【M4】(えむふぉー)
- M4 Sherman.
第二次世界大戦時、アメリカ軍の主力戦車として活躍した車両。
詳しくは項を参照。
- M4カービン。
アメリカ軍の制式突撃銃「M16」をベースに作られたカービンライフル。
米軍の制式カービンとしては史上4番目となる。
戦車乗員や将校に向けた3点バースト搭載モデルがM4、特殊部隊等に支給されるフルオート搭載モデルがM4A1である。
原型のM16に比べてフロント部分が短縮され、伸縮式銃床により小型化されている。
また、レシーバー上部にピカティニーレイルを標準装備しているのが特徴。
短銃身化されてはいるが、M16に比べて射撃性能の低下はほとんど無い。
こういった特徴から、アメリカ陸軍では一般の歩兵部隊においてもM16から本銃への置換を進めており、本銃はカービンでありながら通常の突撃銃としても使用されている。
【スペックデータ】 口径 5.56mm 全長 850.9mm 銃身長 368.3mm 重量 3,480g ライフリング 6条右転 使用弾薬 5.56mm NATO弾 装弾数 20発/30発(箱形弾倉) 作動方式 リュングマン式・回転ボルト閉鎖 発射速度 700~900発/分 銃口初速 905m/秒 有効射程 500m(点目標)/600m(面目標)
【バリエーション】
・M4(M720):
初期型。
・M4A1(927):
特殊部隊向けフルオートモデル。キャリングハンドルは着脱式。
・M4E2(925):
ハンドガードにアクセサリー装着用のピカティニーレイルを持つMWSを装着したモデル。
MWSとしてナイツアーマメント社のRISが採用される。
・M4 MWS:
M4にナイツ社製レールシステムを組み込んだもの。
・M4 CQB-R:
バレル長を通常モデルの14.5インチから、11.5ないし10.5インチに変更したモデル全般のこと。
SWAT等でも使用されているが、仕様は各所でバラバラである。
・M5:
M4の後継カービン。
作動機構をガス直噴式からガスピストン式とし、アッパーレシーバーと一体のレールシステムを採用している。
・Mk12:
SEALsに支給されているモデル。
CQB-Rと同じバレル長にNSWCデザインのストック等を使用している。
・Mk18:
狙撃向けモデル。
・C8カービン:
コルト・カナダ社(旧ディマコ社)製M4。オリジナルとの相違点はリアサイトとマガジンのデザインである。
バリエ―ションとしてC8(コルトモデル723タイプ),C8A1(コルトモデル927タイプ),C8A2,C8A3,C8CQB(11.5インチ銃身モデル),C8SFWなどがある。
・L119A1:
C8カービンのバリエーション「C8SFW」の英軍採用モデル。SASなどで使用されている模様。
【コルト社製以外のM4(M4クローン)】
・SR-16:
ナイツアーマメント製のM4。
同社のオリジナルレールインターフェースを標準装備し、サイトが折りたたみ式になっているのが特徴。
米軍特殊部隊で採用されている。
・SR-556:
スターム・ルガー社がほぼ外注パーツ組み上げで製品化したM4クローン。
・LR-300:
ZM-ウエポンズが開発したM4クローン。作動方式はショート・ストロークピストン方式。
・HK416:
H&K社が開発したM4カービンの改良近代化カービン。詳しくは項を参照。
・SIG516:
SIG SAUER Inc.製のM4クローン。
作動方法はシグ社のライフル同様ガス圧利用のガス・ピストン方式でターン・ボルト・ロッキングが組み込まれている。
マガジンは同社のSG556と同じシグオリジナルのものである。
・M468(REC7):
アメリカのバレット社がAR-15/M16シリーズ及びM4をベースに開発した突撃銃(または交換キット)。
弾薬は、USSOCOMの要請によりレミントン社が開発した次世代小銃弾である6.8mmSPC(6.8mmx43)弾を使用している。
【M4(戦車)】(えむふぉー(せんしゃ))
M4 Sherman
第二次世界大戦時にアメリカ軍に制式採用され、主力戦車として活躍した中戦車。
1940年頃から開発が始まり、1941年10月に制式採用。
