フィシオロゴスとは? わかりやすく解説

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フィシオロゴス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/18 02:30 UTC 版)

フィシオロゴスギリシア語 : Φυσιολόγος, ラテン語 : Physiologus)は、中世ヨーロッパ聖書と並んで広く読まれた教本である。表題の「フィシオロゴス」とは、ギリシア語で「自然を知る者、博物学者」と言う意味である。ヨーロッパでは、5世紀までに訳された、ラテン語版に従って「フィシオログス」(Physiologus)と呼ばれている。




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フィシオロゴス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:52 UTC 版)

ユニコーン」の記事における「フィシオロゴス」の解説

ユニコーンヨーロッパ伝承三つ目経路は、初期のキリスト教徒達の教本となった『フィシオロゴス』(Φυσιολόγος, 「自然を知る者、博物学者」)と呼ばれる博物誌である。この書は、動物空想上動物を含む)、植物鉱物紹介して宗教上、道徳上の教訓が、『旧約聖書』、『新約聖書』からの引用によって表現されているものであり、のちの中世ヨーロッパ広く読まれる動物寓意譚』の原典になったと言われるのである原本ギリシア語書かれ各章には、まず聖書言葉述べられその後にその生き物についての自然科学的な解説続き最後に道徳的な教え述べられている。その第22章では以下のように書かれている詩篇作家ダヴィデ)は言う。「主は私の角をモノケロース(一角獣)の角のように高く上げられる『詩篇』92章第10節)」と。フィシオロゴス(博物学者)はモノケロースが次のような性質を持つと言う。モノケロースは小さなで雄ヤギぐらいだが、途方もない勇気持ち主であり、非常に力強いため、狩人近づくことができない。それは頭の真ん中一本の角を持っている。 さてどうしたらこれを捕まえられるだろうか美しく装った汚れのない処女近くに連れて来ると、それは彼女の膝に飛び乗って来る。そこで彼女はそれを飼い馴らし、王たちの宮殿連れて行くのである。 この生き物は、わが救世主の姿に引き写すことができる。なぜか。私達の父の角がダヴィデの家から蘇り救いの角となられた『ルカによる福音書』第1章69節)。天使の力ずくでは、彼を打ち負かすことはできなかった(『ペテロの手紙一第3章22節)。彼は真実かつ純潔な処女マリア胎内宿ったキリスト受肉)。言葉は肉となり、私達の内に宿ったのである(『ヨハネによる福音書第1章14節)。--『フィシオロゴス』第22章 『フィシオロゴス』に載っているユニコーンの姿は古典文学作家達が言うようなものと全く異なりウマでもロバでもなく、メガステネスの言うゾウの肢も持っていない。さらに、ユニコーン処女によってのみ捕まえることができるという伝説生まれたこの伝説の起源は、紀元前2000年頃古代オリエント成立したと言われる『ギルガメシュ叙事詩』にあると考えられている。ここに出て来半獣半人エンキドゥには一本の角は生えていないが、物語構造処女ユニコーン誘惑する話とよく似ているエンキドゥは、ウルクの王ギルガメシュ暴虐鎮めるために神々の命により、女神アヌンナキによって土から作られた。しかし作られたばかりエンキドゥは、獣たちとともに暮らしてばかりいたため、宮仕え遊女、つまり神聖娼婦派遣され、彼を誘惑し六日と七晩の間交わい合い達から引き離し本来の目的地、王都ウルクへと連れていく。そこでギルガメシュエンキドゥ激しく戦うが、やがて和解し両者盟友となる。 この形式神話その後インドへと伝わり変形され4世紀サンスクリット文学の『マハーバーラタ』第3巻第110 – 113章に出て来リシュヤシュリンガ(ऋष्यशृंग, 「鹿の角を持つ者」)の説話形式をとる。