ジム・クゥエル ジム・クゥエルの概要

ジム・クゥエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:17 UTC 版)

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作中の軍事勢力のひとつである地球連邦軍特殊部隊「ティターンズ」の量産機で、「ジム・カスタム」の改修型。「ティターンズカラー」と呼ばれる黒と濃紺の機体色が特徴で、『0083』より未来の時代を描いた『機動戦士Ζガンダム』の前半主役機「ガンダムMk-II」に通じる形状と機構を持つ。『0083』のエピローグでわずかに登場するのみで、活躍シーンはない。

当記事では、雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場する本機をベースとした試作実験機群の解説も記述する。

デザイン

メカニックデザインカトキハジメ。本機は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の最終話が発売される前に劇場版が公開されることが決まり、本編の原画が描かれた後に設定画が起こされるという特殊な例となった。そのため、原画と設定画で形状の一部相違が見られる(原画ではヒジ関節部がマルイチモールド。脚部は系列機ジム・カスタム同様、膝にスラスター、足首上の対地マルチセンサーの欠如など)。

また、プラモデル「1/100 マスターグレード ジム・クゥエル」の製作に伴って新たに設定画が描き起こされた際、当初の設定画とは全体的に印象が異なる直線的なイメージへ変更されており、特にランドセルに関しては、各部のバランスがリデザインされている(先に発売されたガンダムNT-1の金型を一部流用してのキット化という事情も重なり、デザインの統合性を重視しなければいけなかった)。カラーリングに関しても当初の灰色と黒の組み合わせから、ガンダムMk-IIを意識した濃紺中心の組み合わせへと変更されている。

設定解説

諸元
ジム・クゥエル
GM QUEL
型式番号 RGM-79Q
ARZ-79GQ(レジオン)
所属 ティターンズ
レジオン
建造 ルナツー
生産形態 量産機
頭頂高 18.0m
本体重量 39.8t
全備重量 56.3t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
出力 1,420kW
推力 27,000 kg×2(背部)
1,870 kg×4(足部裏側)
(総推力)61,480kg
武装 頭部60mmバルカン砲×2
ビーム・サーベル
ジム・ライフル
ビーム・ライフル
シールド
搭乗者 アルファ・A・ベイト
ベルナルド・モンシア
チャップ・アデル
フォルド・ロムフェロー
アーネスト・マクガイア
ヒューイット・ライネス
ソウイチ・オビノ
ジェリド・メサ
カクリコン・カクーラー
エマ・シーン
地球連邦軍(ティターンズ)一般兵
民間軍事会社「テミス」所属パイロット

ジオン公国軍残党の掃討やスペースコロニー内での治安維持任務用に配備された、ティターンズ初期の主力機[1]。機体名称の「Quel」には「鎮圧する(quell)」という意味と共に「地球の法と権限を行使する(Qualified to Use Earthly Law 又は QUalified to Enforce the (Earth) Law)」という意味が込められている[2]

基本構造はガンダムNT-1に連なるオーガスタ系の機体で[2]デラーズ紛争期にエースパイロット向けに配備されたジム・カスタムをベースとしている[1]。ただし、ジャミトフ・ハイマンの意向により自らの政治生命を危うくさせるガンダム開発計画の反映や、アースノイドとしてのプライド故にジオン公国系の技術導入を由としなかったため、開発は旧ジオニック社の技術者が多く在籍するアナハイム・エレクトロニクスなど民間企業の協力を介さず、アースノイドで構成されたルナツー工廠内で独自に行われた[2][注 1]。ジム・クゥエルはジム・カスタムの基礎設計を踏襲しながらも、コロニー内での戦闘に則したセンサーの強化、対人制圧用の脚部センサー設置などが行われている[2]。比較的加重の負担が少ない腕部構造に限定し、後のムーバブルフレームの前身的機構が試験的に採用されている[2][注 2]

宇宙世紀0083年12月から運用を開始[1][注 3]。コクピットは宇宙世紀0084年時点では従来型[3]だが、宇宙世紀0085年時点でリニアシート式に換装された機体が存在する[注 4]

ジムのバリエーション機のほとんどが白系統の塗装であるのに対し、本機はティターンズカラーである黒系統の塗装が施されている(例外としてコンペイトウ所属の連邦軍仕様の機体は、ジム改と同様の塗装が施されている)。ティターンズテストチームに配備されたうちの1機は、ガンダムヘッドの装備や強化パーツの追加・パーツ交換などの改造が施され、実験機RX-121ガンダムTR-1[ヘイズル]として用いられた。ガンダムヘッドに改修しただけの予備機もあり、こちらも後日改修を受けてRX-121-2の型式番号を得たガンダムTR-1[ヘイズル2号機]となった。

