サニャック効果とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > サニャック効果の意味・解説 

サニャック‐こうか〔‐カウクワ〕【サニャック効果】

読み方:さにゃっくこうか

に関する物理現象の一。回転する円形光路考え回転方向沿って光が1周する時間と逆方向に1周する時間の間に差が生じ効果を指す。特殊相対性理論に基づく効果で、慣性系対す角速度をΩ、光が1周する経路囲まれ面積をS、光速をcとすると、時間の差は4SΩ/c2表される


サニャック効果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/22 18:53 UTC 版)

サニャック効果の模式図
サニャック干渉計または光ファイバジャイロスコープの模式図
回転体上で異なる方向へ光が進む事で光路差が生じる

サニャック効果(サニャックこうか、Sagnac effect 又は Harress-Sagnac effect)とは、回転する観測者から見た現象には、時間のずれが移動経路(および移動方向)に依存して生じるという効果を指す。回転する観測者から見た現象は回転座標系を用いて記述されるが、この座標系は非慣性系であり、一般相対論により取り扱われる。

狭義では角速度を検出するリングレーザージャイロスコープ光ファイバジャイロスコープ等において光伝播速度が伝播方向に依存する効果・現象を指す。

この効果は回転座標系から(特殊相対論で扱うことのできる)慣性系に変換して考えれば説明が容易である(したがって一般相対論を敢えて知る必要は無いとも言える)。

一般相対論に基づくサニャック効果の説明

サニャック効果は、回転座標系の下で、移動経路(および移動方向)に依存する形で生じる時間のずれを指すが、この時間のずれとは相対論的な固有時のずれ(時間の遅れ)を指す。非慣性系下の事象を記述する一般相対論に従えば、移動経路に依存する形で生じる時間のずれは当然の事象とされる(大域的同時性の不成立)。

一般に、非慣性系の下では上記のずれが生じ、時計の進みには単なる特殊相対論的なずれが生じるだけではなく、ある経路上に沿って時計を持って移動することを考えると、移動経路に依存するずれが生じる。実際に、非慣性系の下では、異なる2つの経路(例えばa→b→cとa→b'→c。bとb'とは異なる時空点であると仮定。)を移動させた後のそれぞれの時計を比較することによって、両者のずれの差を観測できる。光などの信号が経路を伝播する場合は伝播時間が「伝播経路長÷伝播速度+移動経路に依存する伝播時間のずれ」(もしくは伝播速度自体のずれ)として観測される。自由伝播経路も直線とはならない。これらは光伝播の重力レンズ効果とも基本的に話は同様である。

特に回転座標系に特有な時間のずれとこれに起因する効果をサニャック効果と呼び、移動方向に対して時間のずれは非等方性を示す。 典型例としてリングレーザージャイロスコープでは、光などの信号伝播は、ある周回経路上を回転座標系回転軸に対して右回りと左回りに1周する2つの経路の信号伝播時間には差が生じる。すなわちこの周回経路を回転軸(角速度

2つの光の伝播時間差の測定には光波同士の位相差を観測する。
リングレーザージャイロスコープの原理。慣性系に対して装置を固定した場合:光ファイバーの中の1点から光が走り出し(1)、両方の光は同時に元の位置に戻る(2)。 装置が回転している場合:光ファイバーの中の1点から光が走り出し(3)、片側の光が先に元の位置に戻る(黄色の矢印)(4)。

リングレーザージャイロスコープや光ファイバジャイロスコープ(「光ジャイロ」)を理解するために、回転する円形光路を考える。 入射した光が出口に達するまでに出口の位置が変わり、光路の長さがあたかも変化したことになる。そのため定速度の光が出口から出てくる時間は光路の回転速度に依存する。

従って、装置が回転することによって、同一の周回状光路を逆方向に走った2つの光の到達時間に差が生じる。この差を測れば装置の回転速度が判る。実際の測定では、双方の光の位相差を検出し回転速度を測定している。


脚注

  1. ^ The Sagnac Effect: Does it Contradict Relativity?
  2. ^ The 100 Year Wrong Turn in Cosmology
  3. ^ ただしGPS等の衛星測位計算におけるこの信号伝播時間の計算は(→ GNSS positioning calculation)、通常、回転座標系である地球中心地球固定(Earth-centered, Earth-fixed)系から非回転座標系である地球中心慣性(Earth-centered inertial)系へ移行し、単なる直線経路伝播(これを幾何距離と呼ぶ。光速度 ウィキメディア・コモンズには、サニャック効果に関するカテゴリがあります。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サニャック効果」の関連用語

サニャック効果のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サニャック効果のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサニャック効果 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS