ケーソン工法とは? わかりやすく解説

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ケーソン‐こうほう〔‐コウハフ〕【ケーソン工法】

読み方:けーそんこうほう

潜函工法(せんかんこうほう)


ケーソン工法

読み方けーそんこうほう
【英】: caisson method

橋梁きょうりょう}、ビルなどの基礎工法一つとして底部開放したコンクリート製鋼製古く木製の筒(ケーソン)の底面部分掘削しケーソン自重によって沈下させ、支持基盤まで到達させることによって基礎構築する工法をケーソン工法という。また、港湾工事において、防波堤岸壁などは構造大部分海中位置し現場施工が困難であるため、陸上あるいは FD(フローティング・ドック)上でコンクリート製の箱(ケーソン)を製作し浮上曳航えいこう}し、あらかじめ築造された捨石基礎の上据え付ける工法とられる防波堤等のケーソン工法は、耐波性が強く工費安く、かつ工期施工が確実であるという長所をもつが、重量が非常に大きくなるために、堅固な基礎、または支持基盤を必要とし、かつ一般に大規模なケーソン製作ヤード確保する必要がある

ケーソン

(ケーソン工法 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/07 02:00 UTC 版)

港湾工事で製作中のケーソン(常陸那珂港、2008年)

ケーソン: caisson)とは、防波堤などの水中構造物として使用され、あるいは地下構造物を構築する際に用いられるコンクリート製又は製の大型ののことである[1]。箱といっても、例えば明石海峡大橋の主塔基礎とした鋼製ケーソンは高さ65m、直径80mという巨大なものであった[2]

概要

港湾工事や海洋工事では、波浪潮流の条件が厳しい場合や、海底の支持層が比較的浅い場合によく用いられる。具体的には、ケーソンを沈めて海底に設置し、防波堤や橋梁基礎とする[1]。あるいは連続的に設置して海底トンネルを構築することもある。で用いるケーソンは、陸上工事のケーソンと区別するため、設置ケーソンと呼ぶ[1]

陸上工事における工法は、大きく次の2つに分けられる。

オープンケーソン工法(opened caisson method)
地上で構築して設置したケーソン本体の中空内部を人力あるいは機械で掘削しながら徐々にケーソンを沈下させ[3]、支持層まで到達した後にケーソン本体を基礎構造物とするものである。
ニューマチックケーソン工法(pneumatic caisson method)
潜函(せんかん)工法ともいう。オープンケーソン工法の場合、軟弱地盤地下水の多い地盤を施工すると、水や泥が作業箇所に流入し掘削作業が非常に困難になる。よって、あらかじめ本体下部に作業室を設け、その中に圧縮空気を送り込んで気圧の高い状態にし、この圧気によって水や泥の流入を防止して掘削作業を行うものである[3]。このため、加圧や減圧を行う設備など特殊な機械設備を備える。また、高気圧作業となるため、作業員がいわゆるケーソン病と呼ばれる病気にかかることがある。労働安全衛生管理には特別の配慮が必要である。

ケーソンを用いた基礎構造物の特徴としては、次の3つが挙げられる[4]

  • 他の基礎に比べて断面が大きいので、剛性が大きく変位が小さくなる。
  • 水平抵抗力と鉛直支持力が、ともに大きく期待できる。
  • ケーソン基礎の中空内部が、完成後地下構造物として利用できる。
沈埋トンネルに用いる沈埋函

陸上におけるケーソンは戦後しばらくまで施工例が多かったが、その後の杭基礎工法の発達により取って代わられ、次第に用いられなくなった。ただし、港湾・海洋工事や沈埋トンネル等の建設現場では今なおケーソン工法は不可欠なものであり、今も多くの施工例がある。

潜函工法による事故

過去においては技術や安全管理が未熟であったため、潜函の気圧が抜けるなどして中の作業員が水死する事故や労働災害が幾度も発生した。1969年4月には東京都荒川放水路の工事現場で9人、同年11月には大阪府尻無川の工事現場で7人が死亡する事故が起きている[5]

