ホモ・サピエンス・イダルトゥとは? わかりやすく解説

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ヘルト人

(ホモ・サピエンス・イダルトゥ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 20:39 UTC 版)

ホモ・サピエンス・イダルトゥ
生息年代: 更新世 , 0.16 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
ヘルト人の頭骨
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primate
亜目 : 真猿亜目 Haplorhini
下目 : 狭鼻下目 catarrhini
上科 : ヒト上科 Homoinoidea
: ヒト科 Hominidae
亜科 : ヒト亜科 Homininae
: ヒト族 Hominini
亜族 : ヒト亜族 Hominina
: ヒト属 Homo
: ヒト H. sapiens
亜種 : イダルトゥidaltu
学名
Homo sapiens idaltu
White et al.2003

ヘルト人学名Homo sapiens idaltu: Herto Man)は、約16万年前の東アフリカに生息していた[1]ホモ・サピエンスの亜種である。現生人類ホモ・サピエンス・サピエンスの直接の祖先であると考えられている[2]

学名はホモ・サピエンス・イダルトゥ(Homo sapiens idaltu)であり、ヘルト人の名は発見地であるエチオピアのヘルトに由来する[1]

概要

ヘルト人の頭骨は、1997年エチオピアのヘルトで発見され、年代は火山灰の放射年代測定から約16万年前と推定された[1]。発表当時、アフリカ単一起源説と合致する最古のホモ・サピエンス化石として世界中から注目された[1]。しかし、ヘルト人の頭骨は現生人類のそれと比較して最大長が長く、後頭骨が強く屈曲し、顔面部が大きいという特徴があった[1]。これにより、ヘルト人は現生人類の変異を超え、ホモ・サピエンスの亜種として位置づけられた[2]

名称

イダルトゥ(idaltu)は発見地エチオピアのアファール語で「長老」を意味する。調査メンバーの一人である諏訪元は発見地の名からヘルト人と呼称した。

研究史

発見

発見場所

ティム・ホワイト英語版諏訪元らからなる調査グループは、エチオピアアファール盆地にあるアワッシュ川中流域のヘルトで1997年にほぼ完全な頭骨を発見した[3]。なお、その後のさらなる調査で合計12の個体が発掘された[4]

亜種への分岐と命名

2003年に調査チームが発表した論文で、発見された頭骨は現生人類の差異の範囲を超えていると発表された[5]。調査チームは南アフリカ共和国のクラシーズ川洞窟やイスラエルのカフゼ洞窟から出土した最古の解剖学的現代人の標本と比較し、ヘルト人をホモ・サピエンスの亜種として分類し、ホモ・ローデシエンシスホモ・サピエンス・サピエンスの中間的な形態を有していると主張した[5]

近縁種との関係

外形的特徴は古い形質を残しているが、レベルの違いではないと判断され、ホモ・サピエンス亜種となった。ハイデルベルク人から進化したホモ・サピエンスの最古のものと解釈される。やや原始的な形質は残しているものの旧人段階ではなく、初期の新人段階にあると考えられる。現生人類の遺伝的多様性がきわめて小さいことは、人類のアフリカ単一起源説に基づけば、イダルトゥの1グループがボトルネック効果により選択された子孫であると説明される。

脚注

  1. ^ a b c d e 諏訪元. “B51 最古級のホモ・サピエンス化石”. 東京大学総合研究博物館. 2025年1月28日閲覧。
  2. ^ a b ラミダスからヘルトまで”. 2025年1月28日閲覧。
  3. ^ 戎崎 俊一. “エチオピアのアワッシュ川中流の更新世地層から発見された現生人類の化石:Pleistocene Homo Sapience from Middle Awash, Ethiopia”. 2025年1月28日閲覧。
  4. ^ Pearson, O. M. (2013). “Africa: The Cradle of Modern People”. The Origins of Modern Humans: Biology Reconsidered. John Wiley & Sons. ISBN 978-1-118-65990-8 
  5. ^ a b White, Tim D.; Asfaw, B.; DeGusta, D.; Gilbert, H.; Richards, G. D.; Suwa, G.; Howell, F. C. (2003), “Pleistocene Homo sapiens from Middle Awash, Ethiopia”, Nature 423 (6491): 742–747, Bibcode2003Natur.423..742W, doi:10.1038/nature01669, PMID 12802332 

参考文献

関連項目


ホモ・サピエンス・イダルトゥ

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人類の進化」の記事における「ホモ・サピエンス・イダルトゥ」の解説

ホモ・サピエンス・イダルトゥ 頭蓋骨化石標本 ホモ・サピエンス・イダルトゥ(学名Homo sapiens idaltu、和名の表記揺れホモ・サピエンス・イダルツ別の和名:ヘルト人)はエチオピア発見されており、16万年前頃生きていたと考えられる。それは亜種として扱われてはいるが(ただし、ホモ・サピエンス亜種分類法については学説統一した合意はない)、解剖学的に現代人であり、知られているなかで最も古い新人段階人類である。彼らの直接の子孫がネグロイドであり、モンゴロイドコーカソイドはネアンデルターレンシスとの混血種あるらしいという最近[いつ?]の研究結果がある。これによると、イダルトゥは系統的にネグロイド属することになる。 イダルトゥよりさらに古いサピエンス直接祖先としては約26万年前のフロリスバッド人 (1932年出土cf. en:Florisbad Skull) や金牛山人人骨発見されているが、これらは進化段階としては旧人とみられる。ただし、イスラエルで約40万年前の最古ホモ・サピエンスである可能性がある人骨発見されている。ネアンデルタール人との共通祖先との分岐年代40万年上前であることから、分岐直後時期にはホモ・サピエンス存在していたという解釈も可能であり、その場合、上記人骨化石はイダルトゥよりさらに古いホモ・サピエンス発見ということになる。

※この「ホモ・サピエンス・イダルトゥ」の解説は、「人類の進化」の解説の一部です。
「ホモ・サピエンス・イダルトゥ」を含む「人類の進化」の記事については、「人類の進化」の概要を参照ください。

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