梵仙(カーシャパ)ヴィヴァーンダカが湖畔修行をしていると天女ウルヴァシー舞い降りて来た。ヴィヴァーンダカは彼女の美しさに見とれて思わず精を漏らしてしまった。ところがそばで飲んでいた牝鹿がこれを一緒に飲み込んでしまい、やがて一人の息子生んだ。この息子人間の姿をしていたが、額の中央一本の角が生えていた。それゆえ彼は「リシュヤシュリンガ」(鹿角仙人)と呼ばれた。彼は父の他は人間目にすることなく修行積んだ。さてこの頃アンガ国12年間に及ぶ大旱魃に苦しんでいた。ある時アンガ国王ローマパーダの夢枕インドラ神が立ち、リシュヤシュリンガ王都に連れて来れば旱魃は止むであろう告げる。そこで王は大仙のもとへ遊女(または王女)を派遣する女性達は父以外の人間見たことのないリシュヤシュリンガまんまと誘惑し王都に連れて来る。大仙王都足を踏み入れる大雨降り旱魃解消する。このリシュヤシュリンガ遊女による誘惑災厄解消西へ伝わりユニコーン処女による捕獲角による解毒と形を変え、『フィシオロゴス』からヨーロッパ伝わっていった。 聖バシリウス330頃 – 379)が書いたと言われている後代の『フィシオロゴス』には、『詩篇』22章21節の中でダヴィデユニコーンからの魂の救い祈っている詩篇について次のように述べている。「一角獣人間に対して悪意抱いている。一角獣人間追いかけ人間追いつくや、その角で人間突き刺し食べてしまうのである……よいか、人間よ、汝は一角獣から、すなわち悪魔から身を守らねばならぬ。なぜなら、悪魔人間悪意持ち人間邪悪なることをなすためにこそ送られて来たのだから。昼も夜も悪魔うろつきまわり、その詭弁人間貫き通しては、神の掟から人間引き離すのだ」このようにユニコーン救世主象徴であると同時にその敵対者悪魔象徴でもあった。中世ではこのような両義性」というのは珍しいことではなかった。バシリウスの『フィシオロゴス』にはゾウユニコーン友情の話も載っている。「ゾウには関節がないので、木に寄り掛かって眠る習性を持つ。そこで狩人達がその木に切り込み入れておくと、ゾウ大きなうなり声をあげながら木とともにひっくり返るカエサル著作ガリア戦記第6巻27節では関節のないヘラジカ同じよう狩られる)。隠れていた場所から狩人達が急ぎやって来て無防備に横たわるゾウの顎から象牙引っこ抜き急いで逃げてしまう。それは狩人達がユニコーン急襲され、その餌食とならないようにするためである。しかしユニコーン到着間に合えばユニコーン倒れたゾウ傍らひざまずき、その体の下に角を差し入れゾウ立たせるのである」ここでもまたユニコーン救世主象徴となっている。つまり「われらが主イエス・キリスト王者の角として表されている。われらすべての者の王は人間倒れているのを、そしてその人間が慈悲値するのをご覧になると、そこへやって来られ、その者を抱き起こすのである」この『フィシオロゴス』はアレゴリー重点を置きユニコーン自体ではなく、その性質からたとえられている。「ユニコーン良き性質悪しき性質持っている良き性質キリストおよび聖人たとえられ悪しき性質悪魔悪しき人間たとえられるユニコーンに関する話を載せた『フィシオロゴス』の断片もう一つある。「ある地方大きな湖があって、野の達が飲もうと集まる。しかし動物達が集まる前にヘビ這い寄って来て毒を吐く動物達は毒を感じると、もう飲もうとしない。彼らはユニコーン待っているのである。そしてそれはやって来る。ユニコーンはまっすぐ水の中まで入る。そうして角で十字を切ると、もう毒の力は消え失せて、彼はを飲む。他の動物達もみんな飲む」ギリシア人達がインドから聞き伝えた角の解毒作用が再び登場している。

※この「フィシオロゴス」の解説は、「ユニコーン」の解説の一部です。
「フィシオロゴス」を含む「ユニコーン」の記事については、「ユニコーン」の概要を参照ください。

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