脚注

  1. ^ a b c 山下義之 (1984). “設置ケーソン工法”. コンクリート工学 22 (11): 20-26. https://doi.org/10.3151/coj1975.22.11_20. 
  2. ^ ZONE03 橋の建設(下部工)”. www.hashinokagakukan.jp. 橋の科学館. 2020年4月15日閲覧。
  3. ^ a b じめんの中の壁もいろいろ(後編) - やわらかサイエンス|地層科学研究所”. www.geolab.jp. 2020年4月15日閲覧。
  4. ^ ニューマチックケーソン > 工法の概要”. www.orsc.co.jp. オリエンタル白石株式会社. 2020年4月15日閲覧。
  5. ^ またも人柱、都会の季節労働者 泥の底から「助けて」 正月帰郷を前に七人『朝日新聞』昭和44年(1969年)11月26日朝刊、12版、15面

関連項目

外部リンク



ケーソン工法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 02:09 UTC 版)

萬代橋」の記事における「ケーソン工法」の解説

1927年昭和2年7月16日起工式執り行われ現橋架橋工事着工橋脚基礎部には、当時日本ではまだ例の少なかった空気潜函工法ニューマチックケーソン工法)を用いることとなった。この工事では、初め日本人のみの手によってケーソン工法が実施された。 ニューマチックケーソン工法アメリカから導入され当時最新技術で、関東大震災復興時に招請され米国人技術者指導により、隅田川架かる永代橋架橋工事導入された。萬代橋架橋当たっては、この技術指導受けた技術者である、内務省復興局技師正子重三らが招聘されている。 着工後、まず最初に巨大な機械設備が2か月をかけて組み立てられ潜函川底埋設された。その後架橋予定箇所には、鋼鉄製の巨大な筒が次々と打ち込まれ周囲には足場組まれた。この筒は地下基礎工事作業現場通じていたもので、その最上部には「ロック気閘)」と呼ばれる室が備えられていた。「ロック」は、地上大気圧と、圧縮空気送り込まれている地下との圧力差を調整する設備である。 当時のケーソン工法は過酷な人力掘削であった。しかし潜函に対して潜函病対策体調検査受けさせるなど十分な配慮がなされ、工期中数名軽症者が出たのみで、犠牲者出さず済んだ。 こうして製作された、水面下基礎地盤達する高さ15.2 m、幅7.9 m(4 - 5階建てのビル相当)にも及ぶ巨大な基礎は、2箇所橋台基礎と5箇所橋脚基礎用いられた。この堅固な基礎によって、萬代橋の高い耐震性確保されのである風説 しかし、建設工事が行われた当時はまだケーソン工法が一般的でなかったため、新潟市民は実情理解しないままに「恐ろしい作業現場」という誤ったイメージを抱くことになった作業員毎朝潜函上の筒の中から入ったきり、なかなか出て来なかった。詰所には診療所設けられており、夕刻になると潜函夫らが人力車乗って病院に向かう姿が見られた。これらは安全対策のために十分な検査努めた故の措置であったが、市民はこれを遠巻き見て重大事態であると誤解した。 やがて市内では「あの筒の底では、毎日何人もの人が死んでいる」「一度入ったら、二度と戻ってくることはできない」など、あらぬ風説が立ち始めた工事万全な安全対策施しており、死亡事故発生してはいなかったものの、この風説によって市民関係者動揺し工事支障を来すことが懸念された。 そこで工事指揮者正子は、工事実情広く公開して誤解を解くため、地元新聞記者潜函内の現場取材に招く策を採った。現場の状況詳細に報道されたことにより、ほどなく風説沈静化した。

※この「ケーソン工法」の解説は、「萬代橋」の解説の一部です。
「ケーソン工法」を含む「萬代橋」の記事については、「萬代橋」の概要を参照ください。

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