同じく連邦系の技術だけで作られたジムII同様、グリプス戦役時にはすでに旧式化し、第一線を退いていた。

武装

頭部60mmバルカン砲
頭部に2門内蔵される近接戦用機関砲。初代ガンダムより受け継がれてきた連邦系MSの伝統的な武装。
ビーム・サーベル
型式番号:XB-G-1065H
ガンダムNT-1以降の機体に採用されたセンター配置型エネルギーサプライユニットに対応した、ビーム・サーベル。グリップ内蔵のエネルギーCAPシステムと、マニピュレータープラグ双方からのドライブが可能なデュアルサプライデバイス方式を採用している。ジム・カスタムに採用されたXB-G-1019H型のマイナーチェンジモデルで、基本性能はほぼ同等。
ジム・ライフル
型式番号:HFW-GR・MR82-90mm
90mmの実体弾を連続発射する射撃装備。ジム・カスタムに採用されたものと同一装備で、発砲時の排莢機構を省略したケースレスタイプの弾丸を使用する。ジム・クゥエルは任務の性質上市街地での運用場面が多く、こうした機構は周囲の建造物や民間人に余計な被害を与えることなく、任務遂行の円滑化に貢献している。
ビーム・ライフル
型式番号:BOWA・BR-S-85-C2
ジムIIなど、別系列の機種にも広く使用されるビーム・ライフル。ビームスプレーガンの生産ラインを流用して作られた廉価モデルだが、出力や稼働時間面での改良が加えられており、充分に実用的な性能を持つ。
型式番号:XBR-M84a
コンペイトウ方面軍所属機体では、ガンダムTR-1[ヘイズル]と同型のビーム・ライフルを装備した機体が存在したとの説もある[5]。『Re-Boot』にて、火星に持ち込まれた機体はアーリー・ヘイズルも含め、2連結Eパック方式ショートバレルタイプを使用している。このため、腰部にEパックを2個マウントできるホルダーが追加されている。
シールド
型式番号:RGM・M-Sh-ABT/S-0019S
別系列機にも広く普及された防御兵装。着弾時の効率的な運動エネルギーの減免・拡散を目的とした曲面主体のフォルムを持つ。表面には特殊コーティング処理が施され、ビーム兵器に対してもある程度の耐久性を持つ。裏面にはマシンガンの予備マガジンを計2基マウント可能。

劇中での活躍

OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、ラストシーンに新たに結成されたバスク・オム率いるエリート部隊ティターンズの戦力として登場する。また、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』では警備を行っているシーンなどがある。劇場版『Ζ』に登場のものはティターンズカラーのガンダムMk-IIに準じた塗装になっており、ガンダムMk-IIと同型のバックパックを装着した機体も登場する。なお、いずれも止め画かそれに近い状態で、これといった活躍はしていない。

劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、宇宙世紀0087年にオーガスタ研究所に配備されている1機が1カットのみ登場する。

プラモデル 1/100 マスターグレードモデルに添付されたインスト掲載のエピソードでは、エアーズ市におけるMSを持ち出した過激な労働組合の闘争行動を瞬時に鎮圧している。その事件を描いた漫画『GUNDAM LEGACY』にはフォルド・ロムフェロー大尉の搭乗機として本機が登場しており、ザクII F2型のザクマシンガンの直撃をシールドで防ぎきっている。

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』では、下記のガンダムTR-1[ヘイズル]のベースとなっているほか、後に2号機となる予備機が配備されていた。また、コンペイトウ方面軍の一般部隊用の機体として通常のジムと同様の赤と白のカラーリングが施された機体が登場している[5]

続編雑誌企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』では、火星に流れ着いたティターンズの残党が所持していた機体を火星のジオン残党組織レジオンに譲渡。ある程度MS配備にめどがついた後は、アリシア・ザビによる反逆した兵士の復帰を賭けたデスゲーム「ウサギ狩り」の搭乗MSに使用(制限時間生き残れば復帰の権利を得るが、実質なぶり殺しの標的)される。このため、火星の地表には本機の残骸が散らばっている。劇中のゲームでは、アリシア親衛隊所属のガンダムTR-6[キハールII]による連携攻撃によって玩具にされるが、一瞬の隙を突いて反撃、人質を取りゲームクリア目前となるが、最後はアリシア操縦のガンダムTR-6[リハイゼ]に破壊されている。そのほか、反乱兵がレジオンから奪い、頭部をガンダムタイプにして使用している機体が登場している。

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、民間軍事会社「テミス」に払い下げられており、同社所属機としてコンペイトウ駐留部隊の機体に類似したカラーリング(肩アーマーが赤)の機体が登場している[6](「テミス」のエンブレム・マーキングを外した機体も存在する[7])。

