朝廷の人々
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ホン・グギョン(洪国栄):ハン・サンジン-(てらそままさき) 世子侍講院説書(セジャシカンウォン セソ 正七品相当)→司憲府持平(サホンブ チピョン 正五品相当)→司憲府執義(サホンブ チビ 従三品相当)→宿衛所(スギソ:王の親衛隊)隊長兼、都承旨(トスンジ:王命を伝達する官庁)及び承政院(スンジョンウォン:王命履行の結果報告を王に行う官庁)の長官。正三品堂上に相当)に昇進。王世孫時代からサンを支えた側近である。両班の出身で、宮中入りを志願しているテスに武科の講義をする。ホン・イナンの遠縁にあたり、フギョムから派閥への誘いを受けるが断った後、サンの側に付きサンの右腕となる。正祖即位後に絶対的権力を手にするが、妹である元嬪が正祖の側室に入る一件から、外戚にして力を得させようとする恵慶宮と外戚になることの危険性を説く孝懿王妃との板挟みになっていく。結局、権力への誘惑に負け「忠誠心を示し、外戚となって力を得よ」という恵慶宮の意向に従う事になり「全ては王様のため」という心構えも自身が気づかぬうちに権力の魔力に憑りつかれていき、貞純大妃に弱みを握られた事も追い打ちとなり、専横をほしいままにするようになる。元嬪没後もウノングンの子ワンプングンを招聘、彼を妹の養子として、外戚への道を再び開こうとした。また妹の懐妊・流産偽証の件で孝懿王妃に罪を被せた事が元で、徐々に彼女との摩擦が生じ、偽証を王妃に見破られた上に元嬪が病死した事によって対立が決定的になり、彼女への復讐に燃える。そして後に老論派と内通していた事が孝懿王妃に発覚し、口封じと妹を死なせた自責の念から後に、宴を利用して孝懿王妃暗殺計画を実行に移すが、直前に翻意する。本人が不在だった為に彼女では無く、自分を心から信頼してくれるサンを毒殺しようとしてしまった事実 によって罪の意識に苛まれ、遂に自首。サンの失望 を買って拷問の末に死刑となるところを、暗殺を思いとどまったことをサンに考慮されて死一等を減じられ江陵の流刑地へ配流となり、文字通り全てを失った。流刑地からも軍制改革を上書するが肺の病を発し、サンとテスに看取られながら病死する。彼の葬儀は流刑地で盛大に執り行われた。 チョン・ヤギョン(丁若鏞):ソン・チャンウィ-(小森創介) ホン・グギョンが朝廷から去った後、彼と入れ替わる形でサンの右腕となる人物。成均館の試験問題を早々に書き上げて授業を抜け出し、塀を乗り越えようとしたところ、通りかかったサンに手を貸すように頼む、というのがサンとの出会いだった。回答があまりにも前衛的すぎたため、サン自らが採点するまでは科挙に落第し続けていた。仕事に熱中すると部下が呼んでいるのも耳に入らなくなるばかりか、時間を忘れて夜中にサンに報告に赴いたり、サンに報告書を提出する時間を忘れたりもする。無類の読書好きで、チャン・テウから法の改正や提案の件で叱責されたにも拘らず、「テウ様の著書の中でどうしても手に入らない一冊を貸してほしい」と嘆願し、彼を呆れさせてしまったほどである。豊富な知識と物怖じしない豪胆さが買われてサンの側近となる。暗行御使(アメンオサ)として京畿道に赴任したり、宋応星の『天工開物』を元に挙重機(コジュンギ。当時のクレーンにあたる機械)を発明して、新しい首都および商業の中心地になる予定だった水原華城の建設にも深く関わる。サンの絶対的な信頼を受け、承政院左副承旨(スンジョンウォン チャブスンジ 正三品堂上相当)に昇進し、王の「遷都」を含めた改革に協力する。 史実では、成均館に学んだ実学者で多くの著書・業績を残し、政治や法律や経済、建築学、医学、教育、歴史など、ありとあらゆる学間を修め、彼がその生涯で残した著作はじつに500冊以上に及ぶと言われる。詩人としても有名。サンの死後は王から受けた寵愛および天主学(キリスト教)に入信したことが仇となり、長きに渡って弾圧を受けることになる。 チェ・ジェゴン(蔡済恭):ハン・インス-(納谷六朗) 判義禁府事(パンウィグムブサ 従一品相当)。思悼世子(サンの父)の忠臣であり、幼いサンの教育係を努める。