でんぱ
昭和47年(1972)8月に打ち上げられた科学衛星REXSの愛称。東京大学宇宙航空研究所(現JAXA(ジャクサ))により開発。打ち上げ後3日目に電源回路に異常が生じ、運用を断念した。通信が途絶するまで電離層および磁気圏のプラズマの観測を行った。
でん‐ぱ【電波】
電波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/06 04:56 UTC 版)


概説
電磁波の存在を初めて実証したハインリヒ・ヘルツは著書『Electric Waves』(1893年)の中で、電磁波を「Electromagnetics wave in air(空中の電磁波)」と「The propagation of electric Waves bymeans of wire(線上の電磁波)」に区別しており、電波に関する国際機関ITU-Rにおけるradio waveの定義も
radio waves or hertzian waves:Electromagnetics waves of frequencies arbitrarily lower than 3000GHz,propagated in space without artificial guide. — 『ARTICLE 1 Terms and definitions,1.5』、ITU(1992)
とあるように、「人工的なガイドなしで空中を伝搬する電磁波」であることを明確化している[3]。
用途
電波の用途としては、次のようなものを挙げることができる。
歴史
1864年にジェームズ・クラーク・マクスウェルは「光は波の姿をした電磁散乱である」と予測した。それから13年後の1887年にハインリッヒ・ヘルツがマクスウェルの方程式から光よりも周波数の低い電磁波(電波)の姿を推測し、電磁波の発生と検出を可能とする実験機器を考案制作してその存在を実証した[3]。
今日、電波は英語では"Radio wave"もしくは"Hertzian wave"と呼ばれており、"Radio"と略して呼ばれる場合もある[3]。CCIR(現在のITU-R)の基金が設立された1927年に世界的な公用語として定着した。一方、1904年にイギリスの郵便局が無線電信をRadioと称したことから、Radioは空間に適した周波数帯の電磁波を使用して情報を搬送する技術・機器・システムを指す語として一般に使われるようになった[3]。
日本語の「電波」という訳語は明治26年(1893年)に逓信省技師の伊藤潔が著した『電気訳語集』が初出と考えられる[3]。『電気訳語集』では、"Electric wave"の訳として「電波」を充てている。その後「電波」の用例は増えていったが、大正4年(1929年)の無線電信法には「電波」の文字はない。昭和25年(1950年)に制定された電波法によって現代の「電波」が公用語として定義された[3]。
電波における電磁スペクトル
周波数と対応する波長によって電波は以下の周波数帯に分割される。
周波数帯 | 略称 | ITU基準 | 周波数 | 波長 | 用途例 |
---|---|---|---|---|---|
3Hz以下 | 100,000km以上 | ||||
極極極超長波 | ELF | 1 | 3 - 30Hz | 10,000 - 100,000km | 潜水艦の通信 |
極極超長波 | SLF | 2 | 30 - 300Hz | 1,000 - 10,000km | |
極超長波 | ULF | 3 | 300 - 3000Hz | 100 - 1,000km | 鉱山における通信 |
超長波 | VLF | 4 | 3 - 30kHz | 10 - 100km | |
長波 | LF | 5 | 30 - 300kHz | 1 - 10km | |
中波 | MF | 6 | 300 - 3000kHz | 100m - 1km | |
短波 | HF | 7 | 3 - 30MHz | 10 - 100m | |
超短波 | VHF | 8 | 30 - 300MHz | 1 - 10m | |
極超短波 | UHF | 9 | 300 - 3000MHz | 100mm - 1m | |
センチメートル波 | SHF | 10 | 3 - 30GHz | 10 - 100mm | |
ミリ波 | EHF | 11 | 30 - 300GHz | 1 - 10mm | |
サブミリ波 | 300GHz以上 | 1mm以下 |
日本での規定
質の規定
電波法第28条に「送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。」と規定している。これを受けた無線設備規則には、第1章総則第2節電波の質として、第5条から第7条に「周波数の許容偏差」、「占有周波数帯幅の許容値」、「スプリアス発射又は不要発射の強度の許容値」があり、具体的な値は別表第1号から第3号に規定するものとしている。
広域使用電波という線引き
電波法第103条の2第2項に「広範囲の地域において同一の者により相当数開設される無線局に専ら使用させることを目的として別表第7の上欄に掲げる区域を単位として総務大臣が指定する周波数(6000MHz以下のものに限る。)の電波」と規定している。 広域使用電波の指定は、電波法施行規則第51条の9の9に「総務大臣が別に告示により行うものとする。」とされ、この規定に基づき告示[4]される。
この規定は、電波利用料の算定に際し、電波の経済的価値に応じて負担する考え方を導入したもの[5]で、携帯電話など特定無線局として包括免許されるものについて適用され、使用する周波数幅に応じて増減される。当初[6]の上限は3000MHz以下であったが後に[7]6000MHz以下となった。なお、導入の検討時から「広域専用電波」という文言が使用され、電波法改正後でもこの語を使用した記事があるが、これは誤字である。
脚注
- ^ “電波法”. elaws.e-gov.go.jp. e-Gov法令検索. 総務省. 2021年6月21日閲覧。 “(定義) 第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。 一 「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。”
- ^ “国際電気通信連合憲章(平成七年一月十八日条約第二号)”. 総務省. p. 69. 2021年6月21日閲覧。 “注1 電波とは、人工的導体のない空間を伝搬する当面三、〇〇〇ギガヘルツよ り低い周波数の電磁波をいう。”
- ^ a b c d e f 野島俊雄・大西輝夫、電波産業会電磁環境委員会(編)『電波と生体安全性:基礎理論から実験評価・防護指針まで』 <設計技術シリーズ> 科学情報出版 2019年 ISBN 978-4-904774-79-3 pp.120-131.
