動詞
動詞とは、行為や状態の変化を表す語である。日本語の文法において、文の中心となる要素であり、文の述語として機能する。動詞は、自然現象、人間の行動、感情の変化など、様々な事象を表現するために用いられる。 動詞は、活用形によって時制や相を表すことができ、また、助詞や助動詞と組み合わせることで、より具体的な意味やニュアンスを表現することが可能である。例えば、「食べる」は一般的な行為を表すが、「食べている」は現在進行形を、「食べた」は過去形を表す。 また、動詞は単独で用いられることもあれば、名詞や形容詞と組み合わせて複合語を形成することもある。例えば、「飛行機を飛ばす」や「心が揺れる」など、動詞の持つ表現力は日本語の豊かさを支えている要素の一つである。
どう‐し【動詞】
動詞 [verb]
動詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 10:22 UTC 版)
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動詞(どうし、英: verb)とは、品詞の一つで、主に動作や状態を表し、項として主語や目的語などの名詞句をとる語である。時制がある言語では、一般的には動詞が時制を示す。
一般的性質
動詞は名詞とならんでほぼ全ての自然言語が持つとされる基本的な品詞である。「走る」「消える」のように動作や変化を表すほか、「ある」「違う」「匹敵する」のように存在や状態を表すものも含まれる。
通常、動詞は主語、目的語などの項を伴って文を形成する。多くの言語で動詞は態(ヴォイス)、相(アスペクト)、時制(テンス)などによって形態が変化する。また、主語の性・数・人称などでの一致現象を見せる言語も多い。
動詞の分類
結合価による分類
動詞はそれがとる項の数によって分類される。
名称 | 働き | 例語 |
---|---|---|
自動詞 | 主語のみをとる動詞 | 日本語では「立つ」「落ちる」など。 |
他動詞 | 主語および目的語をとる動詞 | 「読む」「壊す」など。 |
二重他動詞 | 主語、直接目的語、間接目的語の3つをとる動詞 | 「渡す」「入れる」など。 |
このほか項をまったく取らない動詞(たとえば「雨が降る」を意味するイタリア語の piove やスペイン語の llueve など)や、3 つ以上の項をとる動詞も考えられる。
再帰動詞 | 本来他動詞または二重他動詞であるが、直接目的語または間接目的語が主語と同じである場合、項が1つ減ることになる動詞。 意味的にも自動詞と考えられるものも多い。 |
---|---|
能格動詞 | 他動詞と、他動詞の場合の目的語=内項を主語に据えた自動詞(他動詞の場合の主語=外項を消した表現)のいずれにも、同じ形のまま使える動詞。 日本語の「開く」、英語の open など。 |
相による分類
動詞の相(アスペクト)の特性から動詞を分類することができる。動作の持続する時間に基づいた継続動詞/瞬間動詞、ある状態への変化を意味するかどうかに基づいた目標動詞/非目標動詞などいくつかの観点からの分類が可能である。ヴェンドラーによる次の4分類がよく知られている。
名称 | 働き | 例語 |
---|---|---|
状態動詞 (state) | 原形のまま状態を表し、進行形をとらない。 | like,live,haveなど。 |
活動動詞 (action) | 進行形で動作の継続を表し、着点や結果や動作の限界点をもたない。 | runなど。 |
到達動詞 (achievement) | ある状態が実現される瞬間的な出来事を表す。動作の過程は表さない。 | arriveなど。 |
達成動詞 (accomplishment) | 継続的な動作の結果、ある状態を実現することを表す。 | makeなど。 |
日本語に関しては、同様の視点による金田一春彦の4分類(状態動詞、継続動詞、瞬間動詞、第四種の動詞)がある。金田一とヴェンドラーの違いは、ヴェンドラーが進行形(V-ing)に基づいて分類しているのに対して、金田一は動詞を「~ている」に基づいて分類している点である。金田一の分類はヴェンドラーに先駆けて提案されており、また、ヴェンドラーと同様の分類はアリストテレスが行っているという。
意志による分類