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では、反ティターンズ組織「ケラウノス」追撃部隊の機体として登場している(ヒューイット・ライネス大尉機とソウイチ・オビノ少尉機。オビノ機大破後はアーネスト・マクガイア少尉機が補充)。

漫画『ガンダムEXA』では、脱走したゼロ・ムラサメ追跡のためにジェリド・メサカクリコン・カクーラーエマ・シーンの3人が本機に搭乗している。

アーリー・ヘイズル

雑誌企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場。ティターンズ残党がレジオンに合流した際に持ち込んだジム・クゥエルを、元ティターンズ兵が武装蜂起した際に奪取し、予備パーツとして残っていたガンダムTR-1の頭部に差し替えた機体。性能は頭部を変更しただけなので、ジム・クゥエルと変化はない。


注釈

  1. ^ 腹部コクピットハッチのほか、額中央、頭部側面インテーク、胸部左に増設されたセンサーなどに、後のRX-178 ガンダムMk-IIへと繋がる意匠が認められる。
  2. ^ 胸部複合インテーク・ダクトおよびバックパックは、ジム・カスタムと同じくオーガスタ系ガンダムであるガンダムNT-1に準ずる形状のものが設置されている。
  3. ^ 宇宙世紀0083年のティターンズ設立計画書によれば、そもそもはオーガスタ研究所で開発されて宇宙世紀0084年に地球連邦軍の各部隊に配備予定であったものを、前倒しでティターンズに配備し、専用機として運用することとなった。
  4. ^ ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』第1巻による[4]。同書137頁には「ジム・クゥエルの近代化改修」との記述があるが、これがリニアシート式への換装を指すかは不明。
  5. ^ コンペイトウ配備機の作例にはTRマーキングが残ったままになっている[10]
  6. ^ ソール部と頭部センサーはバーザムと関連づけられていることはムック『ADVANCE OF Z 〜ティターンズの旗のもとに〜 Vol.4』のアドバンスド・ヘイズルの記事で言及[11]
  7. ^ A.O.Z Re-Bootで次世代量産型試作機の画稿が「ヘイズルアウスラ」、Vol.24で次世代量産機が「ヘイズル・アウスラ」表記。Vol.25には「アドバンスド・ヘイズル」表記もある。
  8. ^ 書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』では実機が存在したかのように書かれている。
  9. ^ サイコ・ブレード」とする資料もあるが[15]、本機へのサイコミュ搭載に言及した資料はない。

出典

  1. ^ a b c 『HGUC 1/144 ジム・クゥエル』バンダイ、2007年1月、組立説明書。
  2. ^ a b c d e 『1/100 MG ジム・クゥエル』バンダイ、1999年12月、組立説明書。
  3. ^ GUNDAM LEGACY』第3巻、角川書店、2009年4月。(ISBN 978-4-04-715181-9)
  4. ^ ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』第1巻、アスキー・メディアワークス、2011年3月、169頁。(ISBN 978-4048704564)
  5. ^ a b 『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに Vol.2』メディアワークス、2003年12月、74-75頁。(ISBN 978-4840225892)
  6. ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』第7巻、角川書店、2013年9月、3頁。(ISBN 978-4041208410)
  7. ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』第1巻、角川書店、2010年12月、159頁。(ISBN 978-4047155923)
  8. ^ 「U.C. ARMS GALLERY」『電撃ホビーマガジン』2006年9月号、付録、アスキー・メディアワークス。
  9. ^ 「A.O.Z Re-Boot Vol.07」『電撃ホビーマガジン』2014年7月号、アスキー・メディアワークス。
  10. ^ a b 『電撃ホビーマガジン』2012年6月号、アスキー・メディアワークス、73-74頁。
  11. ^ 『ADVANCE OF Z 〜ティターンズの旗のもとに〜 Vol.4』アスキー・メディアワークス、2006年1月、40-41頁。(ISBN 978-4840233576)
  12. ^ 「TITANS 蒼き巨人」『電撃ホビーマガジン』2012年6月号、アスキー・メディアワークス、63頁。
  13. ^ 「A.O.Z Re-Boot Vol.03」『電撃ホビーマガジン』2014年3月号、アスキー・メディアワークス。
  14. ^ Vol.23左上「バーザム(ティターンズ仕様)」解説に記述。
  15. ^ HG 1/144 ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ・ラーII](ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに)”. プレミアムバンダイ. BANDAI SPIRITS. 2020年7月27日閲覧。
  16. ^ A.O.Z Re-Boot Vol.23 ページ右上
  17. ^ a b 電撃ホビーマガジン2015年7月号(最終号)A.O.Z Re-Boot Vol.19。
  18. ^ A.O.Z Re-Boot Vol.23
  19. ^ 「A.O.Z Re-Boot Vol.20」『電撃ホビーウェブ』KADOKAWA


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