工期中
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 11:04 UTC 版)
保存修理と復原、耐震補強の主に3つの工事が施された。 文化財建造物の工事では、復原と耐震補強は現状変更となり、規模の大きな根本修理に該当する保存修理は柱や梁などを主要構造部にまで及んだ破損を部分的に解体し修理、健全な状態に回復させた。修理のひとつである、復原は古写真や図面等の根拠となる資料が必須であり、建造物の歴史を考慮したうえで、当時の仕様に復した。 しかしながら、修理で健全な状態にするだけでは耐震性能に問題がある事が調査で明らかとなったため、耐震補強工事も行った。補強方法としては、文化財の価値を損なわずに伝統的な工法の構造特性に適した方法を採用した。 2019年(令和元年)8月に始まった解体工事では、床板は取り外され、すべてに番号がふられ、元の位置に戻すまでは、別の場所で一時的に保管された。基礎コンクリートが打設される前に土壌の白蟻対策が行われた。重機が入らない場所の掘削もあり、人力でも行われた。基礎コンクリートは9月27日に打設された。円滑に打設は進み左官職人による表面の仕上げは見事だった。 雨漏りが確認された、玄関の車寄せは、文化財建造物の修理工事であり、部材の再利用が基本のため、瓦も丁寧に取り外された。また、今回の工事では、既存の基礎コンクリートを支えるため並びに、湿気・白蟻対策のための基礎コンクリートの増設が施された。屋外から床下に流れ込む雨水・雪解け水による床下部分の腐朽と蟻害は甚大であり、対策として外周に側溝を設けた。外周の基礎工事は、10月末までには終えた。 11月からは耐震補強工事を始め、耐震補強のために新設する鉄骨梁を支える柱を据え付け、1階西側に全部で4本の独立柱を新たに設けた。修理工事においてクレーンが使えず、鉄骨梁は切断、人力で運び込み、設置を行った。最大約400キログラムの重量であった。耐震補強の鉄骨梁の新設は人力による作業で搬入から設置まで丸2日を要した。新設された1階西側の鉄骨梁は旧庁舎屋内の雰囲気に調和するよう木材を用いた仕上げ工事を行った。また、外壁工事では、外部に足場を組み、ひび割れであるクラックを調査し、外壁を高圧洗浄。表面の汚れを落とし、補修工事を行う。 2階の北側の居室は耐震補強後、改修時の新建材を砂擦壁の養生材として残した。1階北側の居室は物置だったものを救護室でも活用できるようにと和室にした。 一旦外した瓦は、汚れを落としたうえで傷み具合を確認ののち、葺きなおした。再利用できない瓦のみ新しいものに替えられた。旧議場室内の壁のみクリーム色の漆喰壁である大津壁であることが調査で分かり、大津壁に復原する工程がなされた。装飾がある4枚のみ残っていた現存する当初の天井板は当時では高級なベニヤ板が用いられており、補修後に元の位置に戻された。現存以外の天井板は雨漏りにより多孔質のボードに張り替えられていたが、今回の修理によりベニヤ板での復原が行われた。旧議場の織り上げ天井の漆喰塗りの修理も施された。なお、当該箇所は、内壁の大津壁と異なっており、当初から白色の漆喰塗りであった。
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