代表的な将棋棋士の棋風とは? わかりやすく解説

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代表的な将棋棋士の棋風

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 08:34 UTC 版)

棋風」の記事における「代表的な将棋棋士の棋風」の解説

天野宗歩 江戸時代棋士ありながら、隙あらば動く序盤スピード感覚や、現代風の玉の囲い使用など、現代棋士比べて遜色なく、最強棋士候補一人羽生善治も「歴史上誰が一番強いと思いますか?」という質問升田幸三並べて天野の名を挙げ「今の目で見たらすごいスピード溢れ将棋指している。相手がのんびり指しているのでその圧倒的なスピード違いがよく分かる現代現れてもすごい結果残したのではないだろうか」と評しているのがよく知られる坂田三吉 21世紀以降指されるようにもなった初手端歩突きなど、当時にあって独創的な棋風知られ彼の棋風当時坂田将棋」という名称を生んだくらいの個性が強い将棋として知られた。家元名人師匠につき定跡学び軽やかな棋風だった関根金次郎にたいして、師匠をもたず我流力将棋喧嘩将棋などと言われるが、残され坂田証言から強い美意識をもって将棋指していたことが伺われている。升田幸三によると、その指し手も慎重きわまりない手筋だったという。 関根金次郎 棋風は自然流と称されるほど無理のない手で相手追い詰めていく将棋で、明治から大正時代攻め将棋全盛時代であったころに相手攻撃受けてたつ棋風目立った棋士木村義雄 居飛車党中盤木村呼ばれ、のちに「将棋大観」で自身将棋理論体系だてて整理し発表角換わり将棋における「木村定跡」を開発序盤から一気終盤突入する可能性のある腰掛銀はもともと戦後持ち時間短くなった棋戦用に木村を倒す為に若い世代研究重ねて生まれたが、持ち前江戸っ子下町根性誰もが天才称するその聡明さ見事に自分戦法として取り入れていく。 花田長太郎 居飛車党理論徹した鋭角的な棋風寄せには定評があり、寄せ花田称せられた。 土居市太郎 居飛車党で、その棋風捌き速度指し手合理性近代将棋母体ともなった評される金子金五郎 居飛車党で、序盤金子称され理論派。 塚田正夫 居飛車党で、相手屈したように見せながら猛然と反撃転じる棋風は「屈伸戦法」と呼ばれている。特に若い頃激しさがあり勝って負けて異常に手数が短いという傾向がみられ、第6期名人戦最終局では63手という超短手数木村14名人倒し名人位を手中おさめている。 大野源一 振り飛車神様異名を持つ。軽快棋風知られ三間飛車での捌きを得意とした。 升田幸三 オールラウンダー大駒、特に角の使い方に独特の感性を持つ。局面打開する逆転独創性に富む。六段のころまではずっと相手攻めを受ける将棋であったが、大山康晴台頭すると、大山同門ということもあって「攻め升田、受けの大山」と称された。大山全盛期迎える頃からは、「新手一生」を座右の銘として掲げ数々新手升田式石田流升田式向かい飛車など数々戦法序盤戦術を生み出して対抗した将棋大賞#升田幸三賞は氏に由来松田茂役 ツノ銀中飛車からの力戦を得意として「ムチャ茂」の異名をとった。大野源一と並ぶ現代振り飛車の祖といえる大山康晴 振り飛車党若い頃相居飛車指したが、居飛車対振り飛車対抗形を得意としている。守りながら敵玉の距離を測るのが上手く仕留めるときは一気決めることが多い。囲いで守るよりも序盤陣形全体バランス守り中盤から徐々に駒を玉側に寄せていくのは独特の感性であり、囲いで守る代表の穴熊を苦にしなかった。羽生善治大山棋風について、深く読んで最善手追求することをせず、大らかに指す棋風であると評している。 花村元司 元真剣師らしくオールラウンドプレーヤー実戦派の棋士知られ棋風から「妖刀使い」の異名持ち花村流」はプロ棋士恐れられた。一方でハッタリ将棋」と揶揄する向き存在したが、それこそ自身勝負観の表れであるとしてむしろ本人はその言葉歓迎していたという。