干渉計とは? わかりやすく解説

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かんしょう‐けい〔カンセフ‐〕【干渉計】

読み方:かんしょうけい

光源からの光を二つ以上に分け、再び合わせたときの光波干渉現象利用して、光の波長屈折率スペクトルの構造などを計測する装置


干渉法

(干渉計 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/19 08:02 UTC 版)

2波干渉
単色光源による波面を距離を変えてぶつけてやると、こうなる。

干渉法(かんしょうほう、: Interferometry)は複数の波動を重ね合わせるとき、それぞれの波の位相が一致した部分では波が強め合い、位相が逆転している部分では弱めあうこと(干渉)を利用して、波長周波数)や位相差を測定する技術のこと。この原理を利用した機器を主に干渉計(かんしょうけい、Interferometer)とよぶ。

ガンマ線から可視光線電波音波領域に及ぶ電磁波工学の研究・製品の製造管理(および較正)・動作原理においては基礎的技術であり、この原理を利用する機器・分野は極めて多岐に渡る。

歴史と概要

ニュートン環

基本的には重ね合わせの原理を利用する。初期の干渉計は、白色光、または(原子の輝線スペクトルを利用した)単色光の2光線を用いて、物理学上の実験の為に製作・使用されたものであった。典型的な例として、1805年に行われたヤングの実験や1887年のマイケルソン・モーリーの実験二重スリット実験が挙げられ、光波の媒体としてのエーテル説が否定される、電磁波の粒子性と波動性が検証されるなどの多大な業績が達成された。

その後、光源として理想的な性質をもつレーザーの発見などによって干渉計は進歩し、現在ではブロックゲージの較正・非接触でのガス流速測定から電波天文学まで、極めて広範囲に応用されている。

光学分野では、光線を2本以上干渉させた場合、その振幅差・位相差によってできる干渉縞の形状が変わる[1]。このことを計測に利用する。

(電波領域の)電磁波の領域においては、主に2信号が増幅されるか打ち消しあうことの検出によって検出を行っている。

種類と応用

光干渉断層像 (Optical Coherence Tomography; OCT)で指先の皮膚を立体構造で可視化した画像。汗腺などが立体的に見られる

被観察物の複屈折量や微小な厚みの変化・応力(ひずみ)や内部構造の可視化、超高精度の平面や放物面の面粗さ測定などに用いられている。応用例を以下に示す。

リングレーザージャイロ光ファイバジャイロスコープサニャック効果(角速度の変移によって光路に位相差が発生する現象)を利用して、加速度や方位の遷移を検出する。信頼性や精度が高く、航空宇宙工学における位置確定や姿勢制御に使用されている。

オートフォーカス一眼レフカメラは(主に[2])干渉法を用いて高精度・高速なオートフォーカス動作を行っている。

位相差顕微鏡微分干渉顕微鏡は、位相差光学素子や偏光素子を顕微鏡に用い、非常に透明度の高い物体や微小な段差の測定が可能となっている。

音波においては、逆位相の音を発生させることによって騒音を低減するヘッドホンや自動車用静穏装置が開発され、発売されている。

  • 光学関係

ビームスプリッタによって光束を2つに分割し、2光束を再度結合させることによって干渉させる。光束が通過する媒質の屈折率や距離によって光学的距離が変化し、これを干渉縞のパターンによって可視化できる。これによって気体の密度分布やガラスのゆがみが検出できる。

ホログラムの記録

2光束の干渉によって3次元構造を記録する方法

電波領域におけるバンドパスフィルタとして機能し、ラジオ等での選局やスペクトラムアナライザの掃引などに用いる。

気に入らない通信を妨害するために、気に入らない通信が行われている周波数帯域に対して高強度の信号を発振させて干渉を起こさせたり、気に入らない通信の比強度を低下させることによって通信を妨害することが可能である。技術的には気に入らない政治主張を行うラジオ放送や携帯電話の通信の妨害、オービス装置の誤動作を意図的に発生させることなどが可能である。軍事的には電子戦などと呼称される。これに対する手段としてスペクトラム拡散などの技術がある。

複数の電波望遠鏡を接続し、分解能を向上させる技術などに干渉法が用いられている。電波天文学には欠かせない手法である。

脚注

  1. ^ 白色光を用いた場合、色分布によって可視化することもできる
  2. ^ コントラスト式測距を行うものもある

参考文献

英語版の各項目

関連項目


干渉計

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/27 00:09 UTC 版)

ウィルソン山天文台」の記事における「干渉計」の解説

ウィルソン山の非常に安定した大気干渉法観測に非常に適している。干渉法複数視点からの観測データ組み合わせることで分解能上げ恒星直径のように天体微細なサイズ直接測定する方法である。マイケルソン1919年フッカー望遠鏡使って天文干渉法歴史上初めて他の恒星測定行なった赤外空間干渉計 (Infrared Spatial Interferometer, ISI) は中間赤外域を観測する3基の65インチ (1.7m) 望遠鏡アレイである。これらの望遠鏡最大70m離して配置することができ、これによって口径70m相当の分解能を得ることができる。望遠鏡で受光した信号ヘテロダイン回路通して電波の周波数変換され電波天文学から流用した技術用いて電気的に合成されるISIカリフォルニア大学バークレー校一部門によって運用されている。基線最大 (70m) に伸ばした場合分解能波長11µmにおいて0.003秒角達する。2003年7月9日には ISI中間赤外域で初めて、closure phase開口合成観測成功したCHARA (Center for High Angular Resolution Astronomy) アレイは6基の1m(40インチ望遠鏡3本の軸上に配置した干渉計で、最大基線長は330mである。この装置では光線真空管通って光学的に合成されるこのため地球の自転による光の位相変化打ち消すため、可動式の鏡を動かすための全長100m建物付属している。CHARAジョージア州立大学によって運用されており、2002年学術使用開始し2004年には常時運用始まった合成され画像赤外域で0.0005秒角分解可能である。2005年現在、6基の望遠鏡のうち4基が干渉観測用いられている。

※この「干渉計」の解説は、「ウィルソン山天文台」の解説の一部です。
「干渉計」を含む「ウィルソン山天文台」の記事については、「ウィルソン山天文台」の概要を参照ください。

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