司波兄妹
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司波 達也(しば たつや) 声 - 中村悠一 本作の主人公でスピンオフ「魔法科高校の優等生」の準主人公。生年月日は2079年4月24日。身長約178cm、体重70kg。 1年E組(二科生)→2年E組(魔工科生)→3年E組(魔工科生)。風紀委員会(2095年4月〜2096年3月)→生徒会副会長(2096年4月〜2096年9月)→生徒会書記長(2096年10月〜2097年9月)。 切れ長の鋭い眼元が特徴的な整った容姿。大柄で筋肉質な体格をしているが、引き締まった着痩するタイプ。妹の深雪は同学年だが双子ではなく、早生まれの年子の妹。後の2097年、四葉真夜の意向により婚約者となった(後述)。 生来使える魔法は分解と再構築だけ(一種のBS魔法師)で、通常の魔法(状態の変更と定義される)の才能を持たずに生まれるが、6歳のとき「人造魔法師実験」の被験者にされ、「人工魔法演算領域」を与えられた唯一の成功例となる。しかしこの人工魔法演算領域の性能は一般的な魔法師が生来持つ魔法演算領域と比べて著しく劣っており、実母の司波深夜からは「ガーディアンとしてしか使い物にならない」と見なされていた。実際、叔母の四葉真夜が現当主である「四葉家」においては、2097年の慶春会までガーディアンと呼ばれる低い階級にあり、家中の大半の者から軽んじられた扱いを受けていた。 分家の当主たちからは、自分たちが深夜の気持ちも理解せず身勝手な願望が生み出した忌子として忌避され、周りの使用人たちには徹底して魔法力の低いだけの存在であると認識させてきたが、同世代の四葉家分家の跡継ぎ達からは親の世代に反して、能力等から概ね好意的に受け取られている。 通常の魔法を使えないのは、現代魔法としては最高難度とされる分解と再成に生来の魔法演算領域を完全に占有されているからであり、そこに限れば「四葉」直系に恥じない特級の処理能力を持つ。現在でも、この二つ以外の魔法は全て「人工魔法演算領域」でしか行使できない。ただし、生まれつき持つ桁外れのサイオン保有量を活かした無系統魔法は別であり、最高位の対抗魔法「術式解体(グラム・デモリッション)」すら容易に連発できるうえ、古式魔法では秘術に含まれるサイオンの制御技術も達人の域にある。また、生来の魔法の副産物としてイデアに直接アクセスする特殊かつ高精度の知覚能力「精霊の眼(エレメンタル・サイト)」を持っているため、障碍物に関係なく存在を知覚したり、「情報」そのものである起動式や魔法式を視認して瞬時に解析できるため、魔法工学のエンジニアとして優れた才能をもつ。FLT社の製品開発にも多大に貢献し、特に牛山とその部下たちからは絶大な信頼を勝ち得ており、牛山と組んで「トーラス・シルバー」の名で画期的な製品を世に送り出している。精神改造の副作用で直観像記憶と似た記憶力を持ち、高校生離れした知識量はそれによる所がある。同様に、洗脳技術の応用で記憶領域に起動式をイメージ記憶として刻みつける四葉家の秘匿技術の一つ、「フラッシュ・キャスト」を人工魔法演算領域の特性を生かして発展させ、魔法式をイメージ記憶として蓄え高速化を図っている。 人工魔法演算領域のスペースを確保するために意識領域内の「強い情動を司る部分」をたった一つの感情を除いて全て消失させられたため、ある振れ幅以上の感情は発生しえなくなる。達也に残された、ただ一つ激情を感じ得る衝動は「深雪への兄妹愛」のみであり、妹が絡むと普段の態度からは考えられない行動(激しい怒りや狼狽など)を見せることがある。 純粋な学力だけでなく、赤子のときから魔法に頼ることなく戦えるよう訓練を受けてきたために、非常時や実戦における咄嗟の対応力や白兵戦の戦闘能力も超一流のレベルである。