アマモとは? わかりやすく解説

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あま‐も【甘藻】

読み方:あまも

アマモ科多年草。砂の多い浅い海底群生根茎甘みがある。扁平分かれ淡緑色。線形長さ0.5〜1メートル初夏、へら状のさやの中に雄花雌花交互に並んでつく。(やく)は黄色藻塩草(もしおぐさ)。味藻(あじも)。うみやなぎ竜宮の乙姫元結(もとゆい)の切り外し


アマモ

読み方:あまも
【英】:eelgrass

海草(うみくさ)。生育場所内湾の波静かな水深1~2mから10mまでの砂泥のところ。長さは50cm~1mくらいで、葉状部(葉身葉鞘)、地下茎、根の3つ区分でき、条部は水中に、地下茎と根は海底に埋在している。多年生群落形成されているところをアマモ場という。陸から海へ入った海草種子植物で、種類少なく岩礁には生えない胞子植物海藻とは区別

アマモ Zostera marina Linnaeus

オモダカ目 アマモ科 (Helobiales Zosteraceae)
アマモ 生態写真
低潮線付近から潮下帯水深10mまで)にかけての砂泥
分   布
日本各地
アマモ 生標本写真
(生標本写真)
アマモ 葉脈写真
葉脈写真)
アマモ 先端写真
先端写真)
アマモ 辺縁部写真
辺縁部写真)
アマモ 横断切片写真
横断切片写真)
アマモ 花写真
(花写真)
アマモ 地下茎写真
地下茎写真)

からだは細長い地下茎からなり砂泥域に地下茎伸ばして生育する雌雄同株多年生草本種子植物)である。沿岸域主要な一次生産者であり,多様な動物生息場所となる「アマモ場」を形成する細長く先端わずかに尖り,5~7本の葉脈維管束)が先端から基部まで平行に走っている。の縁には顕微鏡的な鋸歯見られない種子による繁殖と,地下茎から新芽を出す栄養繁殖を行う。花は6月頃に咲く。

和名「アマモ」は,地下茎を噛むと甘み感じることに由来するまた,植物名としては日本一長い,「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」という別名を持つ。属名Zostera女性名詞で,細長い形の特徴を表すギリシャ語のzoster(帯,ベルト)に由来する種小名marina」は女性形で,「海中生の,海の」の意味

銚子みられる他の海産種子植物海草)としては,スガモエビアマモなどがある。それらは岩礁域に生育しの縁に顕微鏡的な鋸歯見られる点で,アマモとは区別する事ができる。

砂泥域にしばしば優占する海産種子植物のアマモやコアマモなどは,砂泥中に地下茎伸ばして根をはって体を固着することができる。一方多く海藻は石や岩などの基質付着器や仮根固着することによって生育しているため,付着基質乏し砂泥域に生育する種類比較少ない。緑藻類の子孫である陸上植物海中戻ってきたあるいは戻って来ることができた背景には,上記のように海藻類があまり生育していない場所が存在した,つまりニッチ生態的地位)が空いていたと考えられる

長さ20~100cm 幅:3~5mm

アマモ 生態写真2
生態写真2)

甘藻

読み方:アマモ(amamo)

アマモ科沈水多年草

学名 Zostera marina


アマモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/18 14:12 UTC 版)

アマモ
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: アマモ科 Zosteraceae
: アマモ属 Zostera
: アマモ Z. marina
学名
Zostera marina L.1753
英名
eel grass

アマモ甘藻 Zostera marina)は、北半球温帯から亜寒帯にかけての水深二 - 数メートルの沿岸砂泥地に自生する海草の一種。日本でも北海道から九州までの各地に分布する。雌雄同株で多年生の顕花植物であり、胞子で増える藻類ではなく、海中に生える種子植物である。

名の由来

和名は、地下茎を噛むとほのかに甘いことに由来するが、「海藻(あまも)」に通じるとの説もある。

岸辺に打ち上げられたの様子から、リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ龍宮の乙姫の元結の切り外し)という別名をもつが、これは最も長い植物名として知られる[1]。ただし、長大語の実例として言及されることは多いものの、実際に使用されることはほとんどない。NHKアニメはなかっぱ』の「早口でいってみよう!」に出てくる植物でもある。

英名 eel grassは「ウナギ草」の意で、細長い葉に由来する。なお、アメリカ先住民族の一部はアマモ属を食用にする。

特徴

葉の部分の拡大

アマモは胞子で増える藻類ではなく、海中に生える種子植物である。海産藻類を海藻と言うのと区別するために、アマモなど草本性かつ沈水性の海産種子植物を海草と呼ぶことがある。

イネ科と同じ単子葉類の草本であり、節のある長い地下茎とヒゲ状の根、イネに似た細長い葉をもつ。葉は色で、先端はわずかに尖り、5 - 7本の葉脈が先端から根元まで平行に走る。葉は長さ20 - 100センチメートル、幅3 - 5ミリメートル。

