猛禽類 (もうきんるい)
猛禽類
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猛禽類(もうきんるい)は、鋭い爪と嘴を持ち、他の動物を捕食(または腐肉食)する習性のある鳥類の総称[1]。獲物を捕まえるための鋭い爪、掴む力が強い趾(あしゆび)、鉤型に曲がったくちばしを持つことが共通の特徴である。 一般的に生態系の頂点に位置する例が多いことから、強さ・速さ・権力・高貴さの象徴として、猛獣などとともに戦闘機やスポーツカー、新幹線、シンボルマーク、特撮やアニメのヒーローのモチーフになることも多い。
定義の変遷
ワシ、タカ、ハゲワシ、ハヤブサ、コンドル、フクロウが代表的である。これらの猛禽類はリンネ前後の時代(17~18世紀)には鷲類・鷹類・隼類及び梟類に分類された。ちなみにリンネは狩りをする鳥を単一の目(もく)にまとめ、vultur(コンドル、ハゲワシ)、falco(ワシ、タカ、ハヤブサなど)、strix(フクロウ)、lanius(モズ)の4属を含めている。このうち前2者のワシタカ類を昼行性猛禽類、フクロウ類を夜行性猛禽類とも呼んだ。
上記のようにこれらは鋭い爪とくちばしなど共通の特徴を持つが、形態的解剖学的研究が進むと、これらの外見上の類似は表面的なものであることが明らかとなり、狩りという習性に基づく収斂進化の結果とみなされるようになった。ワシタカ類とフクロウ類はタカ目とフクロウ目とに分けられた。
近年のDNA分析の結果からハヤブサはワシタカ類よりもスズメ目+インコ目の系統に近縁なことがわかり、タカ目から分離されハヤブサ目というカテゴリーの猛禽類となった[2]。また、ワシタカ類は体の構造ではフクロウ類よりもむしろコウノトリ類に近い構造をもつとされ、1990年代のDNA分析も当初これを支持するとされたが、2010年代以降に行われたDNA分析ではいずれもコウノトリ類よりもフクロウ類に近縁であることが示されている。
系統分類
以下は、猛禽類を含むグループである陸鳥類(en:Telluraves)の分子系統樹[3]。なお、パーカー(2020)[4]ではタカ目とコンドル目の系統のみを「猛禽類」としている。
陸鳥類[4] |
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Telluraves |
生態的地位
猛禽類は空中を生活の場とする生物の中で生態ピラミッドの頂点に立つものである。実際には獲物として地上の動物を狙うことも多いので、いわゆる肉食獣ともその地位は重なっているが、いずれにせよ、大型の高次消費者の地位にある。
しかし、このことは彼らが多くの個体数を維持できないことを意味する。大型種の多くは広い縄張りを持ち、その内部で狩りを行うが、このような生活が維持されるためには自然な条件が維持された環境が広く続いている場の存在が必要である。人間の活動は必然的にこのような条件を壊し、世界中の多くの地域で大型猛禽類は絶滅を危惧されている。一部の猛禽は人間の生活に順応し、中には都市で狩りをする例も知られている。
人との関わり
大きさは種により様々で、「他の脊椎動物を捕食する」とはいえすべての種が積極的に人や家畜を襲うといったことはない。しかし一部では家畜の子や家禽などが被害を受け、害鳥と見なされる例がある。また先述のとおり飼育下において人が保定等を行なう際は、その鋭い爪や嘴によって危害を受ける確率も高い。
日本国内においては、動物愛護管理法によりタカ目の一部が特定動物に指定されている。飼育を行なうにあたっては各都道府県の動物愛護担当部局からの許可が必要となる。
鷹狩
猛禽類を飼い慣らして獲物を捕まえる狩りを鷹狩という。又は、鷹匠とも言う。
文化
猛禽類は、その優れた飛翔力や、鋭い嘴・爪による攻撃力など、精悍なイメージの持たれる動物の代表である。古来より強さ・速さ・権力・高貴さの象徴として、様々な紋章や意匠として使われてきた。また、神話や伝説においても重要な地位を与えられている例が多い。
また、その飼育そのものが貴族の趣味として捉えられたこともある。剥製を装飾とする例もある。これらを目的とした乱獲は、猛禽類が各地で絶滅の危機に頻している理由のひとつである。
脚注
- ^ 鳥類は殆どが肉食であることも注意。魚・貝・水生動物・昆虫・幼虫等を捕食する。むしろ、植物性の食物しかとらない方が少数派である。
- ^ “ハヤブサはインコの仲間 意外な間柄、DNAで判明”. 日本経済新聞. (2013年3月19日) 2022年6月17日閲覧。
- ^ Braun, E. L.; Kimball, R. T. (2021). “Data types and the phylogeny of Neoaves”. Birds 2 (1): 1–22. doi:10.3390/birds2010001.
- ^ a b c d e f g h i j パーカー, スティーヴ『生物の進化大事典』養老孟司 日本語版監修、日暮雅道・中川泉訳、三省堂、2020年6月9日、371頁。ISBN 978-4385162409。
関連項目
猛禽類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:19 UTC 版)
好んでフクロウや、タカ、ハヤブサなどの猛禽類を飼う人もおり、ハリスホークやコキンメフクロウなどが人気がある。インプリント個体(刷り込み)のハリスホークやベンガルワシミミズク、モリフクロウ、メンフクロウなどは神経質さもそれほど感じさせず、ペットとして人気が高い。鋭いクチバシや爪を有するので取り扱いにも多少注意を要するが、人になれた中型種であればそれほど危険ではない。ただしイヌワシやコンドルなど一部の超大型種は特定動物に指定されているケースがあるので、飼育を行なうにあたっては各地方自治体の動物愛護関連部署への許可申請が必要となる。 巣引きは大きさゆえスペースを必要とするがチョウゲンボウ類や小型のフクロウでは家庭での繁殖例も多く聞かれ、ハリスホークやベンガルワシミミズクのような中型種も最近では良く聞かれるようになってきた。ちなみに日本はオオタカの人工繁殖に成功した最古の記録をもつ。 エサにマウスやウズラ、ヒヨコなどを用いるため(精肉では栄養価の問題で健康を保てない)に飼育を断念する者も多いが、現在では専門店からそれらの冷凍品を比較的安価に、コンスタントに入手できるようになった。肉はカロリーが高いので、結果的に猛禽類は他の草食、雑食鳥に比べても給餌量、排泄量も少ない。かなりのスペースが必要ではあるものの、管理程度はむしろ楽な方である。近年は各種サプリメント、グッズも充実しており、このことが国内で飼育が普及し、国内繁殖例が多く聞かれるようになった理由であると考えられる。 猛禽類の魅力はなんといってもフリーフライトであろう。ヒモなどつけず、インコ類のような羽きりもせずに空に放ち、合図で拳に呼び戻す。基本的にはエサで呼ぶ行為であり、古来の鷹狩りのように野生のオオタカを用いる例では餓死する寸前にまで餓えさせる例もあり、フリーフライトに批判的な意見を持つ者もいるがインプリントのハリスホークのようなノスリ類やベンガルワシミミズクなどではむしろ健康的な程度の給餌のセーブでフリーにすることが可能である。 また、鷹狩りも猛禽類飼育の魅力の一つに挙げられる。鷹狩りというと高度な技術を必要とし、一般人が趣味で行うようなものではないという認識が強いかもしれないが、けしてそのようなことはない。趣味で猛禽を飼育し、鷹狩りをしているという者も増えてきており、近年では特に趣味としての鷹狩りの集まりでの倶楽部団体がいくつも作られている。
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