当時大人しい定跡通りの手を指す棋士が多い中にあって、あえて定跡外した難解な力将棋持ち込むことで高い勝率挙げていたほか、また終盤の力があり「終盤入り口で2:8の差なら五分、3:7なら俺の勝ち」と豪語していた。 二上達也 居飛車攻め将棋で、二上定跡として有名である相掛かりガッチャン戦法知られる相矢倉でも守りが薄い状態で攻め込み短手数終局するため、展開の早い勝負になりやすく、終盤の力で勝負するので「寄せ二上」と呼ばれスピーディーな指し回し大きな持ち味で、木村14名人二上スピード早い将棋評価していた。塚田正夫からは自分とその師の花田長太郎とを足して二で割ったようだと称された。 内藤國雄 相振り飛車なども得意のオールラウンダーだが居飛車が多い。指し手バリエーションが豊富で、「自在流」と呼ばれる横歩取り後手番で角を3三に上がり飛車・角高く舞う「空中戦法」で、升田幸三賞受賞江戸時代古典将棋精通し昭和・平成期の棋戦に度々採用していた。 加藤一二三 居飛車党良い思った戦法指し続けることが多い。代表的な例として矢倉3七銀や、対振り飛車における居飛車舟囲い急戦の礎を築き上げた中でも対振り飛車用の棒銀は「加藤棒銀」と呼ばれるほど、棒銀こだわり持っている序盤研究深く、「加藤流」の名がついたものが多い。先攻しながら一気にいかずに柔軟に攻め続けたり、受けつつ力を溜めて一気攻撃に行くなど、斬り合いに強い。またNHK杯などの持ち時間少な早指し将棋も得意で、「一分将棋神様」「秒読み神様」との異名もある。 有吉道夫 師の大山康晴違って居飛車党で「火の玉流」と称され攻め棋風活躍山田道美 居飛車党戦法体系化目指し学究派。特に対振り飛車研究第一人者打倒大山康晴掲げ山田定跡」を完成させた。 大内延介 豪快な振り飛車戦法を得意とし、特に中飛車果敢に攻撃する棋風振り飛車党で、矢倉急戦矢倉中飛車愛用しツノ銀中飛車穴熊を得意としたが特に振飛車穴熊駆使して怒濤流」と呼ばれ邪道視されていた穴熊プロ戦法昇華させて「穴熊総裁」とも呼ばれた米長邦雄 居飛車党だが、時々振り飛車指しこなす。中央の厚みを活かす戦い方が多い。終盤劣勢のとき、紛れ作って逆転することから「泥沼流」と呼ばれる香車の上に玉を置く「米長玉」で升田幸三賞受賞している。米長流急戦矢倉など、独特の差し回し後進棋士たちに大きな影響与えた森安秀光 振り飛車党としては四間飛車を得意とし、ミスター四間飛車呼ばれる。また「だるま流」と称される粘り強い指し回しは、後身振り飛車党棋士に強い影響与えた中原誠 居飛車党攻防バランス取れた棋風であり、指されてみれば自然に見える、格調が高い指し回し圧倒的な強さ誇ったことから、「自然流」と呼ばれる桂馬使い方がうまく、「使い名手と言われる。手を作ることが上手いため「中原流」と呼ばれ升田幸三賞受賞する多く戦法がある。 田中寅彦 洞察力の鋭い居飛車党居飛車穴熊串カツ囲い飛車先不突矢倉無理矢理矢倉など、多く序盤戦術の躍進貢献小林健二 居飛車党時代から研究裏打ちされ戦法作戦には定評があった。四間飛車愛用し始めると「スーパー四間飛車」と称された。 谷川浩司 居飛車党角換わり腰掛け銀切れ味鋭い終盤寄せを得意とするが、終盤において早い段階寄せの手順を読むため「光速の寄せ」「光速流」と言われるまた、指し手に迷うとき、駒が前に行く手優先することから「谷川前進流」とも呼ばれる塚田泰明 16歳プロ入りしてから居飛車棋風は「攻め100%」「昇天流」と呼ばれる攻め将棋を得意とする塚田スペシャル連勝記録升田賞を受賞南芳一 受けに強い振り飛車党であるが居飛車多く指す。若い頃リトル大山呼ばれるほど、重厚な棋風対局している姿ともに「地蔵流」と呼ばれてはいるが、敵陣一気攻め潰す将棋も多い。その攻めを「地蔵攻撃」と呼ぶことも。 森下卓 居飛車党本格派探究心深く相矢倉では革命的戦術である森下システム創始者中田功 三間飛車における中田功XP創始者。その棋風コーヤン流評されトッププロにも高評価されている。 