『ウルトラマンZ』に登場するセブンガー
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「ウルトラマンレオの登場怪獣」の記事における「『ウルトラマンZ』に登場するセブンガー」の解説
『ウルトラマンZ』に登場。正式名称は対怪獣特殊空挺機甲1号機 セブンガー。形式番号は「SC-1」。 地球防衛軍日本支部特殊空挺機甲隊ストレイジが10年前に宇宙から落下してきた冬眠状態の怪獣兵器グルジオライデンから採取したオーバーテクノロジーを元に研究し、最初に開発して初めて実用化した特空機の1号機で、世界初の対怪獣ロボット。『レオ』の登場個体と異なり、胸部の搭乗ハッチから乗り込み、首付近にあるコクピットにパイロットとして同隊のナカシマヨウコまたはナツカワハルキが搭乗して操縦する方式となっている。ヨウコが搭乗した場合は古流柔術のように八の字に立ち、上段に突き手、中段に引き手を構える。ハルキが搭乗した場合は空手のようにレの字立ちで拳を握り、横に突き手、縦に引き手を構える。イナバコジローが搭乗した場合は両手を上げた力こぶのポーズのまま突進している。全身の装甲は高強度な超硬質合金S型で製作されている。実用行動時間(活動時間)は3分間で、これは本体の1分間稼働可能なバッテリーパックを3本背面中央に差し込み、1分ごとにバッテリーパックを排出することによって実現しているが、瓦礫撤去作業や輸送の警護などの戦闘以外の平時の作業で稼働する際は外部の電柱から有線による電力の供給も可能となっている。また、作戦現場まで移動する際は円筒形の飛行用のブースターを背面に装備することにより、実用行動時間に関係なく飛行できる。戦闘時は怪力を生かした格闘戦を得意とし、第3話からはハルキの考案で拳(肘から少し下部分)を右腕からロケット噴射で発射する硬芯鉄拳弾(こうしんてっけんだん)が新規搭載され、ギガスを粉砕した。そのほか、口の射出装置からは必要に応じて電界放出弾などの各種実弾を発射できる。 初陣でナメゴンの討伐に成功して以降、地球にゼットが飛来する以前から、数多くの怪獣と対戦し、5年に渡りストレイジの主力として運用され続けてきたが、戦闘による老朽化や戦力不足、新たに開発された後継の3号機、キングジョー ストレイジカスタムの完成と本格稼働に伴って席を譲る形で実戦配備を解かれ、退役する。その後は広報部の管轄となり、特空機のPR活動用として地球防衛博物館に収められていたが、常に出撃可能な状態に整備が続けられており、バロッサ星人(三代目)襲撃の折には前線に緊急現役復帰し、ヨウコが搭乗する。ベリアロクを構えてキングジョーSCのレッグキャリアーに乗り、敵をすれ違いざまに横一文字に切り裂く波乗りスペシャルスラッシュでバロッサ星人を撃退する。さらに、デストルドスとの最終決戦ではコジローが搭乗し、右腕をドリル超硬芯回転鉄拳に換装してヨウコの救出に尽力する。 第4話ではコジローがセブンガーのダクトカバーで焼き芋を作ったのを見たオオタユカが、ウインダムの充電にネロンガのツノを使うことにつながった。 スーツアクター:梶川賢司 イメージソースは『鉄人28号』の鉄人28号、『パシフィック・リム』のチェルノ・アルファ。監督の田口は、ウインダムとの性能差のイメージとして、内蔵バッテリーのウインダムに対し、セブンガーはねじ巻き式であると明かしている。 デザインは竹内純が担当。全体のスタイルや表情は『レオ』の登場個体に沿っているが、装甲の端々や関節部分はメカとしてのディテールと硬質感が加えられ、手の指もデザインでは原典のようにお団子のようなものだったが、5本指に変更となった。表情も、戦闘開始時には一時的に精悍な目つきに変わるという特徴がある。新しく地球人によって造られたロボットという設定のため、新品のようなデザインが描かれたが、戦うイメージが欲しいという要望から、完コピしてトレースした原典のシワの部分は装甲の継ぎ目という解釈でディテールや戦いの傷跡や亀裂などの戦うイメージでリデザインし、原典の写真を参考に原典と同様の場所に亀裂や傷を入れている。追加ディテールはリアルすぎず、洗練され過ぎていないということから、泥臭い感じのディテールを入れ、口元のグリルはジープのようなイメージで、ルーパーを奥に描き込んでいる。目は剥き出しになったガラスでは弱いことから、ヘッドライトガードのような細かい格子状の保護パーツを付けていたが外すこととなり、まつ毛のようなパーツはその名残である。硬芯鉄拳弾の断面や超硬芯回転鉄拳、腹部の丸いパーツの中はデザインでは描かれていない。バッテリーパックの排出イメージも別に描かれている。 後述の経緯からリメイクするものとなったが、着ぐるみがアトラクション用を含めて現存していなかったため、新造することとなった。スーツは上半身、下半身、両手足の6ピース構成となっている。原典のようにウレタンではなく硬い素材で仕上げているため、上半身と下半身を繋げて一体型であると動けなくなることから、セパレートタイプとなった。