密迹金剛とは? わかりやすく解説

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みっしゃく‐こんごう〔‐コンガウ〕【密迹金剛】

読み方:みっしゃくこんごう

執金剛神(しゅうこんごうじん)の異称


金剛力士

(密迹金剛 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/19 00:22 UTC 版)

金剛力士(こんごうりきし、: वज्रपाणिVajrapāṇi[1])は、仏教護法善神(守護神)である天部の一つ。

概略

サンスクリットでは「ヴァジュラパーニ[1]」「ヴァジュラダラ(Vajradhara)[2]」といい、「金剛杵(こんごうしょ、仏敵を退散させる武器)を持つもの」を意味する。開口の「阿形(あぎょう)」像と、口を結んだ「吽形(うんぎょう)」像の2体を一対として、寺院の表門などに安置することが多い。寺院の門に配される際には「仁王・二王(におう)」の名で呼ばれる[2]。また、「伐折羅陀羅(ばざらだら)」「跋闍羅波膩(ばじゃらぱに)」「密迹金剛」「金剛手(こんごうしゅ)」「持金剛(じこんごう)」とも呼ばれる[2]

仁王像

法隆寺中門金剛力士(阿形
ガンダーラ仏釈迦如来ヴァジュラパーニだが、ヴァジュラパーニはヘラクレスのような像容で描かれている。

日本では寺院の入口の門の左右に仁王像が立っている仁王門をしばしば見かける。像容は上半身裸形で、筋骨隆々とし、阿形像は怒りの表情を顕わにし、吽形像は怒りを内に秘めた表情に表すものが多い。こうした造形は、寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神としての性格を表している。

仁王像は安置される場所柄、風雨の害を蒙りやすく、中世以前の古像で、良い状態で残っているものはあまり多くない。寺門に安置された仁王像で日本最古のものは法隆寺中門に立つ塑像であるが、後世の補修が甚だしく、吽形像の体部はほとんど木造の後補に変わっている。なお、仁王像は仏堂内部に安置されることもある。奈良・興福寺の仁王像(鎌倉時代、国宝)は旧・西金堂堂内に安置されていたもので、当初から堂内安置用に造られたため、像高は小ぶりである。

仁王像は阿形・吽形の一対として造像するのが原則であるが、これを1体のみで表した、執金剛神(しゅこんごうしん)と呼ばれる像がある。東大寺法華堂(三月堂)の本尊の背後の厨子内に安置された塑造執金剛神立像(国宝)がその例で、形勢や表情は一般の仁王像と似ているが、裸形でなく甲冑を着けている点が異なる。東大寺法華堂にはこれとは別に一対の仁王像があり、阿形像が「金剛力士」、吽形像が「密迹力士」(みっしゃくりきし)と呼ばれている。これも着甲像である。

千手観音の眷属である二十八部衆の中にも仁王像があるが、この場合、阿形像は「那羅延堅固」(ならえんけんご)、吽形像は「密迹金剛士」(みっしゃくこんごうし)と呼ばれる。

現存する大作としては建仁3年(1203)造立の東大寺南大門金剛力士(仁王)像が有名である。造高8メートルに及ぶこれらの巨像は、平成の解体修理の結果、像内納入文書から運慶快慶定覚湛慶(運慶の子)が小仏師多数を率いておよそ2か月で造立したものであることがあらためて裏付けられ、運慶が制作の総指揮にあたったものと考えられている。

また、スポーツ用品メーカーのアシックスが、陸上競技および長距離種目のマラソン・駅伝用ブランド「GONA」にデザインとして採用していた時期がある。

金剛力士像(仁王像)の像容の起源について、紀元前4世紀のアレクサンドロス大王の東征によって中央アジア(ガンダーラ)にギリシア文化が持ち込まれ、ヘラクレスの像容が金剛力士の像容に影響を与えたという説もある。

金剛力士が安置されている主な社寺

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 「金剛力士」 - デジタル大辞泉、小学館。
  2. ^ a b c 錦織亮介『天部の仏像事典』東京美術1983年、54頁。

関連文献

関連項目




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