ジャイロスコープとは? わかりやすく解説

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ジャイロスコープ【gyroscope】

読み方:じゃいろすこーぷ

物体向き角速度検出する計測器重心中心にある円板状のこまを、互いに直交する三つの軸の周り回転する金属環の内側支え、こまが空間自由に回転できるようにしたもの。現在は、従来機械式代わり音叉(おんさ)のような振動する物体にかかるコリオリの力検出する振動式や、レーザー位相差検出する光学式のものが使われることが多い。回転儀ジャイロジャイロセンサー

ジャイロスコープの画像
ジャイロスコープの原理応用した地球独楽」/撮影朝倉秀之
「ジャイロスコープ」に似た言葉

ジャイロスコープ

その軸がどの方向にも自由に回転できるように備え付けられた重い輪又は円板回転ジャイロスコープはその軸の方向変化妨害するように働く。重力2つ物体の間の引き合う力で、これは2つ物体質量その間の距離に影響される

ジャイロスコープ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/29 08:53 UTC 版)

航空機用のジャイロスコープ

ジャイロスコープ: gyroscope)とは、物体の角度(姿勢)や角速度あるいは角加速度を検出する計測器ないし装置。ジャイロ、またはジャイロセンサと呼ばれることもある)。

概要

ジャイロスコープ
ジャイロスコープの動作

航空機ロケットの自律航法に使用される。最近ではカーナビゲーションシステムや自動運転システム、慣性航法装置ロボットスマートフォンデジタルカメラ無人偵察機などでも用いられている。マルチコプターでも活用されており、ラジコン玩具として一般に市販されたものとしては初期のもののひとつであるキーエンスの「ジャイロソーサー」は、同社の超小型ジャイロを応用した製品であった。ジャイロとはギリシャ語で輪を意味する gyrosである。近年ではMEMSにより小型化が進み、応用分野が広がっている。

歴史

こまを利用するものを発明したのは1817年ドイツヨハン・ボーネンベルガー英語版で、1832年にウォルター・R・ジョンソンが「ロタスコープ (rotascope)」と名付けた。1836年、スコットランドの数学者エドワード・サング英語版地球自転の検出に使うことを提言した。その後、1852年にフランスレオン・フーコーが地球の自転を証明しようと実験した際に呼んだ「ジャイロスコープ」の方が一般に広まったため、フーコーの発明品だとする記述もあるが、彼が発明したのはあくまで「名称」である。地球の自転の検出の方は製作技術の不足で失敗に終わった。ジャイロスコープが実用に至ったのは後の研究者によるもので、1865年頃の実験器具カタログに記載が見られる。ジャイロスコープのメカニズムに加えて、ジャイロモーメントによって常に一定の方位を示すような仕組みのあるジャイロコンパスができたのは1908年である。

20世紀には、こま以外の各種の方式(次節)が発明された。

原理

出力軸、入力軸、スピン軸
アニメーション

角(加)速度を検出する方法は大きく2つにわけることができ、

機械力学的な効果を利用する方法として、

  • いわゆるジャイロ効果を利用するもの(回転型)
  • 放射方向への振動やガス流に対する「見掛けの力」であるコリオリ力による影響を利用するもの(振動型、ガス型)

光学的な干渉を利用する方法として

がある。

ジャイロスコープの種類

ジャイロスコープの種類としては角運動量保存の法則コリオリの力を利用する機械式と流体式、またサニャック効果を利用する光学式のものがある。

機械式

回転型

いわゆる「こま」、フライホイールを用いた方式である。回転する物体はその回転状態を維持する(慣性の法則角運動量保存の法則)。こまの回転面を傾けるような外力が加わると、元の状態を維持しようとするため慣性力が発生する。この回転するこま(物体)に加わる慣性力を検出することで、外力によって発生した物体の角速度を検出する。大きな(重い)サイズのこまを用いることで、分解能が向上し、安定性も向上させることができる。しかし、この大きさがもっとも重大な欠点ともなる。大きいほど起動時間が長くなり、こまの駆動のための消費電力が大きくなる。また、ベアリングの摩耗などのために定期的なメンテナンスが必要である。最も古くから使われている。

ドライ・チューンド・ジャイロまたはダイナミカリー・チューンド・ジャイロ (DTG) とは、内部の回転体がある高速回転速度に達した時に回転軸への機械的拘束力が極小になる設計としたもので、ジャイロ1個で2軸の角速度検出が行える。

