サピエンテス・グラディオ
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「シャドウハーツII」の記事における「サピエンテス・グラディオ」の解説
ロシアを中心に暗躍する秘密組織。本作の序盤から登場する敵対組織。剣と梟が描かれた「剣を取る賢者」の紋章を掲げている。元々は東方正教会の修道士であるヨウィスが興した、人類平等の理念のもとにお互いを尊重した考えを実践する美しい結社であったが、魔王の力を手にしたラスプーチンに乗っ取られたことにより、権力を基盤とした選民主義を掲げる過激なテロ結社と化した。各国の高官の猟奇的殺人事件がヨーロッパの各地で多発し、その殺害方法が中世の処刑に準じていたことからその神秘性と異常性が世に噂されるようになる。カレンの故郷もこの組織によって焼き払われた。 首領はラスプーチンで、構成員には「マスター」と呼ばれており、魔王アスモデウスの力により、絶対的な暴威を誇っている。戦闘員には「鉄の爪」と呼ばれる暗殺部隊がいる。その目的はロシア皇帝(ツァーリ)ニコライ2世を暗殺し、ロシアを支配することであったが、計画はウル達によって阻まれ、暗殺計画も露見したため撤退を余儀なくされた。その後、ウルとラスプーチンの戦いの余波で飛行船が大破。また首領ラスプーチンもアモンの力を得たウルに斃されたことにより、組織は崩壊することとなった。 グレゴリー・ラスプーチン大司教 / グレゴリオ大司祭 声 - 大友龍三郎 サピエンテス・グラディオを統括する怪僧。モデルは帝政ロシア末期の皇室で暗躍した怪僧、グリゴリー・ラスプーチン。年齢は43歳。ロシア皇室に付け入り国を乗っ取り、そこを拠点に世界を手中に収めようと企む。シベリアからやって来た宣教師として病弱なアレクセイ皇太子の病気を魔術で癒し、皇后アレクサンドラの絶大な信用を得て、政治にも口出しをするようになる。元々はヨウィスとアルバートの弟子であったが、その目的は魂の契約の呪法を学ぶために過ぎず、魔神アスモデウスと魂の契約を結んでその野心を実現するための力を身に着けると、師である二人を追放し秘密結社を乗っ取って今の形に作り変えた。 アスモデウスの力とヤドリギの呪いで一度はウルを圧倒し、皇太子を狙った暗殺者の濡れ衣を着せて追い詰めるも、凱旋祝賀会において計画していた皇帝の暗殺はウルの妨害によって失敗し、更にはアナスタシアに暗殺者との密会現場を撮影した写真を提示されたことで裏切りが露見してしまう。その後、組織の人間とともに飛空艇でペトログラード上空へと逃れるが、アモンの力を取り戻して追ってきたウルと甲板で交戦し、その果てに飛空艇は大破。攻撃を防ぐバリアも破られてしまう。 追い詰められたラスプーチンはこのままでは勝てないと悟り、アスモデウスの力を完全に解き放つことでペトロパヴロフスク要塞上空に浮遊要塞イーダルフラームを出現させる。魂の大半を悪魔に食われることを代償に絶大な契約の力を得るが、最早「世界を統べる」という目的は失われ「永遠に命を奪い続ける死の世界」の実現を志すようになる。要塞内でのウル達と死闘の末敗北する。「人の思想・意思・記憶を奪い心を殺す道具」であるヤドリギの呪いの真の恐ろしさと、いずれアスタロトによって世界が滅ぼされることを示唆しながらを最期を迎えた。また敗北した直後にウルから「アルバートはアンタより強かった」と言い捨てられ、ラスプーチン自身もアルバートに対する切り札として聖なるヤドリギを使うつもりだったと彼の強さを認めている。 ベロニカとは肉体関係にあったような描写があるが、彼が彼女をどう思っていたのかは不明。また孤児だったニコルを引き取っているが、実際は組織のための道具にするつもりでしかなく愛情などなかったと語っている。アスモデウス 力と権力を司る魔王。明確な意思を持たず、力の行使のみを悦びとし、慰みに一国を消滅させることもあるという。アモンやアスタロトと同列視される高位の悪魔。 