過去の事情から国防陸軍の実験的な部隊に事実上組み込まれており、戦略級魔法師・大黒竜也特尉の偽名で登録されていた。大亜連合による沖縄侵攻の際に、侵攻軍と内通していた国防軍の叛逆者によって深雪を傷つけられたことから、「分解」と「再成」を駆使し、侵攻してきた大亜連合軍をほぼ殲滅して報復。大亜連合からは摩醯首羅(マヘーシュヴァラ)、または「沖縄の悪魔」と呼ばれ恐れられた。その後、アンジェリーナ・クドウ・シールズを四葉家が匿って以降は佐伯少将との関係が悪化したことで、達也は東道青波の許可を得て、2097年7月19日に特務士官の地位を返上した。 戦闘任務に赴く魔法師としては、分解と再成、及びその副産物である特殊な知覚能力、そして並外れて大きなサイオン保有量を応用した戦術で魔法力の弱さをカバーしている。四葉家による過酷な戦闘訓練を基礎として、陸軍部隊への所属と同時期から忍術使い・九重八雲に師事し、兄弟子でもある部隊長に準じる体術の技量も備える。 前述の経緯から四葉の血族ではあるが四葉家に対する忠誠心は皆無に等しく、いずれはその支配を脱するつもりでいたが、真夜の方でもそれを見抜いており、2097年度の慶春会で真夜が達也を四葉に引き留めるための策として、真夜の息子であるという虚偽の発表がされ、戸籍も改竄され、次期当主である深雪の婚約者として指名される。 そのあらゆる分野に秀でた高い資質から、国内外問わず多くの相手から注目・警戒を集めている。 エドワード・クラークをはじめとするUSNA政府とベゾブラゾフをはじめとする新ソ連政府の撃退後、トーラス・シルバーとして現在の世界のエネルギー問題を解決しうる恒星炉プロジェクトの推進を発表し、巳焼島でのUSNA軍と新ソ連軍との戦いで自らの戦略級魔法に頼らない、大国をも凌駕する抑止力を見せつけ、全世界に自衛宣言と共に自らの戦果を発信し、世界中から大国に匹敵する抑止力を持つ存在として注目されることとなった。その立場を利用して個人でUSNA政府との条約を取り付けることに成功し、日本国内でも政府をはじめ様々な勢力から注目を集めている。インド・ペルシア連邦のチャンドラセカール博士と世界中の魔法資質を持つ者たちの人権を守る組織「メイジアン」の結成の協力を持ち掛けられ、同じ志をもつ者として協力に応じる約束をした。 深雪と婚約して以降は彼女に対する自身の感情をはかりかねていたが、将輝との勝負に勝利した後、高ぶる感情のまま深雪への愛を叫び、友人たちを含む一高生からの祝福を受けた。 第一高校卒業後は魔法大学に入学し、生活のほとんどを巳焼島での恒星炉プロジェクトや研究に費やす。大学内での成績は芳しくないが、2098年に魔法式保存効果を持つ人造レリックの量産技術を確立し、2099年に事象干渉力霊子波理論の提唱と証明の発表という偉業を成し遂げており、その実績に大学関係者たちも何も言えない状況となっている。2100年に、巳焼島事変で鹵獲した新ソ連の潜水艦「クトゥーゾフ」を改造して作り上げた宇宙船「高千穂」を作成し、恒星炉を利用して宇宙空間でも地球と変わらずに生活できる環境と、いつでも地球に戻れるよう仮想衛星エレベーターの魔法を開発する。 『メイジアン・カンパニー』では、2100年4月24日にインド洋上のイギリス海軍空母『デューク・オブ・エディンバラ』艦内でチャンドラセカール博士と共に魔法因子保有者の人権を自衛する国際的な互助組織『メイジアン・ソサエティ』を設立し、メイジアン・ソサエティの副代表に就任する。翌日の4月25日には、東京都心の名門ホテルで恒星炉プラントを運営する新たな会社ステラ・ジェレネーターの社長に就任し、その設立パーティーの席上でメイジアン・ソサエティの設立と、魔法因子保有者が今までの基準に達していない者であっても社会で活躍できる道を切り開く為の非営利法人である一般社団法人『メイジアン・カンパニー』の設立を発表し、メイジアン・カンパニーの代表権を持つ専務理事に就任する。 