下部工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 01:01 UTC 版)
支持層は東海層で、その深さは海面下30 mにあって名港トリトンでは最も浅い。3大橋の地層断面は東海層群が基礎を成し、西に向かうほど深く傾斜することから他の2橋はそれよりも浅い位置にある地層に支持を求めたが、東大橋は東海層が近接するため、直接支持地盤とした。 基礎形式は海中部橋脚のP-3がフローティング工法によるニューマチックケーソン、同じく海中部橋脚のP-2は潮見ふ頭岸壁に近接して水深も浅いことから築島工法によるニューマチックケーソンを採用した。端部橋脚のP-1、P-4は現場打ちコンクリート杭である。このうちP-2は鋼矢板による二重締め切りのうえで、その中に土砂を投入して島を構築した。整地後、ケーソン安定沈下および急激な沈下を抑制するための地盤改良を施し、軟弱地盤の沖積粘土層に砂杭の複数打ち込みを行った(サンドコンパクション工法)。陸上部のP-1、P-4基礎は長さ30 mの鋼管杭を複数打ち込んでいるが、これは埋め立て地であるために地盤が軟弱であることを考慮したものである。
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下部工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 00:59 UTC 版)
支持層は海部弥富累層(あまやとみるいそう)で、その深さは海面下50 mにあって名港トリトンでは最も深い。3大橋の地層断面は東海層群が基礎を成し、東大橋付近でT.P-30 m付近であるが西に向かうほど深く傾斜することから、それよりも浅い位置にある海部弥富累層に支持を求めた。当該地層はよく締まった砂礫層である。 基礎形式は海中部橋脚のP-2、P-3がフローティング工法によるニューマチックケーソン、端部橋脚のP-1、P-4が現場打ちコンクリート杭である。P-2、P-3では鋼管矢板基礎と地中連続壁基礎も検討されたが、中央大橋区域は船舶の航行が多く、鋼管矢板基礎方式では広範囲の作業スペースを要することで航行禁止区域が大きくなる。一方の地中連続壁基礎は海上に島を築いてからケーソンを沈めることから、水深12 mの水域で施工するには莫大な工事と地盤改良を要することで、いずれも不採用となった。この点フローティング工法は築島を必要とせず、鋼殻ケーソンを海の浮力で浮かせてから海底に着底させるだけなので施工性、工事費ともに有利であることが採用の決め手となった。ただしニューマチックケーソンの問題点は、ケーソン底部の作業室に高圧の圧縮空気を送り込むことから窒素酔いもしくは潜函病発症のリスクが付きまとうことである。海面下50 mでは作業気圧が4気圧以上となって安全に作業出来る3気圧を上回る。作業室に地下水を流入させないための高圧圧縮空気の封入であることから、事前に地下水を汲み上げてしまえば海面下40 m以下でもそれほど高圧の圧縮空気を送り込む必要はなくなる。よって、ケーソン周辺に大深度の井戸を掘って揚水のうえ地下水位を下げる作業(ディープウェル工法)が併用された。ただし過度の揚水による周辺埋立地の地盤沈下が懸念されたことで、ケーソン周辺のみ揚水するために薬液注入による遮水壁を構築した。 ケーソン鋼殻を沈下させるにあたり、安定的な沈下を期するために海底の地盤改良を行った。沈下予定地は軟弱な沖積粘土層があって、これを海底から概ね10 mの位置まで砂を複数打ち込む工事(サンドコンパクション)を行うものである。打ち込みによって土が盛り上がり、これを含め不良土として回収したうえで厚さ2 mの砕石に置き換えることで地盤が改良される。これにより地盤支持力が強固となってケーソン鋼殻の安定沈降が可能となった。
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下部工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 01:00 UTC 版)