名称 | 働き | 備考 |
---|---|---|
意志動詞 (volitional verb) | 人間などの意志による動作を表す動詞 | 希望・可能・命令・禁止などの形をとれる。 |
無意志動詞 (non-volitional verb) | 意志によらない動作などを表す動詞 | 希望・可能・命令・禁止などの形態をもたない。 |
視点による分類
名称 | 働き | 例語 | 備考 |
---|---|---|---|
主体動作動詞 | 主体の動作をとらえている動詞 | 書く・食べる…など | 自動詞も他動詞もある。「いる」をつけると動作の進行を表す。 |
主体変化動詞 | 主体の変化をとらえている動詞 | 立つ・結婚する・開く・壊れる…など | ほとんどが自動詞である。「いる」をつけると結果の持続を表す。 |
主体動作・客体変化動詞 | 主体からは動作を、客体からは変化をとらえている動詞 | 開ける・壊す…など | すべて他動詞である。 能動態と受動態に対立があり、「いる」を能動態につけると動作の進行を表し、受動態につけると、結果の残存を表す。 |
日本語の動詞
分類
言語学では、日本語の動詞を形態により 3 種類に分ける。五段動詞、一段動詞、不規則動詞(「する」と「来る」)である。五段動詞を、-u 動詞、グループ 1 動詞、子音動詞、強変化動詞とも呼ぶ。一段動詞を、-ru 動詞、グループ 2 動詞、母音動詞、弱変化動詞とも呼ぶ。この呼び名は、語幹と語尾に基づいている。
五段動詞 | 語幹が子音で終わる。原形は -u で終わる。 | kak-u, kak-imasu, kak-anai hanas-u, hanas-imasu, hanas-anai |
---|---|---|
一段動詞 | 語幹が母音 (i, e) で終わる。原形は -ru で終わる。 | mi-ru, mi-masu, mi-nai tabe-ru, tabe-masu, tabe-nai |
不規則動詞 | 「する」と「来る」のみ。 | s-uru, s-imasu, s-inai k-uru, k-imasu, k-onai |
助動詞
言語学では、日本語の、「-て」に後続し文法的機能を示す動詞を分類して助動詞と呼ぶ。これは、国文法では「補助動詞」と呼ぶ。国文法でいう「助動詞」については助動詞 (国文法) を参照すること。
国文法
日本語動詞の活用の種類 | |
---|---|
文語 | 口語 |
四段活用 ナ行変格活用 ラ行変格活用 下一段活用 |
五段活用 |
下二段活用 | 下一段活用 |
上一段活用 上二段活用 |
上一段活用 |
カ行変格活用 | |
サ行変格活用 |
国文法では、動詞は用言の一つであり、活用する自立語である。活用の形態により、五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用に分類される。
動詞の活用形
各形に後続する主な言葉
未然形 | ない・う・よう・ぬ・れる・られる・せる・させる |
---|---|
連用形 | た・だ・て・ます・「、」・たい・ながら |
終止形 | と・「。」・から・けれど |
連体形 | とき・の・こと・名詞 |
仮定形 | ば |
命令形 | 「!」・と・「。」 |
複合動詞
「押し続ける」「作り上げる」のように 2 つの動詞を結合したものを複合動詞という。前の動詞(連用形)を前項動詞、後続の動詞を後項動詞という。
意味的には、「切り倒す」「ふりかける」のように 2 つの動詞の意味をほぼ対等に結合した複合動詞 (語彙的複合動詞) もあるが、上例のように前項動詞が基本的な意味を担い、後項動詞が主として文法機能を果たす複合動詞 (統語的複合動詞) も多い。
特に前項動詞の種類に対する制限の少ない後項動詞「始める」、「続ける」、「尽くす」、「過ぎる (前に形容詞・形容動詞の語幹もとれる) 」、「お…する (謙譲語) 」などは補助動詞としても扱われ、「押され続ける」のように 2 つの動詞の間に助動詞が介入できることもある。中には「かねる (不可能などを表す) 」のように、独自の意味を失いほぼ文法機能のみを担う、助動詞的な後項動詞もある (丁寧の助動詞「ます」も後項動詞形式の補助動詞「参らする」に由来する).
