ヨザルとホエザル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 06:50 UTC 版)
「霊長類の色覚の進化」の記事における「ヨザルとホエザル」の解説
新世界ザルの2つの属は、選択圧の違う、異なる環境が集団の色覚にどのように影響するかを考える上で注目に値する。ヨザル属(英語版)は、そのS型オプシンとM型/L型オプシン遺伝子の多型を失っている。この属は夜行性であり、色があまり重要でない世界で最も頻繁に行動するため、色覚に対する選択圧は緩和された。逆に、昼行性のホエザル属(英語版)は、比較的最近に起きたM型 / L型遺伝子の遺伝子重複を通じて恒常的3色型色覚を再獲得した。この重複により、X染色体上に緑色視の対立遺伝子と赤色視の対立遺伝子の両方を保持できる2つの遺伝子座が生じたため、オス・メス両方で3色型色覚が可能となった。ホエザルにおける恒常的3色型色覚の再獲得とその普及は、ホエザルにとっての進化上の利点が3色型色覚によりもたらされることを示唆している。 ホエザルは、おそらく新世界ザルの中で最も葉食性の高いサルである。その食生活において果実は多くを占めておらず、ホエザルが好んで消費する種類の葉(若く、栄養価が高く、消化しやすく、しばしば赤みがかった色)は、赤・緑色覚により最もよく識別される。ホエザルの食餌の好みを調査するフィールドワークにより、葉食性採餌により恒常的3色型色覚が環境的に選択されたことを示唆している 。
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