地質調査の結果、支持層として適格な東海層は、東大橋ではT.P-30 m付近だが、西大橋ではT.P-150 mでも確認できなかった。よって、それよりも浅い層を支持層として求め、砂層ではあるが強度的に安定している熱田層下部砂層(洪積層)をP-2およびP-3、P-4の支持層とした。その深度はT.P-45 m付近である。なお、一期線施工後に地層区分および記号が変更され、西大橋の支持層は従来の熱田層から海部・弥富累層となった。 基礎形式は海中部橋脚のP-2、P-3がニューマチックケーソン、陸上部橋脚のP-1、P-4が現場打コンクリート杭である。P-2、P-3では、ニューマチックケーソン基礎の他に鋼管矢板基礎も検討されたが、工事費用が割安であるメリットがあるにせよ、大型の鋼管矢板基礎の設計手法が確立されていないこと、および施工上の問題点が払拭されていないことからケーソン方式が採用された。 P1、P4はふ頭に建設されることから資材搬入路の心配はないが、問題は海中のP-2、P-3である。このため、P-2は西二区(現・木場金岡ふ頭)から、P-3は金城ふ頭から桟橋を設け、これを搬入路とした。一方、作業足場はジャケットと呼称する鋼製の足場を工場で組み立てたのち、フローティングクレーンで設置する方法によった。これにより海上作業期間の大幅短縮が可能となったほか、ジャケット上でクレーンおよびトラックを活用できることから作業効率の向上が図られている。 ニューマチックケーソンのため人がケーソン底部に入って掘削作業を行うが、そのためには作業室内から水を排除するために高圧の空気を送り込むことになる。しかしながら、掘削して深度が深まるにつれて多大な水圧を受けることから、それに対抗するためにより高圧の空気を送り込む必要があり、その結果、潜函病を発症するリスクが高まる。しかし施工の容易さ(地質、地層の変化に対応でき、支持地盤を直接確認できる)やコストの点から施行例が多く、西大橋もその例に漏れない。しかし、以上に見た悪影響(潜函病)を回避するためのさまざまな手段が講じられ、ケーソン周辺に大深度の井戸を掘って地下水を揚水することで、送り込む空気の圧力を低減して作業員の安全に配慮すると共に作業効率の向上を図った(ディープウェル工法)。 一期線計画時点で将来二期線が近接施工されることは織り込み済みであったが、当初は主桁の2倍の間隔をあけるとの前提から、ケーソン基礎の間隔は10 mで計画された。しかし、後年の道路規格変更で二期線が拡幅された関係でケーソン基礎間隔も13 mに拡大され、ケーソン基礎も一期線比で5 m拡大された。基礎間隔が約3 m拡大されたとはいえ、13 mしか離れていないところへケーソン基礎を埋めることで一期線への影響が懸念された。特にディープウェル工法によって地下水をくみ上げた際に地盤が変位して一期線の基礎が傾斜する懸念があった。潜函病対策として是非とも必要な工法であるが、以上のリスクを鑑み当工法を断念する代わりにヘリウム混合ガスを作業員に呼吸させることで問題の解決を図った。これによって海面下40 m以下の高い気圧の中での作業を可能とした。ただし、地面の掘削は世界初の無人掘削システムによる通常気圧下で作業員が遠隔操作でパワーショベルを操作し、ヘリウム混合ガスの吸引は機器のメンテナンスや点検時に限って使用した。 基礎と主塔を連結するためのアンカーブロックを設置してからコンクリートを打設するが、大重量で高さ120 mを越える主塔をコンクリート上で安定的に支え密着するには高精度の平坦性が要求される。このため、研磨機を使ってアンカーボルト周辺部のコンクリートを研磨した。
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下部工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 02:02 UTC 版)
主塔基礎の底版は3Pで橋軸方向35.0 m、橋軸直角方向25.0 m、厚さ5.0 m、4Pでは橋軸方向27.0 m、橋軸直角方向27.0 m、厚さ5.0 mである。橋脚は両側の充実部を接続する壁部からなる中空構造で、橋脚断面は3Pで橋軸直角方向が基部で16.0 m、頂部が23.0 m、高さ35.5 mとなり、4Pでは高さが33.5 mである。 マスコンクリートのひび割れ対策として、3Pでは底版を10層に分けて打設し第10層には膨張剤を添加した。また、3Pでは底版が海面より低いことから仮締切を行っている。4Pでは底版を8層に分けて打設した。橋脚についてもひび割れ抑制のため膨張剤添加や補強鉄筋配置、ポルトランドセメントの使用などを行った。また、塩害対策のため鉄筋は全てエポキシ樹脂塗装を行った。
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下部工(基礎)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 17:11 UTC 版)
