科 (Quercoideae)
- クリ亜科 (Castaneoideae)
- マテバシイ属 (Lithocarpus)
- シリブカガシ Lithocarpus glaber
- マテバシイ属 (Lithocarpus)
利用
植栽
民家の垣根に植樹される主要な樹木の一つでもある。防音の機能を有する樹種(防音樹)として知られる[2]。
常緑樹であるために防風林としての機能も果たした。またカシの生葉・生木は他の樹木と比較した場合に燃え難いこともあり、隣家火災の際には延焼を防止する目的も持ち合わせていた。
木材
漢字で木偏に堅と書くことからも判るように木材としての材質は非常に堅い。また粘りがあり強度も高く耐久性に優れている。その特性から道具類、建築用材などに使われる。ただし、加工がしにくい、乾燥しにくいといった難点がある。
- 建築では欄間、敷居に使われる。
- 鉄道の枕木。初期の木製レール。
- 橋。
- ハンマー(掛矢)、スコップ、鍬、杵など道具類の柄。
- 山車のかじ取りをするためのテコ。
- 木刀、ヌンチャクなどの武道用具。
- 和太鼓の桴(ばち)。
- その他、杖、棺桶など。
戦争とカシ
1904年に始まった日露戦争では、日本の砲車がカシ材を使ったものであったため、ロシアの砲車(ヤシャブシで代用していた)よりも優れていたという見分結果がもたらされた。欧州では、カシはイタリアにあるだけで、多くはカシよりも弱いナラが代用とされていた[3]。1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種について用途指定を実施。カシ材の使用用途については軍需、内地使用の船舶、車両用に限られることとなった[4]。
カシをシンボルとする市町村
多くの市町村がカシをシンボルとして採用している。ここではシンボルを「カシ(樫)」としている市町村を列挙し、「イチイガシ」などのように各種をシンボルとしている市町村および消滅した市町村は除いた。
- 宮城県角田市・宮城郡利府町
- 群馬県高崎市
- 茨城県常総市
- 埼玉県上尾市・川越市
- 東京都日野市
- 山梨県甲府市
- 愛知県碧南市・丹羽郡扶桑町
- 京都府福知山市・相楽郡精華町
- 大阪府茨木市
- 兵庫県姫路市・加西市・神崎郡市川町
- 奈良県橿原市・香芝市・生駒郡平群町
- 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町
- 岡山県勝田郡勝央町
- 広島県呉市
- 山口県美祢市
- 福岡県田川郡添田町
- 大分県佐伯市
- 宮崎県東諸県郡国富町・児湯郡木城町
- 熊本県人吉市・玉名郡南関町・球磨郡錦町
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