必要とされるもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 22:36 UTC 版)
自作パソコンの最低限の構成要素を列挙する。また、ここではOSにWindowsを使用するものとして解説する。(単※の記号は、自作パソコン本体の範疇に含まれないものを示す) ディスプレイ(図中1)※ ディスプレイ一体型の機種でない限り、メーカー製のパソコンに付属するディスプレイも含め、ほとんどの機種で使い回しが可能であるため、一般には自作パソコンの範疇には含まれない。また、ディスプレイ単体の入手も一般的である。地上デジタル放送やブルーレイディスクをフルHD再生するには、HDMIまたはHDCP対応DVI-Dへの対応が必須である。「ディスプレイ (コンピュータ)」も参照 マザーボード(図中2) 選択したマザーボードの仕様によって、使用可能なCPU・メモリーの規格および搭載できる量、拡張ボードの規格および搭載できる数が決まる。 「チップセット」はマザーボードに搭載されたバスやポートを管理するチップ(集積回路)である。古いモデルや、最新モデルでも下位のチップセットを搭載したマザーボードは価格が下がることもあるが、パソコン全体の性能を最大限に引き出すには、最新のCPUに最新の上位チップセットを組み合わせるのが基本である。 マザーボード(オンボードグラフィック)もしくはCPUにグラフィックス機能を統合したものであれば、ビデオカードは不要となる。(後述) 内部バス(PCI Express、シリアルATAなど)、外部インターフェイス(USBポート、イーサネット)や、サウンドデバイスのサポートの度合いも重要である。 また、電解コンデンサの品質がマザーボードの選択の一つの基準になることが増えている。特に日本メーカー製の固体アルミ電解コンデンサを搭載した製品が耐久性の面から好まれる。 CPU(図中3) パソコンの性能を決定付ける部品の一つ。大抵はCPUのソケットが適合するマザーボードを選ぶこととなる。基本的にはAMD系とインテル系で選択することになる。それ以外にはマイナーだがVIA系がある。Intel Atomを搭載したマザーボードのように、CPUがマザーボードにオンボードで搭載されている場合もある。 省電力モデルなどの一部を除き、CPU自身の発熱を抑えるためのクーラーが必要であり、クーラーがないと自らの発熱で破損してしまう。パッケージング販売されているリテール品のCPUには純正の冷却ファン(リテールファン)が付属する。バルク品や中古、オーバークロック前提の高性能モデルには付属していなことがあるため、別途購入する必要がある。 性能面で見るべき点は、内蔵グラフィック搭載の有無・動作クロック周波数・キャッシュメモリの容量・コア数などである。 マザーボードとの関係で見るべき点はCPUのソケット規格である。特にソケット規格が異なると、物理的に装着すらできない。また、チップセットとの適合性や、マザーボード自体のCPUサポートも重要である。マザーボードについては、当初はサポートがない新製品のCPUでも、チップセットが対応可能な場合にはマザーボードのメーカーがBIOSの更新によって対応させることが多い。他方で、たとえソケットが適合しチップセットのハードウェア的対応が可能でも、マザーボードのメーカーによるBIOS更新などのサポートがなければCPUは動作保証されず、正常動作しない可能性やBIOS画面すら到達できないこともある。またBIOSが提供されていても更新しないままCPUを入れ替えても同様のケースが発生する。よってBIOSを更新する場合はCPUの入れ替え前に行う。購入店にてBIOSのアップデートをサービスとして行っている場合もある。 CPUソケットのLGA775以降は、受け側に1mm程度未満の微細な針細工状の端子が採用されており、ソケット保護具ほか微小な部品の接触や落下により極めて容易に変形してしまうのでCPUの取付け・取外しには細心の注意を要する。 メモリ(図中4) マザーボード(チップセット)により搭載可能なメモリの仕様が決まっている。近年はDDR4 SDRAMが主流である。 なお、デュアルチャネルやトリプルチャネル、クアッドチャネルをサポートするチップセットでは、同一の2〜4枚組のメモリを使用すると最良の性能が得られる。 ビデオカード(図中5)※構成によっては不要 ビデオカードとマザーボードとの間のインタフェースとして、2005年以降ではPCI Expressが主に用いられる。それ以前の製品では、AGP、PCIが用いられた。2017年現在でもAGPやPCI接続のビデオカードは販売されているが、数は非常に少ない。 ビデオ出力もアナログVGA端子と、DVIやHDMI、DisplayPortなどがあり、こちらはディスプレイ(図中1)の対応入力によって選択する。現在では3画面以上のディスプレイに同時に出力できる製品も増えている。 CG制作、3Dゲーム、画像、動画編集やディープラーニングといった目的で使用する場合には、ビデオカードに高い性能が要求される。近年では、動画再生及びウィンドウの表示の支援機能を搭載しているカードも多い。 前述の用途でない限り、マザーボードやCPUに標準搭載されている、グラフィックス機能を統合したもの(オンボードグラフィック)を使用すれば足り、ビデオカードは不要である。 仮想通貨のマイニング需要が勃興したため、2017年前後からビデオカードが品薄になり高騰している。 電源(図中6) ATX規格に対応した「ATX電源」と呼ばれる電源装置が主流である。単体で広く販売されているが、後述するケース(筐体)に付属している場合もある。 電源仕様はPCI Expressに対応したATX2.1以降の仕様のものが主流だが、ATX2.0以前の仕様に基づいた製品もいまだ流通している。電源も仕様によってコネクタの形状やピン数が微妙に異なるが、コネクタの変換で対応可能な組み合わせに関しては多種多様な各種変換コネクタが販売されている。 