サピエンス種とネアンデルタール人の進化系統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 00:02 UTC 版)
「ネアンデルタール人」の記事における「サピエンス種とネアンデルタール人の進化系統」の解説
sapiens 種とネアンデルタール人は、進化において同じ系統群(クレード)に属している。先述したとおり、ネアンデルタール人を sapiens 種からの派生種と見なすのが世界の定説であるが、一方で、ネアンデルタール人を sapiens 種の1亜種と見なす考え方が一部にはある。 この「クレード(系統群)Homo sapiens」における進化と絶滅の経緯は次のとおりである、 約16万年前の更新世東アフリカにて、既知で最初の sapiens 種と考えられる Homo sapiens idaltu(ホモ・サピエンス・イダルトゥ、ヘルト人)が誕生する。この種から約40万年前にネアンデルタール人が分岐した。「約16万年前に出現した種から約40万年前に出現した種が分岐した」というのは矛盾であるが、ネアンデルタール人を生んだのは H. s. idaltu の祖先ということかも知れない。ネアンデルタール人を派生種と見なす場合、その学名は Homo neanderthalensis(ホモ・ネアンデルターレンシス)である。一方で、sapiens 種の1亜種と見なす場合には、その学名は Homo sapiens neanderthalensis(ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス、ネアンデルタール人)である。約50~約40万年前になると H. s. idaltu から1亜種 Homo sapiens Altai(ホモ・サピエンス・アルタイ、デニソワ人)が分岐した。そして、約28万年前になると H. s. idaltu から遂に Homo sapiens sapiens が1亜種として分岐した。その後、H. s. Altai の生存は確認できず、H. s. idaltu も10万年前までに姿を消した。ネアンデルタール人(派生種説では H. neanderthalensis、亜種説では H. s. neanderthalensis)は約2万数千年前まで生き延びていたが、結局は絶滅し、その結果、sapiens 種の系統群は最後に現れた H. s. sapiens という1亜種だけが生き残った。 なお、sapiens 種が1亜種のみとなった後も、sapiens 種以外の人として系統群不明の種がまだ複数存在したが、彼らも1万年前頃までには全て絶滅してしまった。既知で最も遅くまで生存していたのは馬鹿洞人で、彼らが絶滅して以降、H. s. sapiens は、人類史上唯一の生き残りとなった。
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