その後、1942年2月から量産が開始され、1945年までに5万両近くが製造された。
10社・11工場で分散して製造されたため、搭載エンジンや実戦部隊からの要求による武装変更などの派生型が製造された。
戦歴では、ヨーロッパでのドイツ軍との戦いや太平洋戦争での沖縄戦に投入されたほか、朝鮮戦争や印パ戦争、中東戦争などで使用された。
現在でも、パラグアイでは少数が主力戦車として使用されている。
スペックデータ
乗員 | 5名 |
全長 | 7.47m(砲身含む) |
車体長 | 6.19m |
全高 | 2.74m |
全幅 | 2.62m |
重量 | 32.3t |
懸架方式 | 水平渦巻きスプリング・ボギー式(HVSS) |
発動機 | コンチネンタル R975 C4 4ストローク星型9気筒空冷ガソリンエンジン×1基 |
出力 | 400shp |
速度 | 42km/h(最高)/38.6km/h(整地)/19.3km/h(不整地) |
行動距離 | 160km |
武装 | M1 75mm戦車砲×1門(71発) M1919A4 7.62mm機銃×2挺(6,250発) M2 12.7mm機銃×1挺(600発) |
装甲 | 88.9mm(砲塔防盾) 63.5mm(砲塔側後面) 63.5mm(車体前面) 38.1mm(車体側後面) |
主なバリエーション(カッコ内は英軍呼称)
オリジナル
- T6
試作車の呼称。
- M4(Sherman I)
初期モデル。溶接構造車体にコンチネンタルR975星形エンジンを搭載。
- M4 Hybrid(Sherman I Hybrid)
車体前面のみに一体鋳造構造を用いた「コンポジット型」モデル。主に英国へ供与。
- M4A1(Sherman II)
車体を一体鋳造構造としたモデル。避弾経始は高まったが、車内スペースが狭くなってしまった。
- M4A2(Sherman III)
溶接車体に鋳造砲塔を搭載。
エンジンは民間トラック用に開発されていたGM製 6046直列6気筒2ストローク液冷ディーゼルエンジン×2基を連結して搭載。
海兵隊のほか、レンドリース用としてイギリス軍と自由フランス軍で使用された。
- M4A3(Sherman IV)
溶接車体に鋳造砲塔を搭載。フォードGAA V8液冷ガソリンエンジン(450馬力)×1基を搭載。
- M4A4
溶接車体に鋳造砲塔を搭載。クライスラー製A-57複列30気筒液冷ガソリンエンジン×1を搭載。
- M4A6
溶接・鋳造のハイブリッド構造。キャタピラー社製空冷星型ディーゼルエンジンを搭載。
生産数は75両と少なく、訓練用として使用された。
- M4A1(76mm)(Sherman IIA・後期型はIIIAY)
A1型の主砲をM1A1 76.2mm戦車砲に変更したモデル。砲塔はT23試作中戦車と同型。
- M4A2(76mm)(Sherman III)
A2型の主砲をM1A2またはM1A1C 76mm戦車砲に変更したモデル。砲塔は後期型のもの。
- M4A3E4(Sherman IVA)
朝鮮戦争当時、北朝鮮軍のT-34-85に対抗するために開発されたモデル。
主砲および砲塔はM4A1(76mm)と同様だが、車体はM4A3がベースになっている。
- M4(105mm)(Sherman IB)
主砲を105mm榴弾砲へ変更したモデル。試作車はM4A4E1と呼称された。
- M4A3(105mm)(Sherman IVB)
主砲を105mm榴弾砲へ変更したモデル。試作車はM4A4E1の改良型であるM4E5。
- M4A3E2
突撃戦車「ジャンボ」。
A3の装甲強化型で、177.8mm厚の防楯を装備し、重量増加のため履帯の脇に「ダックビル」と呼ばれるアタッチメントを装着している。
- M4A3E8
「イージーエイト」と呼ばれる最終モデル。
朝鮮戦争などでも使用された他、創設期の陸上自衛隊にも「特車」として供与されていた。
追加装備モデル
- T34「カリオペ」
砲塔上部に46inch長ロケット弾発射機を搭載した自走ロケット砲型。
- T40(M17)
砲塔上部に72inch長ロケット弾を装填した箱形ランチャーを搭載したもの。
- T76
主砲の替わりに75inch長ロケット弾発射装置を搭載したもの。
