荼枳尼天とは? わかりやすく解説

だきに‐てん【荼枳尼天/吒枳尼天/荼吉尼天】

読み方:だきにてん

《(梵)Ḍākinīの音写仏教の鬼神で、密教では、胎蔵界曼陀羅(まんだら)外院にあって大黒天所属する夜叉(やしゃ)神。自在通力をもって6か月前に人の死を知り、その心臓を食うといわれる日本ではの精とされ、稲荷(いなり)信仰混同されている。


荼枳尼天

読み方:ダキニテン(dakiniten)

人の心臓を食うという悪鬼

別名 荼枳尼拏吉尼、吒祇尼、吒枳尼


荼枳尼天

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 06:13 UTC 版)

荼枳尼天(だきにてん)は、仏教[1]夜叉の一種とされる[2]


注釈

  1. ^ 菩提流支訳『入楞伽経』には、ダーキニーの漢訳に「荼伽」の女性形の「荼伽女」が使われる。
    「大慧!是名楞伽大經中呪文句。善男子、善女人,比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷等,能受持讀誦此文句為人演說,無有人能覓其罪過,若天天女,若龍龍女,(…)羅剎羅剎女,荼伽荼伽女,(…)若人非人,若人女非人女,不能覓其過,若有惡鬼神損害人,欲速令彼惡鬼去者,一百遍轉此陀羅尼呪,彼諸惡鬼驚怖號哭疾走而去。」(入楞伽經陀羅尼品第十七、入楞伽經卷第八)[11]
  2. ^ 『大日経疏』(『大日経』の注釈書で、来唐したインド僧・善無畏のもとで一行が著した)に記載される。
  3. ^ これは人間の頭、心臓に宿る粗大な心、煩悩が凝集したものなど諸説ある[12]
  4. ^ 七母天(サプタマートリカー、七母神)は7人の母神群で、それぞれが主要な男神の妻とされたが、後に7人すべてがシヴァの一族とされた[17]
  5. ^ 元来はヒンドゥー教とは異質な原住民系の土着宗教の女神であったが、後に七母天[注 4]とされたり、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーと同一視された[18]
  6. ^ インド中期密教に相当する。
  7. ^ 古今著聞集』にも霊狐信仰とのかかわりが記されている。
  8. ^ 王子稲荷神社・日比谷神社烏森神社(東京都)など。[要出典]
  9. ^ 最上稲荷では祈祷本尊を最上位経王菩薩と称する。[要出典]
  10. ^ 発音は [k'an dr'o][34](n は連声による鼻音、dr は二重子音ではなく単子音のそり舌音)。
  11. ^ 「空を行く女」の意。カンドーマ[35]、カンドゥマ[36]とも表記される。
  12. ^ ヒンドゥー教の七母天の一人であるヴァーラーヒー(亥母)は猪の顔をしており[17]、胎蔵界曼荼羅でもその姿で描かれている[37]
  13. ^ 坂内はここの「キリ」を「hrīḥ」ではなく、「hrī」と読んでいる。[38]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 関根 1997, pp. 166–167.
  2. ^ a b 『岩波 仏教辞典 第2版』683頁、「荼吉尼天」の項。
  3. ^ "荼枳尼天". デジタル大辞泉. コトバンクより。
  4. ^ a b 入江 2008, pp. 95–99.
  5. ^ "荼枳尼天・吒枳尼天". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより。
  6. ^ a b c 立川 2008, p. 364.
  7. ^ a b 田中 1987, pp. 206–207.
  8. ^ a b 立川 2015, p. 467.
  9. ^ a b 坂内 1981, pp. 236–237.
  10. ^ a b 神仏習合の本』132頁
  11. ^ T16n0671_008 入楞伽經 第8卷 | CBETA 漢文大藏經
  12. ^ a b c d e 印と真言の本』131頁
  13. ^ 宗教常識の嘘』97頁
  14. ^ 川崎 1993, p. 63.
  15. ^ ツルティム・ケサン & 正木 2000, p. 100.
  16. ^ 津田 2008, pp. 186–191.
  17. ^ a b 立川 2008, p. 278.
  18. ^ a b 田中 1997, pp. 77–83.
  19. ^ 天部の仏像事典』169頁
  20. ^ 天部の仏像事典』168頁
  21. ^ 平家物語:長門本(岡山大学本)”. 平家物語協会. p. 1039 (2009年9月3日). 2014年8月7日閲覧。
  22. ^ 加持祈祷の本』82頁
  23. ^ 日本秘教全書』320頁
  24. ^ a b 加持祈祷の本』81-83頁
  25. ^ 外法と愛法の中世』228、247頁
  26. ^ 彌永 2018a, p. 42.
  27. ^ 彌永 2018a, p. 2.
  28. ^ a b 彌永 2018b, pp. 68–71.
  29. ^ 彌永 2018a, p. 9.
  30. ^ 彌永 2018a, pp. 40–41.
  31. ^ 真言密教の本』144-153頁
  32. ^ a b 内田 2015, p. 46.
  33. ^ 稲荷信仰の研究』71頁
  34. ^ ケルサン・タウワ 『チベット語辞典 蔵日・日蔵』 カワチェン、2003年、蔵日25頁。
  35. ^ a b 村上 2016, p. 158.
  36. ^ ツルティム・ケサン & 正木 2000, p. 172.
  37. ^ 立川 2008, p. 286. fig. 7:56.
  38. ^ a b c d e f g h i 坂内 1981, pp. 235–236.
  39. ^ 『密教曼荼羅』190頁



荼枳尼天

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 20:38 UTC 版)

弥八地蔵」の記事における「荼枳尼天」の解説

境内入って左側にある。

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荼枳尼天

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しゃばけ」の記事における「荼枳尼天」の解説

神なる存在。おぎんが仕えている。

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