剥製
「剥製」とは、標本を製作する技術のことを意味する表現。
「剥製」の基本的な意味
「剥製」とは、標本を製作する技術の一種である。一般的には、剥製の作り方を「剥製法」、剥製法によって作られたものを「剥製」とよぶ。剥製は、個人の観賞用や博物館、各研究機関などで保管されていて、個人の観賞用としては、製作に芸術的素養が求められ、博物館や各研究機関では、学術上の資料として役割を果たしている。ヨーロッパでは、17世紀ごろには剥製は普及していて、日本では明治以降に本格的な剥製技術が習得された。剥製の製作には、本物の動物が使われる。材料となる動物は、できるだけ傷がなく新鮮なものにし、傷や汚れがある場合は、可能な限り取り除くようにする。剥製は全国の博物館で展示されているが、その中でも、東京都台東区上野にある「国立科学博物館」では、さまざまな哺乳類と鳥類の剥製が展示されている。特に、地球館3F展示室「大地を駆ける生命」の剥製は100頭を超える。これらの剥製の大半は、ワトソンT.ヨシモト氏から1997年に寄贈されたものである。国立科学博物館では、剥製の展示だけではなく、剥製の研究への利用も推進している。さらに、茨城県つくば市にある国立科学博物館の筑波研究施設「自然史標本棟」では、世界中から収集された剥製を含む標本が約470万点保管されている。現在では生きた姿を見ることができない「レオポン(父がヒョウ・母がライオン)」の剥製など貴重なものも多い。他にも、岡山県津山市にある「つやま自然のふしぎ館」や、滋賀県甲賀市にある「滋賀サファリ博物館」にも多くの剥製が展示されている。
種の保存法では、種の保存を目的として希少種の取引と取引につながる販売・頒布目的の陳列・広告は原則禁止している。生きている個体に限らず、死体、剥製などの加工品も含まれる。国内希少野生動植物種には、トキや、タンチョウ、イリオモテヤマネコなど395種、国際希少野生動植物種には、マナヅルや、ジャイアントパンダ、アオウミガメ、タイマイ、アフリカゾウ、アジアゾウなど807種が対象となっている。違反すると罰則もあるため、希少種の取引には注意が必要である。
イヌやネコなどのペットが亡くなった場合、業者に依頼して剥製にすることができる。剥製にすることで、生前のペットに近い姿で保存することが可能である。
「剥製」の語源・由来
「剥製」の由来は、動物の皮を剥いで製作することである。「剥製」と「標本」の違い
「標本」の製作技術の一種が「剥製」であり、「剥製標本」ということもある。標本には、乾燥標本や、液浸標本、骨格標本などがあり、剥製は乾燥標本に含まれる。乾燥標本とは、乾燥させることで生物の体から水分を取り除き製作する標本のことである。昆虫や哺乳類、鳥類などの標本に向いている。液浸標本は、ホルマリンやエタノールなどで作る標本のことである。教育機関で液浸標本を保管している場所は多い。また、骨格標本は、肉を除いた骨の標本である。恐竜の展示方法として骨格標本を用いている博物館も多い。「剥製」の使い方・例文
・家族で大型哺乳類の剥製を見に、上野の国立科学博物館を訪れた。・昨日行った友達の家に、シカの頭の剥製が飾られていて驚いた。
・長年飼っていたペットが死んでしまい、剥製にして保存しようか迷っている。
・希少種の剥製が販売されているのを見つけたため、販売していた店を警察に通報した。
・大型哺乳類の剥製を見た小さな子どもが、その迫力から泣き出してしまった。
・シカを狩り剥製にして保存するため、業者に依頼した。
・大学の講義で、剥製についてのレポートを書く必要があり、剥製が展示されている博物館を訪問した。
・私の通っている大学には、剥製が数十頭保管されている部屋があり、夜になると剥製が動くという噂がある。
「剥製」の英訳
「剥製」は、「stuffed specimens」と英訳される。はく‐せい【剝製】
剥製
剥製
作者松本清張
収載図書松本清張小説セレクション 第33巻 短篇集 2
出版社中央公論社
刊行年月1995.5
剥製
剥製
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 03:54 UTC 版)
剥製(はくせい、剝製、英: Taxidermy)とは、学術研究・展示、鑑賞を目的とした動物標本作製技術の一種。
- ^ 有限会社 上野剥製所. “剥製Q&A”. 剥製博士の剥製講座. 2011年12月7日閲覧。
- ^ “ロマンはあるけども...剥製を利用して作られた8の伝説上の生き物”. カラパイア. 2023年9月12日閲覧。
- ^ 丸山 雄生 (2018-12-15). “動物を見せることのフィクション:“life-like”の思想とテクノロジー” (英語). 知能と情報 30 (6): 279–288. doi:10.3156/jsoft.30.6_279. ISSN 1347-7986 .
- ^ “Wie das Krokodil in die Apotheke kam” (ドイツ語). AerzteZeitung.de (2009年2月20日). 2023年9月12日閲覧。
剥製
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:11 UTC 版)
ハチの死体は東京帝国大学で病理解剖後、3月10日に東京科学博物館(現在の国立科学博物館)別館の木工部工作室に届けられ、そこで坂本喜一と内弟子の本田晋によって剥製にされた。
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