乾燥摩擦と不安定性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 01:23 UTC 版)
本来安定な振る舞いを示す力学系でも、摩擦によって様々な種類の不安定性が引き起こされることがある。たとえば滑り速度の増加とともに摩擦力が減少するような系や、摩擦熱の発生によって物体が膨張する場合や(熱弾性不安定性)、あるいは純粋に弾性体間の滑り運動のダイナミクスから不安定性が発生する場合(Adams-Martins不安定性)である。最後の現象は1995年にジョージ・G・アダムスとJoão Arménio Correia Martinsによってなめらかな表面について初めて発見され、後に周期的な粗さを持つ表面についても発見された。特に、ブレーキノイズやグラス・ハープなどスティックスリップ現象(英語版)と関連する振動現象は、滑り速度とともに摩擦係数が低下するというモデルに基づいて、摩擦を伴う系のダイナミクスにおける不安定性が原因だと理解されるようになった。 実用上重要なケースにはヴァイオリン、チェロ、ハーディ・ガーディ、二胡のような擦弦楽器の弦の自励振動がある。 単純な力学系について、空力弾性力学におけるフラッター不安定性と乾燥摩擦とのつながりが発見された。 摩擦による不安定性が原因で、摩擦面にトライボ膜のような自己組織パターン(二次構造)がその場で形成されることがある。これはいわゆる自己潤滑材料で摩擦や摩耗を低減するために利用される。
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