- ^ 令和3年9月27日総務省告示第336号(令和3年12月20日施行)電波法施行規則第五十一条の九の九の規定に基づく総務大臣が指定する周波数(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
- ^ 電波利用料の料額算定の考え方(総務省電波利用ホームページ - 電波利用料制度 - 電波利用料の額)(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 平成17年法律第107号による電波法改正の平成18年4月1日施行
- ^ 令和元年法律第6号による電波法改正の令和元年10月1日施行
関連項目
- 電波の周波数による分類 - アマチュア無線の周波数帯
- 電波工学・無線工学
- 電波障害
- 通信・電気通信・無線通信
- エレクトロニクス用語一覧
- 電波利用料
- 電波天文学
- 電波の日(6月1日)
- 電磁波過敏症
- 非電離放射線
- ラジオ
- アンテナ
- 電離層
- 電波系
外部リンク
電波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 15:05 UTC 版)
フランスのミリ波干渉計NOEMAは、2018年6月20日に観測を開始し、90GHzの周波数帯で6mJy程度の電波を検出した。6月22日には、マラード電波天文台の大型干渉計AMI-LAが、15.5GHzの周波数帯で0.5mJy程度の電波を検出。マウナケア天文台群のサブミリ波干渉計(SMA)では、発見の5日後からミリ波とサブミリ波による監視が行われ、これはAT2018cowの最も長期で密な追観測の一つとなっている。SMAの観測で、AT2018cowにおいて、突発天体でミリ波が増大する過程を世界で初めて観測することに成功した。6月26日から7月3日にかけては、オーストラリアコンパクト電波干渉計(ATCA)による観測が多数行われ、複数の周波数帯で電波を検出、5.5GHz、9GHz、34GHzで後から観測した方が電波が強くなっていることを示した。7月3日と4日には、e-MERLIN(英語版)でも観測が行われ、ATCAの結果と整合する電波が検出された。8月12日には巨大メートル波電波望遠鏡も観測を行い、この時点でも比較的強い電波を検出した。 また、VLBIによる位置天文学的な観測も行われており、7月8日のアメリカ国立電波天文台のVLBA及びエフェルスベルク電波望遠鏡を使った観測では、e-MERLINが求めたAT2018cowの赤経・赤緯をより高い精度で決定した。9月18日に、ヨーロッパVLBIネットワークによって行われた観測で求めた座標も、VLBAとエフェルスベルクが求めたものと一致した。
※この「電波」の解説は、「AT2018cow」の解説の一部です。
「電波」を含む「AT2018cow」の記事については、「AT2018cow」の概要を参照ください。
電波
出典:『Wiktionary』 (2021/06/20 04:18 UTC 版)
名詞: 日本語
発音(?)
- で↘んぱ
翻訳
- イタリア語: onde radio
- ウルドゥー語: مشعہ امواج
- 英語: radio wave
- カタルーニャ語: espectre radioelèctric
- サモギティア語: radėjė bangas
- スウェーデン語: radiovågor
- スペイン語: onda de radio
- スロヴァキア語: rádiové žiarenie
- スロヴェニア語: radijski valovi
- デンマーク語: radiobølger
- ドイツ語: radiowelle
- ノルウェー語: radiobølger
- ノルウェー語(ニーノシュク): radiobølgjer
- バスク語: irrati-uhin
- ヒンディー語: रेडियो तरंग
- フィンランド語: radioaallot
- フランス語: onde radio
- ブルガリア語: радиовълни
- ヘブライ語: גלי רדיו
- ポーランド語: fale radiowe
- ポルトガル語: ondas de rádio
- マラヤーラム語: റേഡിയോ തരംഗം
- ラトヴィア語: radioviļņi
- リトアニア語: radijo banga
- ルーマニア語: unde radio
- ロシア語: радиоизлучение
関連語: 日本語
「電波」の例文・使い方・用例・文例
- 電波
- 東京の名所の1つです。世界で一番高い「自立式電波塔」で、2つの展望台があります。
- 電波望遠鏡で輝線を観測する
- そちらの電波が悪いようです。
- ジャンスキーが観測したのは銀河系の中心核からの波長14.6mの電波であった。
- 彼の携帯電話は他の電話を妨害する電波を出した。
- 電波の発見により、無線通信が可能になった。
- 小笠原諸島では、NHKの電波しか入らない。
- 信号電波に従って飛行する.
- この携帯無線機は 2 マイルも電波が届く.
- 高感度電波受信機.
- テレビの電波はまっすぐにしか進まない.
- すべてのテレビ局は皇太子と皇太子妃のパレードの様子を電波に乗せて伝えた.
- (太陽について)太陽黒点、揺らめく炎、および電波放射の増加する発生により特徴付けられる
- 地球上で受信された電波
- 電波による写真の送信
- 電波を通してメッセージを送る
- 電波望遠鏡による観測
- 特定のチャンネルまたは周波数の電波妨害
- 電波は音を伝える
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- 電波の種類 - 総務省 電波利用ホームページ
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