ナトリウムイオン(+)とは? わかりやすく解説

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ナトリウムイオン(+)


ナトリウム

(ナトリウムイオン(+) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 05:07 UTC 版)

ネオン ナトリウム マグネシウム
Li

Na

K
11Na
外見
銀白色


ナトリウムのスペクトル線
一般特性
名称, 記号, 番号 ナトリウム, Na, 11
分類 アルカリ金属
, 周期, ブロック 1, 3, s
原子量 22.98976928(2) 
電子配置 [Ne] 3s1
電子殻 2,8,1(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 0.968 g/cm3
融点での液体密度 0.927 g/cm3
融点 370.87 K, 97.72 °C, 207.9 °F
沸点 1156 K, 883 °C, 1621 °F
臨界点 (推定)2573 K, 35 MPa
融解熱 2.60 kJ/mol
蒸発熱 97.42 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 28.230 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 554 617 697 802 946 1153
原子特性
酸化数 +1, 0, −1
(強塩基性酸化物)
電気陰性度 0.93(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 495.8 kJ/mol
第2: 4562 kJ/mol
第3: 6910.3 kJ/mol
原子半径 186 pm
共有結合半径 166±9 pm
ファンデルワールス半径 227 pm
その他
結晶構造 体心立方構造
磁性 常磁性
電気抵抗率 (20 °C) 47.7 nΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 142 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 71 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 3200 m/s
ヤング率 10 GPa
剛性率 3.3 GPa
体積弾性率 6.3 GPa
モース硬度 0.5
ブリネル硬度 0.69 MPa
CAS登録番号 7440-23-5
主な同位体
詳細はナトリウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
22Na trace 2.602 y β+γ 0.5454 22Ne*
1.27453(2)[1] 22Ne
εγ - 22Ne*
1.27453(2) 22Ne
β+ 1.8200 22Ne
23Na 100 % 中性子12個で安定

ナトリウム: Natrium [ˈnaːtriʊm]: Natrium)は、原子番号11の元素、およびその単体金属のことである。ソジウムソディウム: sodium [ˈsoʊdiəm])、ソーダ曹達)ともいう。元素記号Na原子量22.99。アルカリ金属元素、典型元素のひとつ。

名称

ナトリウムという名称は、天然炭酸ソーダを意味するギリシャ語νίτρον[2]、あるいはラテン語natronナトロン[3]に由来するといわれている。

ドイツ語では Natrium英語では sodium と呼ばれる。いずれも近代にラテン語として造語された単語である(現代ラテン語では natrium が使われる)。日本ではドイツ語から輸入され、ナトリウムという名称が定着した。元素記号はドイツ語からNaになった一方、IUPAC名は英語から sodium とされている。

日本では、薬学栄養学などの分野でソジウムソディウム: sodium [ˈsoʊdiəm])ともいう。工業分野では(特に化合物中において)ソーダ曹達)と呼ばれている[注釈 1]

歴史

1807年ハンフリー・デービー水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を電気分解することにより発見した。

危険性

毒物および劇物取締法により劇物に指定されている[4]

消防法第2条第7項及び別表第一第3類1号により第3類危険物に指定されている。

鉛ビスマス合金ほどではないにせよ溶解、あるいはナトリウム中の不純物により金属容器を腐食することがあるので、冷却材として用いる際はこれら化学的な腐食による漏出に注意する必要が有る。[5]

ナトリウム
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H260, H314
Pフレーズ P223, P231+232, P280, P305+351+338, P370+378, P422[6]
EU分類 F C
EU Index Danger
NFPA 704
2
3
2
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

単体

性質

常温、常圧での結晶構造は、BCC構造(体心立方構造)。融点は98 °Cで、沸点は883 °C。比重は0.97で、わずかにより軽い。

非常に反応性の高い金属で、塩基に侵され、水と激しく反応し、水酸化ナトリウムとなり水素も放出するため、空気中の酸素と水素が混ざり合った後に反応熱によって点火されると、爆発することもある。水と反応すると下記に示される化学反応過程を経て水酸化ナトリウムになるため、素手で触ると、手の表面にある水分と化合し、水酸化ナトリウムとなって皮膚を侵す。さらに空気中で容易に酸化されるため、天然には金属ナトリウム単体は存在しない。保存する際は灯油に浸ける。後述の化学反応に示すように、アルコールなどのプロトン溶媒とも反応するがエーテルや灯油とは反応しないため、灯油などを保存液体として使用する。イオン化する時は一価の陽イオンになりやすい。炎色反応黄色を呈する。

200 GPa(約200万気圧)の高圧下では、結晶構造が変化し、金属光沢を失い透明になる[7]

生産

水酸化物や塩化物を融解塩電解することによって単体を得られる。カストナー法(原料NaOH)、ダウンズ法(原料NaCl)が知られる。海外ではフランスのMAAS社とアメリカのDuPont社がダウンズ法で生産している[8]。日本の輸入量は2007年で3055トンであった[9]。またカストナー法は工業生産としては使用されていない。

用途

熱伝導率がよく、高温でも液体で存在するため、単体としては高速増殖炉冷却材として用いられる。融点が低いため、エンジンの排気バルブのステムを中空にして部分的にナトリウムを封入し、バルブ動作に伴う溶融ナトリウムの運動によりバルブヘッドを冷却する用途にも使われる。そのほかに、負極にナトリウム、正極に硫黄を使ったNaS電池がある。これは大型の非常用電源や、風力発電のエネルギー貯蔵に利用される。トンネルの中などに使われている発光(ナトリウムのD線、D1:589.6 nmとD2:589.0 nm)はナトリウムランプである。二本に分裂するのは3p軌道のスピン軌道相互作用によるものである。

生体にとっては重要な電解質のひとつであり、ヒトではその大部分が細胞外液に分布している。神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウムイオン濃度差が不可欠である。細胞外濃度は135–145 mol/m3程度に保たれており、細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムイオンの過剰摂取は濃度維持のための水分貯留により、高血圧の大きな原因となる。

おもな化学反応

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