デザイン画では膨大な量のひび割れがあったが、造形に取り込むとボロボロに見えてしまうため、汚し塗装で実在感を出すイメージで造っている。原典のくびれがない寸胴の体や垂れ目は変えず、機械としてのかっちりしたパーツ感などを意識している。腹部の丸いパーツは原典ではラメが入ったザラッとした質感の表面だったが、質感の違う金属らしさが欲しいという監督の田口の要望を受け、ツルッとしたイメージで仕上げている。基本的にロボット怪獣の多くは表面はツルッと仕上げているが、本作品のセブンガーにはカットしたウレタンにラテックスを付け、その表面を何回か叩く処理を繰り返すことで粒々状にしている。アクターの頭上に頭部が位置することから覗き穴は設けられていないが、首周りのスリットやシャッター部分の内側に紗幕が貼られ、胸部正面1対の台形部分などに複数の覗き穴が設けられており、比較的広範囲が見渡せるようになっている。アコーディオン構造の手足の関節の蛇腹はスムーズに大きく曲げ伸ばしが可能であり、関節の位置は梶川の関節に合わせて変更しているほか、関節のジャバラ部分の大きさなども彼の要望で変更している。ノズル部分は焼けたチタンをイメージしており、デザイン画では茶色く汚されていたが、火薬を使うことから、金属の焼け表現としてクリアブルーとクリアオレンジを吹いて塗装表現を施している。実際にバッテリーパックは脱着が可能。顎下のパネルラインはデザイン画にはなく、造形で追加されたものである。本来の瞳は円形にレーザーカットした黒いアクリル板が接着していることから取り外せず、現場で制作された×目パーツや取り外しが可能な瞼パーツを角度を変えて取り付けることにより、表情に変化を加えている。レンズには自動車のヘッドライトを意識してオリジナルにはないモールドを施しているが、これがないと光源が点になり、必要以上にメカメカしく見えてしまい、ある程度均質でありつつ光源の存在を感じられ、面で光っても味気ないため、その中間を狙っている。目の電飾はキャップになっている目のシリンダーの後端で操作される。目の上の庇の部分は細いため、折れにくい心を入れて硬い布で挟み、アクション時に曲がったり折れたりせず、芯が折れても脱落しないように工夫している。足裏は原典では踵に染みのような汚れが少し付いていたことから、それをディテールとして追加している。硬芯鉄拳弾は手首があらかじめ外れる構造で、手袋タイプとは別に握り拳用のパーツが作られ、発射後は胴体内にアクターの右腕を引き込み、ダミーの腕を通してノズルに対応するモールドを施したキャップを断面に被せ、表現している。背中の飛行ユニットは脱着可能で、鉄芯が入っているため、火薬を現場で着地時に仕込む際に再固定や取り外しがしやすくなっている。超硬芯回転鉄拳は新規造形で、3Dプリンターで出力したドリルに持ち手を付け、本体のイメージに合わせたディテールを追加して制作しており、アクターが内部に渡された木製のグリップを掴んで把持している。 原典のセブンガー同様、両手を上げて力こぶのポーズをしている。梶川は、人間が動く時の無駄な予備動作を無意識にするのをやらないようにしたり、倒れる際に手を突いて受け身をとらずに直立したまま倒れたり、物が当たってもリアクションを取ったりしないなど、人の柔らかさを出さないようにしている。 メイン監督の田口清隆によれば、スーツが現存して使える味方ロボットはウインダムぐらいであったが、それではインパクトがないため、『ゴジラvsスペースゴジラ』のモゲラのようなインパクトがあり、現代にウケる可愛らしさのあるセブンガーを考えた。セブンガーの登場をプレゼンした際に周囲は引き気味な反応であったが、田口は近年はノーバやペガッサ星人ペガ、ブースカなどの可愛らしいキャラクターがウケていたため、女性の怪獣ファンも増加していることから、そのようなキャラクターがウケる土壌があり、かわいい路線が求められていると感じたことから、セブンガーも人気が出ると確信していたと述べていたほか、結果としてソフビの売れ行きが好調となるなど自身の理論は正しかったと述べている。キングジョーやメカゴモラなどカッコイイメカとする案も挙がっていたが、田口は最初から強くてはウルトラマンが不要になってしまうと考え、最初は弱いところからキングジョーへ向けて段階的に恐ろしい兵器として強化していくことを主張したという。 レギュラーセットに作りこまれたコクピットのセットは、あえて狭く設計されており、ロボットのアクションに対して煙や火花などの効果との絶妙なシンクロなど、細かな演技でアクションを見せている。 46年ぶりのテレビシリーズ登場に容姿や活躍が相まって、第1話放送後にはTwitterで「セブンガー」がトレンド入りを果たしたほか、店頭に並んでいた人形が初週に品切れになったことが報じられている。
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