長年にわたり互換性があると思われがちだが、実際には10年スパンでATX/EPS12V、CFX/SFX/TFX12VコネクタやPCI Expressコネクタなど細かい規格の差異があり、例えばATX電源であれば全てに流用できると言う訳ではない。また新しい方の世代では、Haswell対応問題(+12Vの負荷が非常に小さくなった状況下で+3.3V/+5Vの負荷が大きい場合、従来の電源ユニットでは出力が不安定となる)などの若干の相性問題がある。 マザーボードと同様の理由で、使用されている電解コンデンサが電源選択の際の基準の一つになることや、「選別品」や「日本製」のコンデンサの使用が製品のセールスポイントとなることが往々にして見られる。もっとも2010年代後半では日本製以外のコンデンサでも品質が向上し、「オール日本製」仕様などは高価格帯品の差別化仕様と見なされている。 近年ではAC→DCの際の変換効率や力率も重要視されている。変換効率に関しては80 PLUS認証を取得しているかが選択の一つの目安である。2017年現在では80 PLUS プラチナのようなより上位の認証に合格した製品もあり、このような製品においては最高90%以上の変換効率を誇る。力率に関しては80 PLUS認証の条件として0.9以上の力率が含まれていることもあり、近年では多くの電源が力率改善回路(アクティブPFC)を搭載している。 一部で「電源ユニット付ケース」という形でそれぞれ個別に購入するよりも安価に販売されていることも多いが、この様な製品の中でも特に安価なものに付属している電源ユニットでは、多くの場合、コストダウンの為に同じメーカーの単体別売品の同等出力のものと比較してコネクタや内部パーツなどにおいて何らかのオミットがされていたり、最新の規格に対応するコネクタがない場合がある。 ストレージ(ハードディスクドライブ、SSD)(図中8) インターフェイス規格としては、2017年現在では主にシリアルATA(SATA)やM.2が用いられる。1.5Gbps/3.0Gbps/6.0Gbpsの規格がある。 以前はパラレルATA(PATA)が主に用いられた。2006年頃からPATA非サポートのチップセットを搭載するマザーボードが自作パソコン市場に現れ、2017年現在のマザーボードではPATAのインターフェイスを備えないものが多い。 ハードディスクよりも高速に利用できるSSDの低価格化にともない、ハードディスクに代わりSSDを採用するユーザーも増えてきている。 新世代のSSD向けインターフェースとしてSATA Express、M.2、NVM Expressがあり、インターフェースのボトルネックを改善しSATAより大幅な高スループットを実現している。 キーボード(図中9) マウス(図中10)※ ディスプレイ同様にほとんどの機種で使いまわせるため、自作パソコンの範疇には含まれないが、パソコンの使用や設定のためには欠かせない。かつてはPS/2インターフェイスによる接続が基本であったが、現状流通している製品の主流はUSBインターフェイスになっており、特にマウス用のPS/2インターフェイスについてはマザーボード側にないものが増えている。 しかし、キーボードにおいては、USB接続の場合、Nキーロールオーバー対応のキーボードであってもUSB HIDの規格上6キーまでしか同時入力ができないので、PCゲーム用などでは2017年現在でもPS/2接続のキーボードを選択するケースも多い。 ケース ケースがなくても、部品同士を結線すれば原理的にパソコンとして動作するが(バラック接続)、使い勝手、安全性、耐久性、省スペース性に劣るため、通常はケース内に収納する。基本的にはマザーボードのフォームファクターによってケースの大きさが決まる。ケース選びにおいてはドライブベイ(英語版)の数やサイズなどの仕様、材質、デザイン、使いやすさ、工作精度、重量などが評価基準となる。 ケース付属の電源については前述の電源の項を参照。ほか、冷却用のケースファンや、装着キットのパーツが付属する場合が多い。 エンスージアストの中には、ケース自体の自作、あるいは業者へのオーダーメイド、テーラーメイドをする者もいる。純木製、ポリタンク、鑑賞魚用水槽、キャラクターフィギュア風のPCケースなどもある。 鉄道事業者や金融機関、小売事業者などが独自仕様の自動券売機やATM、POS端末などを製作する目的で、それぞれの仕様に適したケースなどを業者にオーダーメイドする事例も多く見られる。 ソフトウェア(OS、デバイスドライバなど) アプリケーションのみではプラットホームが存在せず、多くの用途では、OSや、各種パーツのデバイスドライバなどが最低限必要になる。 OSは、Windowsや商用UNIXを用いる場合は別途購入するか、使用を終了したパソコンからの転用などにより準備することになる。BTOではオプション扱いでプリインストール可能なモデルがほとんどだが、OSはユーザー側にて準備した上でインストールを行う場合もある。WindowsではDSP版・OEM版などと呼ばれるバージョンを導入する場合が多い。 Windows用のデバイスドライバーは通常、各種パーツに光学メディアとして添付されていることが多い。OSのインストール直後に、デバイスドライバーのセットアップを行う。OSに最初から入っている標準ドライバーでも動作する物も多いが、性能やサポート機能、安定性に問題があることも多い。 古いマザーボードに最新OSやデバイスを使う場合、まれにBIOSのアップデートが必要になることもある。 この他、マザーボードのBIOSのアップデート用や、HDDなどのデバイスのツール起動用にフロッピーディスクドライブ(FDD)を組み込む場合もあるが、近年ではレガシーデバイスとしてサポートしないマザーボードも多く、導入しないことが多い。これに代わる存在としてはUSBメモリが用いられる。
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