紫外線の増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 15:21 UTC 版)
多くのほかの生物と同じく両生類も成層圏のオゾン層破壊による紫外線 (UVB) の増加に害を被っている。 損害の規模は生命段階、種、他の環境要因によって異なる。したがっていくつかの種には紫外線は卵や幼生のような初期の段階で害を与え、他の種では成体時により有害(たとえば眼の損傷)である。紫外線照射はある種や生命段階を殺さないかもしれないが、亜致死障害を引き起こすかもしれない。紫外線は気候変動・汚染物質・疾病と共同的に作用するかもしれない。 両生類は外温性であり、熱帯以外では体温を上げるために日光浴をする。このため、内温性動物より紫外線の影響を強く受ける。特に高山性のカエルは多くの紫外線を受けることになる。 両生類に対する紫外線の影響についてのほとんどの論文に関する最近の総説によると、自然なレベルの紫外線に晒された幼生には重大な致死性は見られなかったことがわかっている。さらに紫外線照射後の死亡率増加を報告する少数の研究は、種の生活史を考慮すると非現実的な実験条件で行われていた。例えば、通常倒木や石の下に産卵尾するサンショウウオの一種の卵は浅い水の中で直接日光に晒された。泳ぐことも隠れ家を見つけることも出来るオタマジャクシは避難場所を見つける可能性もないまま長期間紫外線を照射された。全体として、両生類は自然のレベルの紫外線からはいくつかの要因によって保護されている。すなわち卵の中の光回復酵素(フォトリアーゼ)、卵と幼生のメラニン色素、卵と発生段階の幼生を包むゼリーコートなどである。特に有効なのは、両生類が産卵するために使う湖や池の水の上層数センチメートルに含まれ、水をにごらせ紫外線を減する有機物である。 何百万年もの間、両生類は紫外線の害に対する効果的な防御を進化させてきた。自然な状況下での紫外線による死や変異は1種の両生類でさえも報告されていない。大気のオゾン減少による紫外線のいくらかの増加にも関わらず、紫外線を両生類減少の要因とする証拠は極めて弱い。
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