乾燥標本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 01:23 UTC 版)
乾燥標本の場合、まず昆虫の足や触角、群によっては翅を広げて整形し、乾燥によってこの形が固定するまで保管する。これを展翅、あるいは展足という。チョウなどはほぼ必ず展翅し、そのために専用の展翅板があり、いくつかのサイズを用意する。トンボなどでは翅を閉じた状態で標本とする例も多い。 そののちに針を昆虫に突き刺し、宙ぶらりんの位置で固定できるようにして標本箱に保管する。この時、通例では胸部、特に前胸の中央やや右側に刺すことになっている。これは、右手で針を持った場合に針の刺さっていない側が大きく見やすいためである。また、絶対に中央に刺してはならない。正中線上の構造は一つしかないから、そこに針を刺すとこれを破壊してしまう。左右に片寄せておけば、針の貫通で壊れた構造は反対側には残っていることになる。 なお針を刺すことができないような小型昆虫の場合、針に台紙を刺しておいてそこに貼り付けることが一般的である。接着剤は木工ボンドやニカワなどが使われることが多い。台紙の形は三角形や四角形があり裁断機などで自作したり市販品を使用したりする。四角台紙は標本が破損するリスクが少ないが腹部が観察できないという短所がある。三角台紙の場合その尖った部分に昆虫を貼り付け、下になった側の大部分も観察できるが標本が破損するリスクが高いという短所がある。セルロイド製の台紙も存在するが耐久性は紙製に劣るという指摘もある。
※この「乾燥標本」の解説は、「昆虫標本」の解説の一部です。
「乾燥標本」を含む「昆虫標本」の記事については、「昆虫標本」の概要を参照ください。
- 乾燥標本のページへのリンク