戦争
『史上最大の作戦』(アナキン他) 1944年6月6日。連合軍は悪天候をついて、ノルマンディー上陸作戦を敢行した。早朝の大兵団の上陸に先立って、深夜に落下傘部隊が降下する。その報告を受けたドイツ本国の司令部は、これを重大視せず、就寝中のヒトラー総統を起こさなかった。朝になりヒトラーは起床するが、ひどく機嫌が悪いので、将官たちは、ノルマンディーへの戦車部隊派遣を進言できない。激しい戦闘の後に、その日、連合軍はノルマンディーを制圧した。
★2.朝鮮戦争。
『最前線』(マン) 朝鮮戦争勃発から2ヵ月余りの1950年9月。北鮮軍の激しい攻撃に、米軍は劣勢だった。最前線で孤立したベンソン中尉以下17人の小隊は、来合わせた他の部隊の2人と合流し、味方の陣地まで退却を開始する。北鮮軍の狙撃・砲撃・地雷原によって、米兵は1人また1人と倒れる。しかしベンソン中尉たちは、北鮮軍の陣取る465高地を果敢に攻撃し、敵を全滅させて高地を奪取する。生き残ったのは3人だけであった。
★3a.ベトナム戦争。
『プラトーン』(ストーン) クリスは大学を中退してベトナムでの兵役を志願した。彼の配属された小隊(プラトーン)の隊長バーンズは、ベトナムの村人たちを平気で殺す冷酷な男だった。班長エリアスがバーンズを激しく非難し、2人は対立する。エリアスが単身で斥候に出た時、バーンズは彼を銃撃して置き去りにした。エリアスは戦場に取り残され、戦死する。クリスは、バーンズの卑劣な行為を憎む。ベトコンの大部隊との戦闘が行なわれ、かろうじて生き残ったクリスは、バーンズが重傷を負って倒れているのを見、彼を射殺した。
*→〔ロシアン・ルーレット〕3の『ディア・ハンター』(チミノ)。
『7月4日に生まれて』(ストーン) 7月4日(=アメリカ独立記念日)生まれの愛国青年ロンは、海兵隊に志願してベトナムへ派遣される。彼は戦場で重傷を負い、下半身不随となって帰国する。そのころアメリカでは、「ベトナム戦争は誤りだ」との声が高まり、車椅子のロンは必ずしも英雄視されなかった。彼は酒におぼれ、娼婦を買う。やがてロンは「自分たちは政府に騙されて、戦地へ送り込まれたのだ」と考えるようになり、「即時停戦・兵士帰還」を求める反戦デモの先頭に立つ。
『ランボー』(コッチェフ) ランボーは、特殊部隊グリーンベレーの一員としてベトナムで戦った。彼は戦場では英雄だったが、故国アメリカへ帰還すると、ベトナム戦争を批判する人々の冷たい目にさらされ、就職さえ思うにまかせなかった。田舎町を通りかかったランボーは、犯罪をおかす可能性ありと見なされ、逮捕される。ランボーは警察署から脱出し、山に逃げ込んで警察や軍隊と闘う。夜には町へ戻り、ガソリンスタンドや銃砲店を爆破する。軍隊時代の上官の説得によって、ランボーはようやく投降する。
★4.核戦争。
『世界大戦争』(松林宗恵) 戦後16年(=昭和36年)。日本は復興し、人々は平和な生活を享受できるようになった。しかし世界情勢は緊迫し、ついに第3次世界大戦が勃発して、ミサイルが主要都市をねらう。東京は、避難しようとする人々で大混乱になる。運転手の田村茂吉は、妻と子供3人の5人家族である。彼らは避難せず、家族そろって最後の食卓を囲む。長女の結婚、次女のスチュワーデスになりたいとの夢、長男の大学進学。田村一家の願うささやかな幸福は、水爆によってすべて無に帰した。
*核戦争に備えて地下の洞窟で暮らす→〔箱船(方舟)〕2の『方舟(はこぶね)さくら丸』(安部公房)。
*核を使わぬ第3次世界大戦→〔相打ち〕4の『秘密兵器』(ブッツァーティ)。
『博士の異常な愛情』(キューブリック) アメリカ空軍のリッパー将軍が発狂し、爆撃機編隊にソビエトへの水爆投下を命ずる。アメリカ大統領がソビエト首相に電話して、事情を説明し、爆撃機の撃墜を依頼する。しかし1機が水爆を投下する。自動的にソビエトからは、報復のため多数の水爆が発射される。撒き散らされる死の灰で、人類滅亡は必至である。ストレンジラブ博士が、「選ばれた人間が地下深くに避難し、生き残るべきだ」と大統領に説く。地球上のあちらにもこちらにも、キノコ雲が立ち昇る。
『生きものの記録』(黒澤明) 初老の工場経営者中島は、原水爆戦争と核実験の死の灰を恐れ、「もう日本には住めぬ。南米なら安全だろう」と考えて、家族ともどもブラジルへ移住しようとする。家族は大反対し、中島が工場を処分したり南米の土地を買ったりせぬよう、彼を準禁治産者にする。中島は「皆は工場に執着しているのだ」と思い、放火して工場を全焼させる。中島は精神病院に収容され、「地球を脱出して安全な星に来たのだ」と喜ぶ。彼は窓外の夕陽を見て、「おお。地球が燃えているぞ」と叫ぶ。
