屋根 屋根の種類、分類

屋根

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 14:44 UTC 版)

屋根の種類、分類

主に形状による分類と、屋根材による分類がある。

形状による分類

『日本大百科全書』の【屋根】の記事の中で形状による種類の説明では、まず「陸屋根(ろくやね)と勾配屋根(こうばいやね)とに大別される」と説明している[1]。そして陸屋根について「日本では俗に屋上とよばれる」と説明を加えている[1]

一方、イギリスの屋根の建築業者の組織、JTCのサイトは、形状による28種類の分類を挙げている[3]

日本語では次のような名称で分類される

  • 陸(ろく)屋根
  • ドーム(丸屋根)
  • 尖塔
  • ヴォールト
  • オージー
  • 片流れ -片流れは屋根の一方へのみ傾斜している屋根で、特に傾斜が20度以内のものを大陸屋根という[4]
  • 切妻屋根 - 屋根の最頂部の棟から本を伏せたような二つの傾斜面の山形の形状をした屋根[5]。原始的な住宅では片流れの構造を両側に組み合わせて地上に三角形の空間を作っていた(天地根元造)[4]。これに四本柱を付けて屋根を地上から高くしたものを切妻という[4]
  • 宝形屋根 - 寺院などに多い形式で隅棟からの線がすべて屋根の頂点に集まる形式の屋根[5]
  • 寄棟 - 屋根の最上部(大棟)から四方向に傾斜する形式の屋根[5]
  • 入母屋 - 上部を切妻屋根で下部は四方に傾斜する形式の屋根[5]
  • 半切妻屋根(ドイツ屋根)
  • ギャンブレル屋根(腰折れ)
  • マンサード屋根
  • 錣屋根
  • 鋸屋根 - 傾斜と垂直を組み合わせた屋根で、垂直面にガラスを設けることで日中は太陽光の採光を行えるので建物内部が自然光だけで明るくなる。主に工場など、作業のために内部空間の明るさが求められ、その照明費用も抑えたい建物で採用されてきた歴史がある。
  • M型屋根 - 倉庫などで採用される。
  • 越屋根(換気、採光などの目的で屋根の上に小規模な屋根と屋舎を設けたもの)
  • 差掛屋根
  • バタフライ - 軒または外壁で屋根部の外周を覆う、スノーダクト方式の無落雪屋根がこの形状。日本の大手ハウスメーカーがこぞって採用している屋根であり、寒冷地に限っては代表的な屋根形状のひとつ)
その他

20世紀や現代では、さまざまな特殊な形状や、特殊な構造の屋根が考案されている。たとえば丹下健三が設計した国立代々木競技場の屋根は、ケーブルを用いた独特の吊り屋根構造であり、上で挙げた伝統的な分類のいずれにも当てはまらない。

20世紀や今世紀に建造されたスタジアム野球場などには開閉式屋根en:Retractable roof)を持つものもある。蛇腹式[6]、立面円弧状など。左右をつなぐ梁がある場合もある[7]。英語版記事en:Retractable roofを参照のこと。

屋根の形状や線による分類研究の歴史

屋根形状の分類の歴史

建築家の長野宇平治(1867年 -1937年)は数種の屋根の分類を行い、線によって直線形、曲線形、複曲線形、円形の4種類に分類し、形によって切妻、寄棟、四阿、入母屋、方錐、円錐、円屋根、宝珠形の8種類に分類した[4]。また、地理学者の藤田元春(1879年 - 1958年)は屋根の形状を、片流れ、招造、切妻、方形(宝形、方錐)、寄棟、片入母屋、入母屋、円錐、円屋根(計9種類)に分類した[4]

屋根の材料による分類

屋根材

屋根材には粘土瓦、化粧スレート、金属板、アスファルトシングルなどがある[2]

植物由来

鉱物由来・窯業製品

  • 石を板状に加工した材料(スレート):天然スレート葺き(雄勝石大谷石笏谷石など)
  • (粘土瓦とセメント瓦に大別される):瓦葺き
  • 石綿の混合物を成型した材料:石綿スレート葺きなど
  • 化粧スレート - セメント・ケイ酸質原料などの混合物を成型・着色した材料:化粧スレート葺き

金属材料

金属で葺いた屋根を、特に金属屋根として区分することがある

その他の材料

下葺材の種類・分類

下葺材(防水材)には不透湿性のアスファルトルーフィングと透湿性ルーフィングがある[2]


  1. ^ a b c d e 日本大百科全書【屋根】
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 第2編 住まい手向け 長持ち住宅ガイドライン (PDF) 国土技術政策総合研究所、2020年12月20日閲覧。
  3. ^ JTC, ROOF CONSTRUCTORS LTD, TYPES OF ROOF DESIGNS & STYLES
  4. ^ a b c d e 藤田元春「屋根槪說 一」『地球』第5巻第5号、地球學團、1926年5月、484-494頁、NAID 1200053948732021年5月30日閲覧 
  5. ^ a b c d 今回登録の物件概要 (PDF) 新潟県、2020年12月20日閲覧。
  6. ^ 「豊スタ」屋根、開けっ放しに 中日新聞女性向けサイト:オピ・リーナ、2014年12月16日
  7. ^ 新国立競技場の可動屋根 - i+i 設計事務所


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