ヨシ ヨシの概要

ヨシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/29 08:54 UTC 版)

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ヨシ
Phragmites australis
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : ダンチク亜科 Arundinoideae
: ヨシ属 Phragmites
: ヨシ P. australis
学名
Phragmites australis
(Cav.) Trin. ex Steud.[2]
シノニム

Phragmites communis
Trin.

和名
ヨシ、アシ(葦、芦、蘆、葭)、キタヨシ
英名
common reed
亜種品種
  • P. a. subsp. altissimus
  • P. a. subsp. americanus
  • P. a. subsp. australis
  • ケヨシ P. a. f. pilifer

英語で一般的に リード(reed) と呼ばれるが、湿地に生える背の高い草の総称もリード (植物)英語版(reed)と呼ばれる。本種のみを示す場合は、common reed と呼ぶ。

日本語における原名

和名ヨシの由来は、もともと本来の呼び名はアシであったが、「悪し」に通じるため、「ヨシ」と言い換えられたものである[3][4]。日本の在来植物で、『日本書紀』に著れる日本の別名「豊葦原千五百秋瑞穂国」とあるように[4]、およそ平安時代までは「アシ」と呼ばれていたようである。『更級日記』においても関東平野の光景を「武蔵野の名花と聞くムラサキも咲いておらず、アシやオギが馬上の人が隠れるほどに生い茂っている」と書かれている。

8世紀、日本で律令制が布かれて全国に及び、人名土地名前縁起のよい漢字2字を用いる好字が一般化した。「アシ」についても「悪し」を想起させ縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、「葦原」が「吉原」になるなどし、「ヨシ」となった。このような経緯のため「アシ」「ヨシ」の呼び方の違いは地域により変わるのではなく、新旧の違いでしか無い。現在も標準的な和名としては、ヨシが用いられる。これらの名はよく似た姿のイネ科にも流用され、クサヨシアイアシなど和名にも使われている。

関西地方では、お金を意味する「お足」に通じるため、「アシ」の名前が残されている[4]

特徴

大型の多年草[5]。河川、湖沼などの水辺に、背の高い大群落をつくる[3][4]。地中には長く這う類白色の地下茎があり、節からひげ根を出し[5]、条件がよければ一年に約5メートル (m) 伸びる。

垂直になったは高さ1.5 - 3 mになり[3]、暑いほどよく生長する。地上茎は中空で直立し、は線形で茎に斜めについて互生する[3]。ツルヨシと違い、茎の節部には毛はない[3]。茎から直接葉が伸びており、高さ20 - 50 cm、幅2 - 3 cmで細長く、葉の先端は垂れる[3]。葉の基部は茎を囲む葉鞘となり、茎から離れて葉身となる[5]。葉身の基部の両側に、葉耳(ようじ)とよばれる小さな耳状に張り出した突起部があり[3]、葉鞘口部には毛が列をなして生えているのが特徴である[5]

花期は夏から秋(8 - 10月)で[6]、茎の頂から穂が出て[5]は暗紫色から黄褐色で[4]、小穂が多数ついた長さ15 - 40 cmの円錐花序に密集している[3]。花序はススキのように片側になびくことがない[6]。小穂は2 - 4個の小花があり、第1小花は雄性花、その他は両性花で基部に毛を密生する[6]果実穎果で、形は線状の楕円形をしており、熟すと小穂とほぼ同じ長さの白毛がつき、護頴の先から伸びて芒のように見える[6]

ヨシは風が吹いて地面に倒されても、茎が柔軟なため折れることがなく、やがて起き上がって上に向かって生長する[7]。また、ヨシは他の植物が生えない純群落をつくる[7]。ヨシのアレロパシーについては、大量に含まれる没食子酸が分解して、メソシュウ酸(MOA)という物質が生成され、これが雑草の発生を抑制するアレロケミカルとして報告されている[8]。没食子酸は、多くの植物に含まれている代表的な加水分解性タンニンである[8]。また、メソシュウ酸は、別名タルトロン酸または、2-ヒドロキシン酸ともよばれ、大量に体内に摂取されると毒性がある物質である[8]

類似種にツルヨシがあり、地表に匍匐茎を伸ばして節に毛があり、葉身の基部は耳状に突き出ず、葉鞘の上部が赤紫であるところが相違点である[5]


  1. ^ Lansdown, R.V. (2017). Phragmites australis (amended version of 2015 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T164494A121712286. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T164494A121712286.en. Downloaded on 27 October 2018.
  2. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2012年6月15日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年2月14日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 238.
  4. ^ a b c d e f g h 藤井義晴 2019, p. 145.
  5. ^ a b c d e f g h i j 馬場篤 1996, p. 113.
  6. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 217.
  7. ^ a b 藤井義晴 2019, p. 148.
  8. ^ a b c 藤井義晴 2019, p. 146.
  9. ^ Saltonstall, K. 2002. Cryptic invasion by a non-native genotype of the common reed, Phragmites australis into North America. Proc Natl Acad Sci 99(4): 2445-2449.
  10. ^ 西川嘉廣『ヨシの文化史 : 水辺から見た松江の暮らし』サンライズ出版〈淡海文庫〉、2002年。ISBN 4-88325-133-0
  11. ^ 藤井義晴 2019, p. 147.
  12. ^ 足田輝一編『植物ことわざ事典』東京堂出版、1995年。ISBN 4-490-10394-8


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