造語
日本語における動詞の原型はほとんどの場合「〜る([ɾɯ])」で終わるという特徴があるため、単語の自由性が高く若者言葉として使用される例もある。[1]また、《名詞+る》の構成が多い一方で、本来使用すべき動詞が省略される例も多い事実もある。[2]
例
- タピオカ(を飲む) タピる
- コピー(をする) コピる
日本語以外の言語における動詞
英語
英語では、補語を伴って状態を表すbe動詞 (SVC) と、それのみで動作を表したり副詞句を伴ったりする自動詞 (SV) と、目的語や目的格補語を伴う他動詞 (SVOO, SVOC) がある。また "give up" (諦める)や "take care of" (世話する)のように、副詞や前置詞、名詞などを伴った形で、全体として一つの動詞のように用いられる句動詞となることもある。
韓国語(朝鮮語)
最敬体(敬語)、過去形、連用形、連体形(現在・過去・未来等の区別あり)などの変化をする。日本語同様に文末に用いられることが多く、また様々な接尾辞(日本語の接続助詞に似る)を介して他の語に接続する。活用の様式がよく似ているため、形容詞が動詞の一種とされることもあるが、用言を動詞・形容詞・指定詞(コピュラ)・存在詞(「ある」「ない」)に分けることが多い。
関連書籍
- 『日本語動詞のアスペクト』(金田一春彦編、鈴木重幸・藤井正・高橋太郎・吉川武時著、むぎ書房、1976年、ISBN 4-8384-0104-3)
- 『動詞の研究 動詞の動詞らしさの発展と消失』(高橋太郎、むぎ書房、1994年3月、ISBN 4-8384-0109-4)
脚注
- ^ “Wayback Machine”. catalog.lib.kyushu-u.ac.jp. 2025年4月21日閲覧。
- ^ “第54回 名詞からうまれた動詞 | 『日本国語大辞典』をよむ(今野 真二) | 三省堂 ことばのコラム”. 三省堂WORD-WISE WEB -Dictionaries & Beyond- (2019年2月23日). 2025年4月21日閲覧。
関連項目
動詞(複合語を含む)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:25 UTC 版)
あぎれる:飽きる。「飽きっぽい」の意味の形容詞は「アギレッペ」。 あるってく:歩いて行く。「行く」→「行って」の促音便変化と同じように「歩く」→「歩って」となる。 いじやげる・いじゃげる:(1) いらいらする、じれったい、もどかしい。(2) 腹が立つ。 いしゃる:退く。 いっける:載せる。 おじる:降りる。主に県北地域に多い。 おっかく・おっかぐ・おっちょる:折る。 おっちぬ:死ぬ。強意の接頭語がついたもの。 おっぴしゃぐ・おっぺす:(1) へこます。(2) 押しつぶす。全域ではない。 おんのまる:(ぬかるみなどに)埋まる。はまる。のめり込む。全域ではない。 かせる:食べさせる。全域ではない。 かっこぽす:こぼす。強意の接頭語がついたもの。 かっぱぐ:剥ぐ、掻き回す、寄せ集める、削ぐ。強意の接頭語がついたもの。 かっぽる:捨てるの意。「放る」に強意の接頭語「かっ」が付いたもの。「そんないしけーの、カッポッちめー」→(そんなボロい物、捨ててしまえ) かんまーす・かんまわす:掻き回す。 きる:来る。カ行上一段活用。 くんのむ:飲み込む。 しぐ:死ぬ。 しる:する、為る。 せーる:仲間に入れる。 そべる・そべーる:甘える。じゃれる。「戯える(そばえる)」。 だす:遣る。県西地域を除く。 ちゃぶす:潰す。千葉県と共通。ひっちゃぶす。自動詞はちゃぶれる。 つこでる・つっこでる:落ちる。「突き落ちる」意味。他動詞は、つこどす・つっこどす。 つっぺーる・つっぺる:水溜まりにはまる。たんぼや川などにはまる。 でっこじゃす・でっこじゃれる:間違って作る。出来そこないをつくる。 とっぱずす:取り外す。失敗する。 のざぐ:喉に食べ物がつかえる。喉につかえてむせる。「エそいで食べでノザグな」→(急いで食べて喉につかえてむせかえるな) はぎる:(毛先や枝先などを)切ること。「アダマ短くハギッテこー」→(髪の毛を短く刈って来い) びだける・びだげる:甘える。 びだばる・びだまる:(1) 動けなくなる。病気等で伏せてしまうこと。(2) 死ぬ。(3) 挫折する。(4) 損をする。(5) 疲れる ひやす:(水に)ひたす。 ぶっかす:壊す。「ぶ」は強意の接頭語であるが、本来の意味は薄れている。 ぶっくらす・ぷっくらす・ぶっくらせる・ぶっくらーせる・ぷっくらせる:殴る。 ぷっころす:ぶっ殺す。他と広く共通。 ぶっつぁぐ・ぷっつぁぐ:裂く。破く。 ぶっちめる:指を挟まれる。 ぶどげる・ぶどける・ぶとける:ふやける ふんぐらげーす・ふんぐらけーす・ふんぐりげーす・ふんぐるげーす・ふんげりげーす・ふんぐりげーる・ふんげるげーす:(1) 踏み違える。