司波 深雪(しば みゆき) 声 - 早見沙織 本作のメインヒロインでスピンオフ「魔法科高校の優等生」の主人公。達也の妹。生年月日は2080年3月25日。身長160cm、体重49kg。 1年A組→2年A組→3年A組の女子生徒(一科生)。生徒会書記(2095年4月〜2095年9月)→生徒会副会長(2095年10月〜2096年9月)→生徒会会長(2096年10月〜2097年9月)。入学試験をトップの成績で合格し、新入生総代も務める。 姫カットの黒髪ロングが特徴的な、非の打ち所がない美貌の持ち主。同級生から上級生まで、男女問わずに認める「校内一の美少女」。 実母は故人、実父は後妻宅に泊まりきりのため、中学時代から兄妹で二人暮らしをしている。周囲には秘匿していたが、十師族「四葉家」現当主の実の姪であり、次期当主候補の一人(2097年に正式に次期当主に指名)。 母・深夜から達也と兄妹として接することを禁じられて育ったため、当初は情動の薄い達也を不気味に思い苦手としていたが、2092年の大亜連合軍による沖縄侵攻後は達也を「お兄様」と尊称し誰よりも敬愛するようになった。校内においても兄への愛情や敬愛の念を隠さないため、周囲からは重度のブラコンとみなされている。 兄が四葉家や第一高校で不遇な扱いを受ける状況を常に憂いており、次期当主になることで兄の立場を改善できるという期待をもつと同時に、兄以外の男を婚約者として迎えなければならないことへの嫌悪感との板挟みに苦しんでいたが、2097年の慶春会にて正式に次期当主として指名され、さらに達也との婚約を真夜から発表される。それに伴い、それらの事実が1月2日に四葉家から魔法協会を通じて十師族、師補十八家、百家などの「数字付き」有力魔法師各家に通知がなされ、二人が四葉家の後継者であることが正式に発表される。このときに自身の出自を告げられ、達也と肉体的に結ばれることに何ら問題がないことを知ると、それまで抑えていた想いを達也に打ち明ける。 その魔法力は強大で、一点ではなく面や空間全体に作用する魔法に適性が高い。事象干渉力の高さも体内に保有するサイオン量も最高クラスである。ただし、普段は達也の魔法力を制限する「誓約」に制御力の半分が回されており、その副作用として感情が不安定になると魔法を暴走させてしまうことがある。また、四葉家の特殊な技術により、魔法式のイメージを皮膚接触によって達也と伝達しあうことができる。多種類の高度な魔法を駆使し、中でも振動系魔法(冷却魔法)を得意分野とする。ただし、振動系の冷却魔法の高い適性は、彼女が本来生まれ持った魔法が物理世界に干渉する形へと姿を変えたものでしかなく、本当の得意魔法は精神に干渉し凍結させる系統外魔法「コキュートス」である。精神干渉系の適性は持ち主が限定されるものだが、「魔法的な素質は遺伝する」という魔法学のセオリーに基づき、事実上実母の深夜から適性を受け継いでいる。 実は調整体であり、調整体の欠点の全てを克服し、人間以上に人間として完成された完全調整体で、魔法師として四葉の最高傑作とされている。世界を破壊し得る達也の魔法を抑え込むために生み出されたと、真夜は語っている。 九重八雲の道場で武術の修行を受けており、身体能力の面でも同世代の女子より優れている。 第一高校卒業後は魔法大学に入学。大学生になっても優等生を続けているが、達也と別行動となることが多くなり、思い描いていた「二人のキャンパスライフ」が実現しないことに不満を募らせている。 『メイジアン・カンパニー』では、魔法大学の3年生になっており、2100年4月26日に設立された一般社団法人『メイジアン・カンパニー』の理事長に就任する(当然として代表権を持っている)。
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