特務士官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 05:18 UTC 版)
軍艦など高度な科学技術を用いて設計、製造、配備、操作、運用、整備される武器、装備品や機関を取り扱うため、海軍の下士官兵はそれら兵器類の取り扱いに習熟していなければならない。准士官の兵曹長が、砲術科、水雷科など各科での実務面のリーダーである掌砲長、信号長、電信長、掌整備長などになっていた が、下士官からの叩き上げでは兵曹長より上には名誉進級か戦死に伴った昇進の場合を除いて進級できなかった。 日露戦争が終わると海軍は、棍棒外交方針により巨大な海軍力を建設しつつ太平洋へも進出を企てているアメリカを仮想敵国に定め、1907年(明治40年)に初度決定された帝国国防方針を元にした大建艦計画の一環として、1915年(大正4年)から八四艦隊案の予算化整備が始まる。増加する新鋭艦艇へいずれ下士官兵が多数必要となるが、要員の熟練度を上げる養成は短期間では不可能だった。それで下士官兵が習熟すべき実務に熟達している兵曹長をそのまま退役させるのではなく、陸軍にはない「特務士官」という独自の官階を新たに作って移し現役定限年齢も50歳に延ばして海軍に留めておこうとした。 特務士官は、実際は海軍兵学校を頂点とするエリート意識がアイデンティティである海軍の学閥偏重主義、学歴至上主義のため、叩き上げの優秀なエキスパートであっても将校とはされず、正規の士官より下位とされたため、時に『スペ公』という蔑称で呼ばれ、大田正一のように自身の意見が聞き入れられない事に不満を抱く者もいた。 軍令承行令での有事における指揮権の委譲では階級に関係なく 兵科将校 機関科将校 兵科予備士官 機関科予備士官 兵科特務士官 機関科特務士官 主計科士官 主計科予備士官 軍医科士官 薬剤科士官 歯科医科士官 の順であった。
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