清水市代 女流棋士の中では本格派居飛車党で、矢倉の他に相掛かり急戦右四間飛車など力戦調の将棋を得意とする佐藤康光 オールラウンダー若手の頃は居飛車党であった現代における居飛車定跡先駆者一人米長影響強く受けている。成算があると思えば危険でも踏み込んでいく特徴があり、直線的な指し手が多い。かつて居飛車を主に指していたころ、相手の得意戦法真っ向から受けて立つ棋風であったが、タイトル戦への登場頻繁になった頃から振り飛車頻繁に採用するようになった。またこの頃から、数々新手編み出すようになった2006年度将棋大賞で、最優秀棋士賞升田幸三賞同時受賞)。なお、深く鋭い読みを持つことから「緻密流」と呼ばれるが、先崎学は「緻密ではなく野蛮」と評している。 郷田真隆 初手飛車先の歩を突くことが多い居飛車本格派。常に格調が高い手を追求して指すことで知られる丸山忠久 居飛車党角換わり腰掛け銀などの激しい戦形を得意とし、横歩取り8五飛角換わり原動力にして名人位を奪取するが、攻撃的な手よりも渋い手の方が目立つ。終盤勝勢になって一気勝負決め行かずに、着実に自身優勢積み上げていく厳し指し回しから、「激辛流」と呼ばれる羽生善治 オールラウンダー急戦持久戦問わず居飛車好んで指すが、振り飛車採用することもある。終盤相手惑わせる手や気づきにくい妙手は「羽生マジック」と呼ばれる盤面全体上手く使う柔軟な棋風で、殆どの戦型で高い勝率を誇るため、得手不得手際立っていない。 藤井猛 振り飛車党居飛車穴熊左美濃を、序盤から一気撃退しに行く革新的な四間飛車戦法藤井システム」(98年升田幸三賞受賞)の開発や'振り飛車には角交換'の格言覆す角交換四間飛車12年升田幸三賞受賞)を発展させるなど四間飛車における序盤研究大家として有名。対急戦にも研究深く、対棒銀などでも決定打出している。また、大駒切って金銀露骨に相手玉に迫る「ガジガジ流」でも恐れられている。なお、居飛車矢倉藤井矢倉)も指すことがあり、特に、2008年頃から指すことが増えて話題となった森内俊之 オールラウンダー。主に角換わり矢倉好んで指し、受けのイメージが強いことから「鉄板流」と呼ばれる木村一基 居飛車党で、激し将棋でもまずは徹底して受ける棋風千駄ヶ谷受け師異名も。相手攻め駒を辛抱強く攻め返して受ける粘り強さ特徴杉本昌隆 振り飛車党としては四間飛車を得意とするが、相振り飛車第一人者名著「相振り革命」の著者でもある。 鈴木大介 特に中飛車を得意とする振り飛車党豪快にして繊細な棋風しられる近藤正和 振り飛車党ゴキゲン中飛車創始者。受けが常識である中飛車革命起こす窪田義行 振り飛車党であるが、窪田流とも言うべき独特の振り飛車用い、力強い棋風知られる渡辺明 居飛車党かつては穴熊囲い硬さ生かした将棋を得意とし、居飛車穴熊対振り飛車以外の戦形でもしばしば用いることもあったほか、振り飛車穴熊指しこなし、穴熊を連採していたことからプロ間での評価低かったが、竜王戦羽生相手矢倉後手急戦連続採用したことで、谷川をして「評価変わった」と言わしめた。2019年頃からはバランス型の将棋にスタイルチェンジし、タイトル三冠達成名人位を獲得するなど活躍をみせている。 久保利明 振り飛車党三間飛車を得意とし、早石田現代らせた棋士一人である。駒の軽い捌き特徴で「捌きアーティスト」「カルサバ流」と呼ばれる久保の左捌き憧れプロ棋士も多い。 豊島将之 オールラウンドプレーヤーで、「序盤中盤終盤、隙がない将棋」のフレーズ豊島将棋評からきている。 広瀬章人 オールラウンダーでしばらくは振り飛車穴熊四間飛車穴熊を得意としていたが、タイトル獲得以降居飛車多く指しこなす居飛車党転身藤井聡太 居飛車党矢倉角換わりを得意としていたが、2021年以降それまで指さなかった相掛かり増えている。終盤における収束力は、デビュー当初から定評がある。

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