紫外線の波長ごとの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 01:39 UTC 版)
近紫外線 (波長 200–380 nm) UV-A (波長 400–315 nm) 太陽光線由来のもののうち、5.6%が大気を通過する。冬季及び朝夕でもあまり減衰しない。皮膚の真皮層に作用し蛋白質を変性させる。皮膚の弾性を失わせ老化を促進する。細胞の物質交代の進行に関係しており、細胞の機能を活性化させる。また、UV-Bによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させる。日焼けとしては色素が沈着し皮膚が黒くなる、いわゆるサンタン (suntan)と呼ばれる日焼けを引き起こす。 UV-B (波長 280–315 nm) 太陽光線の由来のもののうち、0.5%が大気を通過する。表皮層に作用し、色素細胞がメラニンを生成し防御反応を取る。これがいわゆる日焼けである。この際ビタミンDを生成する。日焼けとしては皮膚が赤くなり痛む、いわゆるサンバーン (sunburn)と呼ばれる日焼けを引き起こす。なお、こちらの日焼けの場合も最終的には色素の沈着と黒化を引き起こす。 UV-C (波長 200–280 nm) オゾン層で守られている地表には到達しない。強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が強い。ハロン系物質によりオゾンホールが発生すると、地表に到達して生物相に影響が出ることが懸念されている。 遠紫外線、真空紫外線 (VUV, Vacuum UV) (波長 10–200 nm) 酸素分子や水蒸気分子によって吸収されるため、地表には到達しない。真空中でないと透過しない(窒素分子は 150 nm 程度以上の波長であれば透過する)ため「真空紫外線」 (vacuum ultraviolet)と呼ばれる。 極端紫外線 (波長 10–121 nm) 極紫外線とも呼ばれる。極端紫外線は、物質の電子状態の遷移により放出される。X線との境界はあいまいである。30 nm 近辺の波長は、価電子帯の電子が伝導帯に遷移する際に放出されるのに対し、それより短い波長のものは、内側の核電子のエネルギー状態の変化により放出される。この長波長側の端は、He+によるEUV/XUV放射が 30.4 nm である。波長の短いものはサイクロトロン放射によっても放出される。この領域の紫外線は、X線と分類されることもある。
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