ウィリアム・グラッドストン
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ウィリアム・ユワート・グラッドストン(英語: William Ewart Gladstone PC FRS FSS [ˈwɪljəm ˈjuːwɑːt ˈglæd.stən]、1809年12月29日 - 1898年5月19日)は、イギリスの政治家。
注釈
- ^ 1829年時のイギリス警察官の初任給は週に1ポンド1シリングであり、年収にすると60ポンド以下である。つまり60万ポンドという額は1万人の警察官の初任給に匹敵する[9]。
- ^ この暴動は官憲によって徹底的に鎮圧され、複数の黒人が拷問の末に殺された。また暴動に協力したとされた白人宣教師ジョン・スミスも拷問の末に殺されたが、後にスミスは冤罪であることが判明し、父ジョンは庶民院でホイッグ党から追及を受けた。それに対して父は「スミスは革命家のように行動してるからああなったのだ。奴隷制度は有史以来存在するものであり、場所によっては神が認めているものだ。植民地の奴隷のことなどより本国の下層階級の者の生活改善を考える方が大事である」と答弁している[25]。
- ^ パブリックスクールとは上流階級の子弟が入学する全寮制中等教育学校である。イートン校はそのパブリックスクールの中でも最名門校だった。基本的には貴族の子弟しか入れないが、最上層中産階級の子弟も少数ながら入学できた。グラッドストンもその一人だった[31]。イートン校では、当時も現在も学生たちに紳士であることを自覚させるため、シルクハットと燕尾服を制服にしている[32]。また当時のイートン校では、名誉や道徳に反した学生は校長から鞭打ちの刑に処されていたが、学生間の(あるいは学生と教師の間であっても)、名誉をかけた争いである場合は、その解決はすべて自律に任されていた。そのため決闘や喧嘩が絶えなかったが、こうした名誉をかけた人格のぶつかり合いは、未来の支配階級としての智徳体を養うものとして奨励するのがイートン校の教育方針だった[33]。
- ^ グラッドストンによると彼が鞭打ちに処されたのは、鞭打ちに処される学生のリストから学友3人の名前を取り除いたことがばれたためという)[35]。
- ^ この討論会は校内でもとりわけ知的な学生が集まっており、ストラフォード伯爵の処刑の是非、クロムウェルやミルトンの性質、ルソーの『社会契約論』やフランス革命について、ギリシャ独立について、貴族院の保守党優位状態の是非など様々なお題を作って盛んな議論が行われた[40][41]。
- ^ 当時のイギリスの選挙区には州(カウンティ)選挙区と都市(バラ)選挙区があり、第一次選挙法改正前、州選挙区では年収40シリング以上の土地保有者が選挙権を有した。一方都市選挙区は選挙権資格が一律ではなかったが、どの選挙区でも富裕層が有権者となるよう条件付けられていた。都市選挙区は産業革命以前の前時代の遺物であるため、近代の人口分布を無視して設定されており、極端に有権者数が少ない選挙区が多かった。ここから出馬する貴族は簡単に有権者を支配して全投票を独占することができた[70][71]。そのため、これを「腐敗選挙区」と呼んでいた[72]。しかし第一次選挙法改正によって「腐敗選挙区」の議席は削除されて、その分の議席は人口増加が著しい都市や州に配分された。都市選挙区の選挙権資格については年価値(一年の賃料)10ポンド以上の家屋の所有者ないし借家人に認められるようになった。州選挙区の選挙権資格については従来の40シリング以上の土地所有者という従来の条件に加えて年価値10ポンド以上の土地所有者にも認られることになった[73]。以上の改正によって中産階級の男性に選挙権が広がり、有権者数は43万人から65万人に上昇し、成年男子の15%が選挙権を持つようになった[74]。一方でイングランド南部の議席を北部の議席の3倍にすることによって農業利益を工業利益に優先させ、貴族の支配体制を温存させた。これを第一次選挙法改正と呼ぶ[75]。
- ^ イギリスでは大臣であっても自分の所属する院と別の院には出席できない[102]。
- ^ 国教会とカトリックが分離する宗教改革以前の「普遍的教会」の教義を絶対視し、カトリックと国教会を同一化しようというオックスフォード大学の聖職者が中心となって行っていた運動であった[82][107]。最終的にこの運動は主要な論者である聖職者がカトリックに改宗することで下火になるが、この運動が1830年代の宗教問題の盛り上がりに一石を投じた。グラッドストンもこのオックスフォード運動に影響を受けたが、彼は国教会の利益を保守しなければならない保守党の政治家でもあったから葛藤があった[108]。
- ^ 貴族院は庶民院以上に地主が多かったため、更なる反発が予想されたが、ナポレオンを破った英雄ウェリントン公爵の権威に造反議員が抑え込まれた結果、法案は貴族院も通過し、穀物法は廃止された[153][154]。
- ^ イタリア統一戦争とは、イタリア統一を目指すサルデーニャ王国が、ナポレオン3世のフランス帝国を味方に付けて、オーストリア帝国(当時イタリア半島北部をロンバルド=ヴェネト王国として支配し、またウィーン体制で復活したイタリア半島小国家郡や教皇領に巨大な影響力を行使していた)に挑んだ戦争である。イギリスではグラッドストン含む自由主義者の面々がナショナリズム支援の立場からフランス・サルデーニャ連合軍に共感を寄せ、一方保守主義者は反ナショナリズムの立場からオーストリアに共感を寄せる者が多かった。
- ^ 当時地方税の納税には一括納税と直接納税があった。一括納税すると直接納税より安く済むため、多くの人がこちらの納税方式を選択していた。下層民が選挙権を得るためだけにわざわざ高い税金に切り替えるとは思えないため、この条件は下層民排除の最大の安全装置であった[252]。
- ^ その恐れられぶりはこの時の自由党造反議員の団結の署名が、江戸時代の百姓一揆の傘連判状のごとく円形になっていたことにも表れている(円形署名は発案者が誰か分からないようにする意図がある)[260]。
- ^ この際にヴィクトリア女王は「全てを破壊し、独裁者になるであろう半狂人の扇動者と政務を語るくらいなら、退位してしまいたいです。余人が彼の民主主義に服従しても、女王だけは従いません」とまで語った[395]。
- ^ これによって二大政党制と階級政党化が一層促進され、保守党候補との違いが曖昧なホイッグ派は急速に凋落していくことになった[437]。ホイッグ派と急進派の両方を候補に立てた大選挙区時代の自由党の慣例が終わったこともそれに拍車をかけた[438]。ちなみに階級政党化の傾向は第一次世界大戦後に一層加速し、最終的には自由党そのものが没落して労働党が台頭する事態を招くことになる[439]。
- ^ ゴードンはアロー戦争で活躍し、アロー戦争後に清政府の依頼で清軍の司令官となり、太平天国の乱を平定したためこのあだ名が付いた[476][477]。
- ^ 植民地大臣は「Secretary of State for the Colonies」、自治大臣は「President of the Local Government Board」。Secretaryの称号の閣僚はPresidentの称号の閣僚よりも格が高かった[535]。
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