ジャイロ効果とは、この方式が用いている慣性力の効果である。

振動型

こまのような回転のかわりに棒やリングの振動を用いた方式である。振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する。回転型のようなモーターベアリングなどの複数の部品を必要としないため信頼性が高い。自動車横滑り防止機構カメラ手ぶれ補正機構、カーナビゲーション、スマートフォンゲーム機などに用いられている。構造上、小型化、大量生産に適しており、MEMSによって搭載される事例が拡大しつつある。

構造の種類

  • 音叉
  • 音片(横振動細棒、ビーム)型
  • リング型
  • プレート型

駆動方式

検出方式

流体式

ガス型(ガスレートジャイロ)

流路中に気体(ガス)を流すと、その気体に加わるコリオリの力により、気体の流れが変化する。この変化を検出することで角速度を得る。

流れの変化を検出する方法としては構造が簡単な熱線式(流量計)が用いられることが多い。

構造が簡単であるが、分解能、安定性ともほかの方式に比べ劣る。

巡航ミサイルのような、使い捨て用途に用いられる。また、ごく初期のカーナビゲーションにも使用された。

光学式

サニャック効果を用いている。高精度の姿勢制御を必要とする場合は、リングレーザジャイロや光ファイバージャイロが使われることが多い。

光ファイバージャイロ (fiber optic gyro, FOG)

光ファイバーを巻き、それぞれの端面にレーザー光をスプリットして挿入する。巻いた面と垂直な軸方向を中心に角速度が加わると、相対論的効果により、分離された光に光路差が生じる(サニャック効果)。この光路差により分離された二つの光の間に位相差が生じる。この位相差を検出することにより、角速度を得る。

光ファイバーの長さと巻き半径などにより性能が決まる。使用する光ファイバーは通信用ではなくジャイロ専用である。

レーザー発光素子の寿命、発光素子とファイバーの接点劣化、温度変化に敏感であること、リングレーザージャイロよりも低精度であることが欠点ではあるが、小型であるため用いられることが増えている。温度制御を行うことで性能(安定性)の向上が図れる。

リングレーザージャイロ (ring laser gyro, RLG)

複数のミラーによってリング状(実際には多角形状)の光路をもつレーザー共振器を構成し、回転が加わったときに生じるサニャック効果を用いて、角速度を検出する。非常に精度が高く、高性能な航空機ロケットの姿勢制御用にはこのジャイロが使われている。

量子式 (Quantum gyroscope)

量子力学の原理に基づく

量子ジャイロスコープ

量子力学の原理に基づいた非常に高感度の角速度計測装置で理論的には地球の自転の回転速度の分(1度の60分の1)単位での変化なども検出できる。

性能の評価

  • 分解能
    検出できる角速度の分解能。単位は「°/h」、「°/s = deg/s = dps」など
  • ノイズ
  • 安定性
    積分して角度を算出する場合(積分ジャイロ)に重要。
  • 周波数特性
  • ダイナミックレンジ

主な応用先

脚注


関連項目


ジャイロスコープ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:19 UTC 版)

フーコーの振り子」の記事における「ジャイロスコープ」の解説

レオン・フーコーは、振り子実験ついて数学者のルイ・ポワンソー(英語版)との間で議論交わしその中で振り子代わりに回転する物体使えばより小型な装置地球の自転観測できることに考え至った回転体ローター)として真鍮製のトーラス中心に金属円盤取り付け、軸を貫通させたものであった。この回転体ジンバル固定したフーコーは「回転を見る」というラテン語から「ジャイロスコープ」と命名した。 ジャイロスコープは専用起動装置使って回転体高速回転与える必要があった。起動時特定の方向回転体姿勢を保つが、時間経過する地球の自転と共に回転体向き移動するように見えたフーコー製作したジャイロスコープは、10程度しか回転体ローター)の回転持続しなかった。このため地球の自転影響観測するためには顕微鏡用いた実際には、ドイツ数学者のヨハン・ボーネンベルガー(英語版)が、1817年回転体として球体使ったジャイロスコープを論文とし投稿しており、ボーネンベルガーの作成した装置自体それ以前から存在していた。フランス数学者ピエール=シモン・ラプラスシメオン・ドニ・ポアソンはボーネンベルガーの装置について存在知っていた。特にポアソン1813年回転体動力学解析に関する論文の中でボーネンベルガーの装置使った説明行っている。従って、フーコーのジャイロスコープはボーネンベルガーの装置ベースとして改良したものだと推定されている。

※この「ジャイロスコープ」の解説は、「フーコーの振り子」の解説の一部です。
「ジャイロスコープ」を含む「フーコーの振り子」の記事については、「フーコーの振り子」の概要を参照ください。

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