- T99
砲塔側面に45inch長ロケット弾22発を装填した箱形ランチャーを搭載したもの。
- T31 Demolition Tank
陣地破壊用に榴弾砲とT94ロケットランチャーを装備した試作車両。
- T1E3(M1)Aunt Jemima
車体前部に大型ローラー2基を装着した地雷原処理車。
- T3
英国の"Scorpion"地雷処理装置をベースにした地雷原処理車。
- M4 Doozit
T40ロケットランチャーとドーザーブレードを装備した障害物除去車。
- POA-CWS 75-HI
主砲に火炎放射装置を組み込んだ火炎放射戦車。
- T33
75mm砲の脇にE20火炎放射装置を並列配置した火炎放射戦車。
- Sherman Prong
別名Cullin hedgerow。車体前面に灌木切除装置を装備したモデル。
その他派生型
- グリズリー巡航戦車
カナダのモントリオール・ロコモーティブ・ワークスでM4A1(シャーマンII)をライセンス生産するにあたり、装備品などの規格をイギリス・カナダにあわせるために改設計を行ったモデル。
砲塔後部にNo.19型無線機を格納するための張り出しを設けたり、2インチ発煙弾発射機などが増設されている。
- シャーマン・ファイアフライ
ドイツ軍戦車に対抗するためにM4の車体にオードナンスQF・17ポンド砲を搭載した砲塔を組み合わせたモデル。
- M10「ウルヴァリン」/M36「ジャクソン」
M4の車体をベースにした駆逐戦車型。
- M7「プリースト」
自走榴弾砲型。M2(M101)105mm榴弾砲を搭載。
- M32
砲塔を撤去し、回収用クレーンを装備した戦車回収車型。
- シャーマンDD
ノルマンディー上陸作戦のためにイギリス軍が開発した水陸両用戦車(Duplex Drive)。
車体周囲に展開する防水スクリーンと、後部に誘導輪で駆動する推進用プロペラ2基を備えていた。
- シャーマンフレイル
地雷処理用のチェーンローラーを装備した地雷除去車両。
イスラエル製派生型
- M50/M51「スーパーシャーマン」
イスラエル軍での改修型。
砲塔にフランスのAMX-13と同じ高初速の75mm砲を搭載し、砲身長に合わせて砲塔後部のカウンターウェイトも延長した他、全金属製のT80履帯を使用している。
懸架装置はM4と同様、水平渦巻きスプリング・ボギー式である。
M51では、76mm砲搭型のM1シャーマンにフランス製CN105-F1 105mm戦車砲の短縮型を搭載し、エンジンもカミンズVT8-460に換装している。
第三次~第四次中東戦争でT-34-85、T-54/T-55、T-62などを相手に奮戦した。
- M50
自走榴弾砲型。
M4A4のエンジンを前部の補助操縦席部分に移して、オープントップの後部にフランス製M50 155mm榴弾砲を搭載している。
- L33
M50自走榴弾砲の後継として開発された型。
M4の車体上に密閉型の戦闘室を設けてイスラエル国産のソルタムM68 33口径155mm榴弾砲を装備している。
- マクマト
自走迫撃砲型。退役したM50の車体前部をオープントップ式の戦闘室に改造して、ソルタムM66 160mm迫撃砲を装備している。
- シャーマンMRL
砲塔を撤去して多連装ロケットランチャーを搭載した自走多連装ロケット砲。
MLRSに更新されて現役装備から外された。
- キルション
退役したM51の車体にAGM-45「シュライク」対レーダーミサイルの単装ランチャーを装備した対レーダー車両。
- アンビュタンク
救護車型。
M4の砲塔を外してその下にエンジンを移して後部を救護室にしたタイプと、退役したM50の戦闘室を密閉してそのまま救護室にしたタイプの2種が存在する。
- ヤール
M1スーパーシャーマンの砲塔を外し、最大30mに達する巨大な伸縮式の観測台を備えた観測車輌。
- モンスター
戦車部隊の移動目標砲撃訓練の仮想標的として用いられる車両。
退役したM4の砲塔を撤去して車体外部に斜めに傾斜した装甲板をボルト止めしている。
- トレイルブレーザー
M51をベースにした回収車。
【M-4】(えむよん)
Myasishchev M-4"Bison".
旧ソ連のミヤシュチェフ設計局が開発した戦略爆撃機。
NATOコード名は「バイソン」。
同時期に開発されたTu-16に比べて大型の機体で、深い後退角のついた片持ち中翼配置の主翼にミクーリン設計局製のAM-3Dターボジェットエンジン4基を搭載している。主脚は胴体中心線上に配置されているため主翼を支える補助脚が翼端に装備されている。
機体前部の乗員コンパートメント及び後部砲塔は与圧構造になっている。
大西洋を超えて自由落下熱核爆弾を運搬できる能力を備えており、胴体中央部の主脚間に装備する爆弾倉には最大9トンの爆弾を搭載できる。
最初の爆撃機型(NATOコード「バイソンA」)は1953年に初飛行し、1956年に運用開始された。
しかし、当時のジェットエンジンは長時間の飛行に適さず、航続距離が不足し満足に任務をこなすことが不可能であることが判明したため戦略爆撃任務はターボプロップエンジンのTu-95が引き継いだ。
後にICBMの急速な実用化もあり、洋上偵察機や給油機として使用されることになる。
M-4は1963年までに93機が生産された。最後まで使用されたのが空中給油機型で、1994年まで使用された。
スペックデータ
乗員 | 6名 |
全長 | 53.4m |
全高 | 11.5m |
翼幅 | 52.5m |
翼面積 | 320㎡ |
全備重量 | 160,000kg |
最大離陸重量 | 210,000kg |
ペイロード | 15,000kg |
発動機 | ミクーリンAM-3Dターボジェット(推力9,500kg)×4基 |
最大速度 | マッハ0.95 |
航続距離 | 18,000km |
実用上昇限度 | 17,000km |
武装 | 固定武装にNR-23 23mm機関砲×6基 自由落下爆弾を最大9トンまで搭載可能。 |
派生型
- M-4"バイソンA":
最初の爆撃機型。
- M-4A:
開発機型。
- M-4-2:
空中給油機型。
- 2M:
エンジンをAM-3AからVD-5に換装した改良型で、3Mの基礎となった。
開発名称は≪28≫であった。
- 3M(M-6)"バイソンB":
エンジンを強化型のVD-7に搭載し、ペイロードと航続距離を増強した発展型。
1956年に初飛行し、当初はM-6と呼ばれていた。また、開発名称は≪201≫であった。
- M-29(M-6P):
1956年に3Mから設計された旅客機型。M-6Pとも呼ばれた。製作されず。
- 3MR:
機首に大型の哨戒レーダーを装備した洋上長距離偵察機型。
1964年にソ連海軍航空部隊に配備された。
- 3MS:
3MのエンジンをRD-3M-500Aに換装した改良型。
- 3MN:
3MにVD-7Bエンジンを搭載した改良型。
燃費の良いエンジンの搭載により、同じく改良型の3MSより、航続距離がさらに15%向上した。
- 3MD"バイソンC":
VD-7Bを搭載した新しい派生型。
翼面積を増すなど大幅な改設計が行われていた。
1959年に初飛行し、翌1960年にソ連空軍に配備された。
- 3MYe:
VD-7P(またはRD-7Pとも呼ぶ)エンジンを搭載した高高度爆撃機型。
1963年にソ連空軍に配備された。
- VM-T「アトラント」:
M-4の機体構造を用いて作成された規格外大型貨物輸送機。3M-Tとも。
背面に大型貨物を搭載する。
- 3MS-2:
M-4-2を基に、3MSから開発された空中給油機型。1975年に初飛行した。
Il-78の登場まで主力空中給油機としてソ連空軍で使用され、Tu-22Mなどへの空中給油能力を有していた。
- 3MN-2:
3MNから改修された空中給油機型。
- 3M-5:
KSR-5ロケットを輸送するために製作された輸送機型。1973年に完成した。
- M-204M:
エンジンをD-15(推力13,000kg)に換装した試験機。
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