ラスプーチンが契約した悪魔であり、アモンの力を手にしたウルに追い詰められたことにより、ラスプーチンがアスモデウスの力をさらに解放した結果、彼の精神はアスモデウスの影響を強く受けて、全世界を死の版図とし暇つぶしに人間を消滅させることを望むようになってしまった。ニコルからは「アスモデウスに食われたか」と吐き捨てられている。 ニコラス・コンラド枢機卿 声 - 子安武人 通称「ニコル」。秘密結社サピエンテス・グラディオの修道騎士。「白魔法」の使い手。年齢は27歳。表向きはバチカンから派遣された異端審問会のエクソシストであり、以前はアルバート・サイモンの討伐を命じられていたが何者かによって倒されたため事情を探っていた。本編開始直前にドイツ帝国陸軍に接触し、カレン率いる中隊を利用してウルの討伐を目論むが計画は失敗。逆上してカレンに襲い掛かるが、その際にウルが庇ったことで「聖なるヤドリギ」の呪詛を与える形となった。ドンレミ村で村人の抹殺を指示したほか、ロジャーの身柄と引き換えと称してウルからエミグレ文書を奪い、日本がロシアの新皇帝の後見として協力するという契約で加藤にエミグレ文書を引き渡した張本人でもある。そのためウルに怨まれている。 過去にアルバート・サイモン抹殺の任務を与えられており、その任務達成を阻んだウルには初対面時から「神殺しの男」として強く対抗意識を抱いていた。ヤドリギの呪いにもラスプーチンにも屈さぬウルにさらにその思いを募らせ、最終的には「私は君を倒さねば、自分の存在を許すことが出来ないのだっ!!」と告げるまでになった。カレンにも次第に執着を抱くようになり、彼女の夢に干渉し、自分と来れば望むものが全て手に入ること、ウルは既に別の女を選んでいることを告げ、彼女に自分の元へ来るように誘うサブイベントもある。 アナスタシアとは異母兄妹にあたり、母親は昔宮殿に出入りしていた貴族の一人である。母親が他界して孤児となっていた所を、ラスプーチンによってバチカンの宿舎へ入れられ、サピエンテス・グラディオの騎士として育てられた。それは愛情からではなく、ただ利用するためだけのものだったが、それはニコルも同じで、最終目的は母親の復讐のためラスプーチンも抹殺してロシア皇帝の座に座ることであった。 レニ、ベロニカと共にナハシュ神殿に偵察に向かった際、そこに眠っていた悪魔アスタロトと魂の契約を結び、ディレクターズカット版ではその経緯も描かれている。サピエンテス・グラディオが壊滅した後は、アポイナの塔にて「嘆きの柩」に封印されていたマリスを解放し、人々の心の闇を増幅させることにより、人間同士が欲望のままにぶつかり合い殺し合う世界を招こうとした。その直後ウル達に倒されるも、ロシア皇帝の血を引くニコルの利用を目論んだ日本軍の思惑により、加藤によって拉致され日本軍の人体実験に掛けられてしまう。 その結果としてニコルの精神は崩壊して、アスタロトに肉体を乗っ取られることになる。そのアスタロトがウル達に倒されると、死の間際に肉体の支配権を取り戻し、ウルに恨み言を告げながらヤドリギの呪いを促進させた。それを妨害した加藤を殺害しようとするが桜花によって阻まれ、自分を庇った桜花の死に激怒した加藤に頭を握りつぶされて、カレンの名前を叫びながら死亡するという最期を迎えた。 異母妹であるアナスタシアは、彼が異母兄であることを知って驚いた様子を見せている。アスタロト あらゆるものの死と再生を司る堕天使。世界を創り変え混沌を呼ぶといわれる。アモンやアスモデウスと並ぶ高位の悪魔。地中海南部にある海底遺跡・ナハシュ神殿にて邪教を崇拝していた民族に祭られており、その魂は最深部に安置されている指輪に封じられていた。神殿を訪れ指輪を手に入れたニコルと契約することとなる。人間を見下しており、ニコルの精神を崩壊させ自分を引きずり出した人間たちを愚かだと蔑んでいる。 