『走れ、走りつづけよ』(大江健三郎) 「僕」の従兄は東大の学生時代、「走れ、走りつづけよ!」と5ヵ国語で記した格言を部屋の壁に貼り、国際的に活躍するエリートを目指していた。しかし従兄は、先祖からの狂気の遺伝により、ホテルの壁伝いに米国人女優の部屋への侵入を試み、墜落して下半身不随になった。従兄は言った。「このような身体になってしまったからこそ、まもなく起こるであろう核戦争による死を、冷静に受け入れることができるのだ」。
*→〔病気〕6bの『古今著聞集』巻2「釈教」第2・通巻51話の、病気の苦痛があるゆえに菩提を求める、というのと同様の考え方。
『サンダーボール作戦』(ヤング) 国際犯罪組織スペクターが、NATO(北大西洋条約機構)の爆撃機から原爆2発を盗む。スペクターは、イギリス政府に「1週間以内に1億ポンド支払え」と要求し、「さもなければイギリスかアメリカの主要都市に原爆を落とす」と脅迫する(*→〔時計〕2b)。政府から原爆奪還を命じられたジェイムズ・ボンドが、スペクターのナンバー2・ラルゴと戦い、原爆を取り戻す。
『渚にて』(クレイマー) 1964年1月、夏のオーストラリア。人々は平穏に暮らしていた。しかし北半球では第3次世界大戦が勃発し、核爆発と放射能のために、すべての生命が死滅した。科学者の計算では、5ヵ月後には、放射能がオーストラリアにも達するのであった。季節が移り、しだいに運命の日が迫って来る。病院の前では、安楽死用の薬の配給が始まった。何百人もの人が、薬を受け取るために整然とした列を作った。
『われら』(ザミャーチン) 2百年戦争によって、地球人口の8割が失われた後、緑の壁で囲まれた単一国が誕生した。単一国の国民は、D-503号、I-330号などの名前を与えられ(男性は子音+番号、女性は母音+番号)、時間律法表に従って規則正しい生活を送る。何百万人が1人の人のように起床し、同一時間に1つになって仕事を始める。単一国に「個人」は存在しない(*→〔ガラス〕6)。みな「われら」として、思考し行動するのだ→〔手術〕2b。
『白い服の男』(星新一『白い服の男』) 未来社会。「私」は、世界平和最高会議直属の特殊警察機構に勤務している。純白の制服と、腕章の鳩マークは、平和の象徴だ。人類社会から戦争を根絶するには、「戦争」という概念そのものを消さねばならない。子供の戦争ごっこ、古新聞の戦争の写真など、どんな些細な物でも、「私」たちが厳しく取り締まる。図書館では専門家たちが、書物から戦争の記述をすべて削除し、書き改めている。平和の維持が、他の何よりも優先するのだ。
『戦争はなかった』(小松左京) 昭和43年(1968)。中年男の「彼」は、人々が誰一人、大東亜戦争(=太平洋戦争)を覚えていないことに気づき、驚愕する。何者かが、人々の心から大東亜戦争の記憶を消し、その記録も破棄したらしい。しかしそれでは、この社会から重要なものが欠落してしまうのではないか。「彼」は、「戦争はあった、多くの人々が死んだ、日本は敗けた」と書いたプラカードを持って、日比谷の街頭に立つ。精神病院の医局員をよそおった憲兵が来て、「彼」をどこかへ連れ去った。
『鉄腕アトム』(手塚治)「ZZZ総統の巻」 ZZZ総統は考える(*→〔双子〕1d)。「昔は、人間は何の苦労もなくのんびりと暮らしていた。今では、人間はりこうになり過ぎ、戦争を繰り返して、やがて地球を破壊してしまうだろう。人殺し機械を作る学者や、悪賢い政治家たちの頭脳を、赤ん坊並みに退化させてしまう以外、地球に平和をもたらす方法はない」。ZZZ団は、世界をリードする学者や政治家を次々に襲って毒ガスを浴びせ、彼らを廃人にする〔*しかし鉄腕アトムがZZZ団の基地をたたきつぶし、総統を捕らえた〕。
*戦争をなくすもう1つの方法→〔両性具有〕3aの『人間ども集まれ!』(手塚治虫)。
『号外』(国木田独歩) 加ト男(加藤男爵)は日露戦争中、国家の大難を挙国一致で喜憂することに、生活の意味を見出していた。しかし戦争が終わると、彼は生きる張り合いをなくしてしまった。加ト男の飲み友達である「自分」にも、似た思いがある。銀座を歩いても、戦時中は、通りがかりの赤の他人にさえ、言葉をかけてみたい気がした。今ではまた、以前の赤の他人どうしの往来である。戦争でなく、他に何か、戦時のような心持に万人(みんな)がなって暮らす方法はないものか、と「自分」は考えた。
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