海上に姿を見せる主塔を海面下で支えるのが下部工(基礎)で、その深さは、T.P(Tokyo Peil : 東京湾の平均海面)基準で、東大橋が約-34 m、中央大橋が約-52 m、西大橋が約-45 mである。3橋に差があるのは、地質構造が東と西では大きく変移しているためで、東側は東海層群が海面から近接することから東大橋はこの層を支持基盤としている。しかし、西に向かうにつれて東海層群は深さを増し、西大橋付近では-100 m以下となることからそこまで掘削することは不可能である。同様に中央大橋でも-70 mで不可能であることから、それよりも上層にある適正な層として、海部・弥富累層(あま・やとみるいそう)を支持層とした。 基礎構造の選定において、鋼管矢板基礎方式は、それが超大型となった場合の設計手法が未確立であったことに加え、名古屋港の船舶往来の激しさを加味して、工事専有面積を縮小出来る方式としてフローティング工法(海上に鋼製函体を浮かせてから沈み込ませる工法)によるニューマチック(pneumatic:圧縮空気の意味)ケーソン工法を採用した。これはコップを逆さにして水中に沈めると空気が充満する(空気の圧力によって水の侵入を防ぐ)ことを応用した工法で、コップに相当する巨大な箱(ケーソン:caissonとはハコの意味)を海中に沈め、人間がそこに入れば呼吸しながら海底を掘削できることに加え、地盤を直接肉眼で確認しながら掘削できることが特徴である。その施工プロセスは、ケーソン(鉄筋コンクリート製)の型枠となる鋼製函体(縦35 m、横33 m、高さ16 m〈名港西大橋の場合〉)を地上で製作したのち所定の場所に沈め、函体にコンクリートを充填し、なおかつコンクリート硬化後に水を注水してコンクリートと水荷重により海底に着底させる。これは函体の重量だけでは潮の干満によって浮き沈みのムラが発生するため、水荷重によって強制的に着底させるものである。着底後、函体底部の作業室に圧縮空気を送って水や泥を押し出し、人間をそこに送り込んだうえで掘削作業を行う。そこでは地上でばらした函内ショベルを作業室に搬入し、組み立て、名古屋港の海の底で人間がショベルを操りながら掘削する。一方、函体上部ではコンクリートを継ぎ足してケーソンを構築し、底部における掘削と上部における継ぎ足しを繰り返しながら海面から-45 m(名港西大橋)あるいは-52 m(名港中央大橋)の位置まで沈めてゆくものである。ケーソン頂上部は水面よりも5 m高いことから、名港中央大橋のケーソンの長さは57.5 mに達し、高さ20階のビルに相当する大規模な基礎となった。 ケーソン下部に空気の空間を維持するためには地上から高圧の空気を送って作業室の気圧を高くする必要があるが、海底奥深くまで掘削するに従って水圧も増すことから、それに負けないだけの高圧の空気を送り込めば、やがては血管内に空気(窒素)が大量に溶け込み、それが急激に地上に上昇して大気圧に戻ると血液中に気泡が生じて潜函病(ケーソン病)を発症する。気泡が毛細血管に入れば血流を止めることから体の一部が壊死、または死に至るなど、過去には多数の犠牲者を出した経緯から、海外の多くの国ではニューマチックケーソン工法を禁じている。また、潜函病の発症と並んで危惧されるのが、気圧の上昇とともに呼吸抵抗の増大や窒素酔いによる作業効率の低下を招いて事故を誘発する危険の増大である。このことから名港トリトンの建設では、ケーソン周辺に大深度の井戸を掘って地下水を揚水することで高圧の圧縮空気を送り込まなくてもよいように取り計らった(ディープウェル工法)。当工法は大深度掘削の中央大橋でも採用されたが、西大橋二期線の掘削にあたって当工法を使うと地盤が影響を受けて近接する一期線の基礎が傾斜することが懸念された。よって、当工法以外で作業員の安全を図る方法が模索され、結果、T.P-30 m以下ではヘリウム混合ガス(ヘリウム、酸素、窒素の3種類を混合したもの)を作業員に呼吸させることになった。これに世界初の無人掘削システムを併用するなどして高気圧障害から作業員を守っている。 基礎には南北側端部に数メートル規模の突起が設けられている。これは防護工と呼ばれ、船舶が誤って衝突した場合、基礎および主塔を完全に防護するための設備である。防護工があることによって、船首が主塔に接触しないように設計されている。 基礎完成後、その上に主塔が載る。そのために、基礎と主塔基部を連結するアンカーフレームと呼ばれる檻のような巨大な金属棒の一群を基礎の上に据え付けて鉄筋コンクリートで固定した。この棒の一群に主塔にあけられた穴がかみ合うことで両者は連結される。この際、密着面のコンクリートに研磨機をかけて平坦にし、主塔の鉛直精度を確保した。主塔据え付け後、アンカーフレームは締結に使用したボルト、ナットの防錆の観点から完全にコンクリートで覆われ、その姿を見ることは出来ない。 なお、先の第二次世界大戦の米軍による空襲によって名古屋港に大量の爆発物が投下された経緯から、下部工の施工に先立って架橋予定地の機雷の確認が磁気探査によって行われた。結果は、爆発物の残存は皆無であった。
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