当初はニコルの自我により制御されていたが、彼が日本軍による人体実験に掛けられて精神が崩壊してしまったことで、契約者の肉体を乗っ取り、富士山(作中では不死山とも呼ばれる)の火口に姿を隠し、その地脈の莫大なエネルギーを集めることで、世界に滅びを与えようとする。 ウル達との戦いの際には、強化された新たな形態「ラストアスタロト」となった。しかしウルたちの意志の力の前に敗北し、アスモデウス同様肉体を失って紋章となった。 デザインはニコルの服装に合わせられており、また漆黒のアモンとは対照に白を基調とした体色となっている。初登場時は直立姿勢だったが、ラストアスタロトになった際は仏のように胡坐をかき、背中からは蜘蛛の足に酷似した角が伸びている。また、アスタロトの爪にはマリスの猛毒が塗られていることがイベントで語られている。 ベロニカ・ベラ 声 - 園崎未恵 サピエンテス・グラディオの女魔法戦士。性格と容姿はSMの女王そのもので、セクシーなボンテージに鞭、そして鳥の羽を模した仮面というスタイルであり、見た目に違わず拷問が趣味。ヨアヒムからは「エロエロクイーン」という渾名を付けられている。「Sはねえ、サービスのSなのよお!?」がポリシー。特技は家事。年齢は30代。 ラスプーチンの愛人でもあり、肉体関係を持っていることを匂わせる描写もある。惚れた男には最後まで忠誠を尽くす一途さを持っており、逃げたラスプーチンを追うウル達を食い止めるためただひとり交戦。巨大な蛇に酷似したモンスター「ナイトクイーン」に変身し、最期までラスプーチンを守るために戦った。レニが引っかかったウルの挑発も看破するなど頭もよく、レニが命をかけてウルたちと戦うつもりなのを知ると彼の意志を尊重して大人しく撤退するなど、本質的に仲間思いな人物である。 実はルチアの姉弟子でもあり、アロマオイルの罠を仕掛けてウルたちを捕らえるなどルチアと酷似した手法を用いる。またディレクターズカット版では二人で会話を交わすイベントが追加されている。 パーティメンバーのうち一人が彼女に拘束されるシリーズ恒例の拷問イベントがある。 レニ・カーティス 声 - 中村大樹 サピエンテス・グラディオの暗殺部隊「鉄の爪」の隊長。筋肉質なスキンヘッドの大男。年齢は26歳。秘密結社の幹部でありながら、根は正直者のお人好しで、任務中以外は地下鉄で老婆に席を譲ったり、チンピラに絡まれている人を助けたりしている。暗算が得意だったり、若い頃に着ていた服をほつれひとつ無く取っておくなど、几帳面な部分もある。 サントマルグリット島の監獄にて、ロジャー奪還のため現れたウル達と交戦。部下は全員打ち倒され「鉄の爪」の最後の一人となるも、レニは最後までウル達に立ち塞がり、モンスター「ゴッドハンド」に変身して死闘の末敗北した。最後は自らの手で壁に開けた大穴から身を投げる。 しかし終盤の隠しイベントでは生存していることが判明し、決着をつけた場でウルと再会する。組織がなくなった以上戦う理由もなくなったことを明かし、これからどうするかはゆっくり考えてみると告げ、ウルにかつて使っていたジャケットを渡す。また、彼に恩を受けた「鉄の爪」の戦闘員の唯一の生き残りと出会うイベントもあり、その生き残りも組織崩壊後は真っ当な人生を歩んでいた。 続編である『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』では、主人公であるジョニーの執事として登場している。 ビクトル 声 - 熊岡正浩 司教の肩書きを持つ秘密結社の幹部。使い魔を操る他、剣術にも長ける男でラスプーチンから一目置かれている。ラスプーチンに皇帝暗殺の命を受け、宮殿に潜入したところウルたちに遭遇し対決。ウルたちに撃退され姿をくらまし、その後、あと一歩で皇帝を暗殺するというところで天井から現れたウルに倒されて気絶した。アナスタシアがビクトルとラスプーチンの密会現場を写真に収めたことにより、ラスプーチンによる皇帝暗殺の陰謀が皇帝に知られることとなる。
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