多くの器官が退化して雌しべ・雄しべのみとなった小さな白いを咲かせ、結実して米粒大の黒い種子を作る。種子は発芽に際して一定時間淡水にさらされる必要があることが知られており、自然条件では河口から流れ込む淡水などがアマモ種子の発芽に必要な淡水を供給している可能性があるとされる。また、種子以外に地下茎の分枝・伸長によっても増える。

いくつかの近縁種があり、コアマモやウミヒルモは砂泥干潟の潮間帯、エビアマモは岩磯の潮下帯、スガモは寒帯の岩礁、潮下帯にアマモ、熱帯ではウミショウブなどという棲み分けが見られる。

アマモの生育には水質や砂泥質の底質が清浄であること、人工構造物によって海岸線や浅海域がかく乱されていないことなどが必要なため、海岸の指標生物ともされる。

アマモ場

アマモ場

アマモは沿岸砂泥域における主要な一次生産者である。同属のコアマモと同様、遠浅の砂泥海底に「アマモ場(ば)」あるいは「藻場(もば)」と呼ばれる大群落を作る。アマモ場は潮流を和らげ、外敵からの隠れ場ともなるため、魚類や頭足類の産卵場所、または幼稚魚や小型動物の生息場所となる。また、富栄養化のもととなる窒素リンを吸収し、水質浄化の面でも重要な役割を果たしている可能性がある。

アマモのバイオマスを直接消費する動物はジュゴンハクチョウなど限られているが、アマモの葉はその生育期間に次々に更新し、大量の枯死した葉が生じる。この枯死したアマモの葉は、微生物によって分解し、デトリタス(デトライタス)と呼ばれる様々な微生物が繁殖した有機物片となる。このデトリタスが貝類甲殻類のような様々な底生動物(ベントス)の餌となり、これらの底生動物は魚類などの餌となる。

アマモ、またはその近縁種に依存する生物群としては以下のようなものがいる。

人とのかかわり

先述のようにアマモ場は海岸の多くの生物にとって重要な生活環境だが、人間の経済活動による沿岸域の埋め立て、護岸工事、水質汚濁等で減少している地域が少なくない。アマモ場の減少は、海洋環境の悪化の結果であるとともに、その減少がさらなる環境悪化の大きな一因ともなり、漁業資源の減少にもつながる可能性が指摘される。

そのため、アマモ場の復元を目指す試験や運動が全国的に行われつつある。神奈川県金沢八景の野島海岸のグループ、愛媛県の中予水産試験場などの試みは、その一例である。

ただし、本来アマモの個体群は海域ごとにその場の環境に適応して独自に進化した系統に分かれており、またその系統の遺伝的特性に合わせて進化した個体群からなる地域生物群集が形成されていると考えられる。このため、安易に他海域の系統を移植することでアマモ場の復元を行った場合、どのような影響をその海域の生態系にもたらすかは未知数である。このことから、復元を目指す海域以外からもたらされた株によるアマモ場復元に対する警鐘が研究者から出されている。

また、復元事業が盛んになる一方で、アマモ場自体、あるいは周辺の環境も含めたそれの生態系における機能についての基礎研究は十分とは言えない[3]

藻塩草

アマモは古くからもしおぐさ藻塩草)とも呼ばれたが、この語は海藻・海草類を焼いて塩をつくる「藻塩焼き(もしおやき)」に使われる海藻・海草一般を指したもので、アマモのほか、「名告藻(なのりそ)」とも呼ばれたホンダワラなどをときに含む。

万葉集以来、和歌には藻塩焼きのうらさびしい情景がしばしば詠まれる。藻塩草は単に「藻(も)」として詠まれることもある。

来ぬ人を まつ帆の浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 藤原定家
朝凪に あまの刈るてふ 藻塩草 たくや釜戸の 関といふらん 足利義満

さらに、藻塩焼きでは海藻・海草を「かき集めて」潮水を注ぐところから、和歌では「藻塩草」をしばしば「書く」「書き集める」に掛けて用い、また歌などの詠草を指すこともある。

これを踏まえて「藻塩草」と題した本は複数あるが、特に有名なのは、1513年永正十年)ごろに、宗祇の弟子である連歌師の宗碩が編んだと言われる、大部の歌語辞典である。この書名も、歌語を「書き集めた」というところから来ている。また、手鑑「藻塩草」(京都国立博物館所蔵)は、国宝に指定されている。

その他の利用法

海外では、屋根を葺く材料にしたり地下茎や種子を食用にしたりする例が報告されている[4]

脚注

  1. ^ 『湿原力』 2013, p. 125.
  2. ^ 出典:NHKダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜
  3. ^ アマモ場復元のガイドライン
  4. ^ 海草アマモの変わった利用法(アマモ葺き屋根の家) 1/2/有賀 祐勝 | 海苔百景 リレーエッセイ | 一般財団法人 海苔増殖振興会”. nori.or.jp. 海苔増殖振興会. 2024年6月8日閲覧。

参考文献


アマモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 08:53 UTC 版)

ポケットモンスター サン・ムーン」の記事における「アマモ」の解説

三つ編みをした女性で、調査隊の一人

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「アマモ」を含む「ポケットモンスター サン・ムーン」の記事については、「ポケットモンスター サン・ムーン」の概要を参照ください。

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