ナム・サチョを英祖王に引き合わせるが、のちに老論派の謀略で流罪となる。サンが世孫として成長した頃に、サンの偽の通達事件で英祖王に呼び戻され、サンの補佐役に任命された後はサチョと共にサンを助ける。若くして権力を急速に増していくホン・グギョンの身を案じて、諫めていくものの、皮肉にもその不安が後に現実のものとなってしまった。 チェ・ソクチュ(崔錫周):チョ・ギョンファン-(村松康雄) 吏曹判書(イジョパンソ:人事を司る官庁の長官。正二品相当)→第65話で右議政(ウイジョン。正一品相当)に昇進。老論派の重鎮であり、貞純大妃、ファワン翁主の指示を受けてサンの廃位を企む。正祖が即位する際は英祖に呼び出されてサンと妥協し、難を逃れている。正祖の政策に猛反発して、自分達の権威を誇示しようとするも逆に反発された事で遂に怒り、正祖を追い落とすべく師でもあるチャン・テウを招聘した。ミン・ジュシクの庶子への報復を見抜くなど目ざとい面を持つが、彼の事後処理の甘さに呆れ、匙を投げてしまう。最後には老論派の勢力を集めて決起、謀反を起こしたために正祖の怒りを買い、大逆罪として斬首刑に処されるが、老論派の命脈を保つために「大妃は加担していない」と大妃を庇い抜き、老論派の未来を彼女に託した。 架空の人物であり、モデルはシム・ファンジ(沈煥之)。 チョン・フギョム(鄭厚謙):チョ・ヨヌ-(加瀬康之)、幼少期:イ・インソン 司憲府持平(サホンブ チピョン 正五品相当)から承政院(スンジョンウォン)の同副承旨(トンプスンジ。正三品堂上相当)。漁師の息子として生まれ、子供の頃にサンの学友に任命される。明晰な頭脳と巧みな処世術でファワン翁主にとりいって彼女の養子となる。表面は絶えず微笑を浮かべているが、内心は非常に冷たく血も涙も無い性格の持ち主であり、己の野心のためならどんな手段も選ばない。若くして急速に昇進し、英祖の信任を得て最側近として政務をこなすようになるが、正祖が即位した際に謀反を起こし、首謀者として咸鏡道へ流刑の後、王命により賜死(薬殺刑)となる。ホン・グギョンとは自分と重なるところがあったのか、彼が自分と同じく確実に破滅するであろう未来を予見し、自身の死後、それが的中した。賜死の際、クギョンが見届け人であったため、臆する事無く、毅然と王命を受け入れた。 第34回で身を隠している間にサンと共に髭を蓄えた。 彼を演じたチョ・ヨヌのインタビューによると、史実でのチョン・フギョムの資料はあまり残っておらず、演じるのに苦労したと言う。その為、史実での彼がどの様な人物だったかは不明。 キム・ギジュ(金亀柱):チョン・ミョンファン-(大島宇三郎) 承政院左承旨(スンジョンウォン チャスンジ 正三品堂上相当)で貞純大妃(テビ)の兄。性格は極めて粗野で思慮が浅く、頭が良いとは言えない。作中においても妹である貞純王妃(大妃)から度々叱責を受けている。しばらく朝廷から離れていたが、貞純王妃が平壌から呼び戻す。サンの即位前の暗殺に失敗し流刑処分になるが、英祖の認知症につけこんだ貞純王妃の策により赦免される。正祖が即位した際に改めて黒山島へ流刑となる。宣旨では賜死を言い渡されなかったのと、流刑地で毒薬を与えられた描写もなかったので、その後の去就は不明。 ホン・ボンハン(洪鳳漢):シン・チュンシク-(浅見小四郎) 左議政(チャイジョン 正一品相当)→第50話で領議政(ヨンイジョン:議政府の最高位の役職。正一品相当)に昇格している旨がヘギョングンのセリフから窺い知ることができる。恵慶宮(サンの母)の父。サンの母方の祖父にあたる。朝廷の派閥争いには中立を保つ。基本的には少論派(世孫寄り)の人物であるものの、ソンヨンのことを「たかが茶母」と軽視する発言をしており、ソンヨンが清国へ渡った後のサポートも全く取っていないなど、人間的には冷たい人物である。老論派に身を置く弟、イナンの身を危惧し、娘である恵慶宮に請うてまでイナンを助けようとしたが、真相がファワンを通じて恵慶宮の知る所であったため、激しい叱責を受けてしまい、謀反にかかわった事実を覆す事ができず、結局弟を救う事は出来なかった。チャン・テウの朝廷復帰以降、彼は登場していない。 ホン・イナン(洪璘漢):ナ・ソンギュン-(中村浩太郎) 刑曹判書(ヒョンジョパンソ:法や刑罰を司る官庁の長官。