(2) 足を捻る。 ふんぢゃす・ふんぢゃぶす・ふんじゃぶる:踏み潰す ぶんぬぐ・ぶんぬく:(1) 抜く。(2) 穴を開ける。(3) 底蓋を開けて流す。(4) 追い抜く。(5) 除名する。 ぽぎだす・ぽきだす:吐き出す。死語となった「ほきだす」が訛ったもの。 ほぎる・ほきる:(1) 植物などが育つ。繁茂する。(2) 植物が芽を吹く。生える。萌える。(3) (火が)起きる。燃える。 ぽげる:(1) 風化する。(2) 湿気で木材が腐る。 ぼでる・ぼてる:餅などがふやけでどろどろになる。 ぼなる:(1) うなる。(2) 声を立てて泣く。 ほーろぐ:払い落す。「外でほごりホーロイでがら中さ入れ」→(外で埃を払い落してから家の中に入りなさい) まるぐ・まるく・まーるぐ:束ねる。 まちる:混じる。清音化。 まびらかす・まぶらがす・まぶらせる:見せびらかす。 むすぐる:くすぐる。 むっくりげーす・むっくるけーす:繰り返す。 めっかさる:見つかる。見つけられる。 めっける:見つける。 やずす:略す。「約す」が訛ったもの。 やっちめる:やっつける。こらしめる。とっちめる。 やーぶ:歩く。 やれる・やーれる:(1) 言われる。(2) やられる。(3) 叱られる。(4) できる。 ゆごぐ:動く。 よろばる・よろぼる:よろける。 わっかく・わっかぐ・わっつぁぐ:割る。 わっかげる・わっつぁげる:割れる。
※この「動詞(複合語を含む)」の解説は、「茨城弁」の解説の一部です。
「動詞(複合語を含む)」を含む「茨城弁」の記事については、「茨城弁」の概要を参照ください。
動詞
出典:『Wiktionary』 (2021/06/13 11:15 UTC 版)
名詞
翻訳
- アイスランド語: sagnorð 中性, sögn 女性
- アイルランド語: briathar
- アラビア語: فعل
- アルバニア語: folje 女性
- アルメニア語: բայ
- イタリア語: verbo 男性
- インターリングア: verbo
- インドネシア語: kata kerja
- ウェールズ語: berf
- 英語: verb
- エストニア語: tegusõna, verb
- エスペラント: verbo
- オランダ語: werkwoord 中性
- カタルーニャ語: verb
- ギリシア語: ρήμα 中性
- 古英語: word 中性
- 古典ギリシア語: ῥῆμα (rhēma) 中性
- スウェーデン語: verb 中性
- スペイン語: verbo
- セルビア語
- タイ語: คำกริยา
- チェコ語: sloveso 男性
- テルグ語: క్రియాపదము
- デンマーク語: udsagnsord, tidsord 中性
- ドイツ語: Aussagewort, Tätigkeitswort, Tunwort, Tuwort, Zeitwort 中性; Verb, Verbum 中性
- 西フリジア語: tiidwurd
- ヒンディー語: क्रिया 女性
- フィンランド語: verbi
- フランス語: verbe 男性
- ブルガリア語: глагол 男性
- ヘブライ語: פועל (Po'al)
- ペルシア語: فعل
- ポーランド語: czasownik 男性
- ポルトガル語: verbo 男性
- ラテン語: verbum 中性
- ラトヴィア語: darbības vārds 男性
- ルーマニア語: verb 中性
- ロシア語: глагол
「動詞」の例文・使い方・用例・文例
- 使役動詞
- 英語の動詞は主語の次に来る
- 不規則動詞
- を用いない場合,動詞は直説法となる
- 規則動詞
- 助動詞
- 他動詞
- 弱変化動詞
- 代動詞と不定詞の使い方について今日学んだ。
- 動詞や形容詞を名詞化することで構文を変えることができる。
- 動詞を現在完了にしなさい。
- 関連する動詞が肉太活字と置換された。
- 詳細を加えるために、私たちは名詞や形容詞、副詞、動詞が使えます。
- 形容詞は動詞から形成されたのかもしれない。
- 動詞の過去分詞は形容詞として機能することができる。
- 次の動詞はto不定詞だけを目的語にとります。
- 動詞は述語動詞のことです。述語動詞は、主語や表す時によって形を変えます。
- 仮定法過去の場合be動詞はすべてwereになるんだよ?
- 動詞helpはto不定詞・原形不定詞の両方をとりますが、くだけた文体では原形不定詞が多いとされており、この例文でもそれが使われています。
- 英語を学習する上で不可欠な、不規則動詞の活用。
動詞と同じ種類の言葉
- >> 「動詞」を含む用語の索引
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