主桁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 01:01 UTC 版)
潮見ふ頭側の側径間主桁は名港潮見ICのランプウェイが分合流することからカーブを描いている(画像左)。同様にICを控えることで他の主桁と比べて幅広である。画像手前側で約10 m広い。さらに負反力軽減のために鉄筋コンクリート床板を載荷している(画像右)。 3大橋に共通する薄型の変形六角形断面である。上下線を一体的にまとめた一箱桁で、上下分離の二箱桁としなかったのは塗装、点検等の維持管理面の容易さと、ねじれ剛度を高く取れること、および強度が増すことで桁高さを低く抑えられるからである。上下線一体であることから桁幅は標準部で37.5 m(フェアリング含む)である。桁下の航路空間は大型自動車運搬船の航行を考慮して40 mを確保、このため桁高さはT.P+46 mとなっている。 東大橋は中央径間に比べて側径間長が極端に短く、その比率は145 m+410 m+145 m(1:2.83:1)で、西大橋の176.5 m+405 m+176.5 m(1:2.31:1)、中央大橋の290 m+590 m+290 m(1:2:03:1)と比べてもその短さが際立っている。その結果、ケーブルの張り方は塔の左右で大きく異なる。それがもたらすものは、側径間内で桁を吊り上げる鉛直方向の力と死荷重のバランスが崩れる(鉛直方向に上向く力が主桁の重さに勝る)ことによる大きな桁曲げモーメントの発生である。これにより側径間の主桁は上に向かって跳ね上がる負反力が発生し、P-1、P-4橋脚と主桁を連結するペンデル支承の負荷が大きく、維持管理上好ましくないとされた。このため、ペンデル支承にかかる負荷を極力抑え込むためにカウンターウエイト(付加荷重)を載荷した。1500立方メートル(片側)のコンクリートを主桁のデッキプレート上に鉄筋コンクリート床板として東側径間が33 cm、西側径間が26 cmの厚みで上積みして負反力を軽減している。西側を薄くしたのは、インターチェンジのランプウェイが主桁に取り付くことで桁重量が増すことから、東側とのバランスを考慮して重量を減らすためである。 このコンクリート打設は側径間部であり、この付近には完成自動車のモータープールが近接することから、コンクリート打設中および打設後に発現するブリージング水の飛散防止策が必要となった。これについては、風によるひび割れ予防とも相まってブルーシートを被せることで対応した。打設は西側は名港潮見ICを使用して近接する高架橋にアジテーター(攪拌機)を設置して主桁に送り込むことができた。一方で東側は隣接する橋が未完成であったことで橋上の作業が出来なかったことから、新宝ふ頭にコンクリートポンプ車を配置のうえ、40 m上空の現場まで打ち上げることで対応した。 一方で中央径間部は名港中央大橋と同様の鋼床板を採用している。ここで問題となったのは、側径間のRC床板との接合部であった。諸々の検討の結果、鋼床板部とRC床板部をいきなり境界で分けるのではなく、なだらかな坂にしてRCに移行することとした。ただし、RCから鋼部に向かうにつれてコンクリートの厚みが薄くなることで、走行車両の荷重がかかった際に引っ張り荷重に対して鉄筋が十分な耐力を発揮出来ず、ひび割れが生じる恐れがあった。このため、鋼への移行部にはスチールファイバーを混入した鋼繊維補強コンクリートを打設している。 上記の通り、側径間側の内、P-1側は名港潮見ICが近接することから、P-1橋脚側がP-2主塔側と比べて約10 m幅広となっている。さらにP-1側が若干カーブするなど他の主桁とは形状が著しく異なる。 主桁架設は側径間側が陸上であるため、ベント併用による張り出し架設工法を採用し、全体に先駆けて側径間部を架設した。次に海上区間はフローティングクレーン(船に載ったクレーン)が使える所は複数ブロックを一体に組み上げた大ブロックで架設し、以降、中心部に向かって直下吊りクレーンにより1ブロック(幅37.5 m、長さ15 m)ごとに海上から吊り上げる張り出し架設工法により接合した。最終ブロックの併合は1996年8月10日に完了している。なお、ベントはその巨大さと非汎用性から他工事との使い回しが行なわれず、工事毎に新規製作のうえ、主桁設置後は廃棄されるのが通例だった。しかし、たまたま首都高速道路公団が鶴見つばさ橋のベント6基(この内2基は横浜ベイブリッジからの転用)の使用終了後に東大橋への転用使用について打診があり、日本道路公団はこの申し出を受けることにした。転用に当たっては改造で対応したが、それでも東京から名古屋までの輸送費と併せても、新規製作と比較して約3億円の経費節減となった。
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