正二品相当)。ホン・ボンハンの弟で、サンの大叔父にあたる。当初は少論派だったが欲に駆られて老論派に寝返る。サンが即位後、謀反に加担したことが露見し、兄に命乞いをするが、結局流刑の後に賜死となる。 チャン・テウ:イ・ジェヨン-(永田博丈) 左議政(チャイジョン:議政府の高位の役職。正一品相当)→第65話で領議政(ヨンイジョン:議政府の最高位の役職。正一品相当)に昇格。第49話より登場した前左議政。かつて老論派の首長としてその名を轟かせた人物だったが、「先王が実兄を毒殺した」と匿名で上奏した事を貞純王妃(大妃)の親族によって付きとめられてしまい、弱みを握られる形で朝廷を追放されてしまう。このことが原因で外戚を嫌うようになった。昌寧で私塾を開き儒学界の実力者として暮らしていたが、正祖を追い落とそうと目論むチェ・ソクチュにより都に呼び戻される。深い学識を備え、全国の両班から尊敬を集め、彼に従わない老論派の人間は(大妃側の者を除けば)誰一人いない。更に全土の私塾に呼び掛けて科挙を妨害したり、ストライキを起こさせるなど、両班のみならず儒生に対する影響力は絶大である。信条の相違はあれども正祖とは思想が非常に近く、老論派でありながら政務に対しては実直かつ誠実な反面、余計な混乱を起こす者は老論派の身内であろうと決して許さない。「心ある者の務めは国を正しく導く事。保身のために信念は曲げられない」と自身の信念を一切曲げず忌憚なく意見するところが正祖に信任され、王命によって左議政に再び任じられて朝廷に復帰する。鋭く本質を突いた(殆どの相手からは侮辱も同然と言える)毒舌混じりの厳しい意見を誰に対しても言い放つため、特に外戚であるホン・グギョンとは敵対関係になっていく。サンに対する一定の理解と忠誠を持っているため、クギョンが起こしたヒョイ王妃暗殺計画の調査を進言し、その全権を委ねられた。また、孝懿王妃を暗殺しようとしたホン・グギョンの処遇は当然死罪と思っていたため、彼が流刑になった事を不服に思っている。朝廷内において重きを成していく事になるが、第76話後半で全ての職を辞して隠居生活に入った。 架空の人物で、モデルはキム・ジョンス(金鐘秀)。 ソ・インス:パク・テホ-(名取幸政) かつて思悼世子の護衛官を務めた武官で、サンにとっては幼い頃に王宮の庭で肩車をして遊んでもらった思い出がある人物である。引退していたところに他の元護衛官らと共に謀反の疑いをかけられるが、ソンヨンらの活躍で無実を証明される。老論派が五軍営を掌握してサンを攻撃しようとした時、平安道に援軍を要請する使者として赴く。 ハン・ジュノ(韓俊虎):イ・ギョンヨン-(田村勝彦) 兵曹判書(ピョンジョパンソ)。 イ・ジョンテ:イ・ビョンシク-(津田英三) ミン・ジュシク:チョン・ホグン-(天田益男) 前吏曹参議(チェン イジョチャミ 正三品堂上相当)。チャン・テウの側近。テウと同時に朝廷に復帰し、奎章閣の副提学となる。老論派の両班である事を鼻にかけ、身分の低い者たちに余りにも横柄で尊大かつ自己中心的で他者を見下す言動を繰り返すため、奎章閣の庶子や宿衛所の面々と問題を事ある度に起こしていく。また、チャン・テウを通してホン・グギョンに対する言いがかりをつけ、自分に口答えした事に対する報復として奎章閣の庶子全員に刺客を送り込み、提学(チェハク。奎章閣の長)キ・チョニクを死に追い込んだ張本人であるが、チャン・テウの尋問にも巧みに言い逃れた。証拠隠滅を怠る等、チェ・ソクチュが匙を投げてしまうほどの事後処理の甘さが災いして、後に捜索の手が伸びた事で庶子への報復が明るみとなり、欺かれた事に激怒したチャン・テウによって老論派を追放された。その罪により義禁府(ウィグムブ:王命により 罪人の取り調べを行う官庁)に護送されかけるが貞純大妃に助けられ逃走、大妃の密命でサン暗殺のために武官として潜り込ませる兵士を鍛えていた。ソクチュに呼応して謀反に加担するも失敗し、ソクチュらと共に大逆罪として斬首の刑に処され、他の老論派の者と共に、貞純大妃に老論派の未来を託した。
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