シアノ水素化ホウ素ナトリウムとは? わかりやすく解説

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シアノ水素化ホウ素ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/15 13:33 UTC 版)

シアノ水素化ホウ素ナトリウム
シアノ水素化ホウ素ナトリウム
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.043.001
EC番号
  • 247-317-2
PubChem CID
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
NaBH3CN
モル質量 62.84 g/mol
外観 白色粉末
密度 1.20 g/cm3
融点 241 ℃(分解)
可溶、反応
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
可燃性固体、飲み込んだ場合・皮膚に接触した場合・吸入した場合に致命的、酸と接触すると非常に有毒なガスが発生、水と接触すると引火性が高いガスが発生
GHS表示:
Danger
H228, H300, H310, H314, H330, H410
P210, P260, P264, P273, P280, P284
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 3: Liquids and solids that can be ignited under almost all ambient temperature conditions. Flash point between 23 and 38 °C (73 and 100 °F). E.g. gasolineInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazards (white): no code
4
3
2
作業環境許容濃度 (TLV) 5 mg/m3 (TWA)
安全データシート (SDS) Sigma Aldrich[1]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

シアノ水素化ホウ素ナトリウム(シアノすいそかほうそナトリウム、sodium cyanoborohydride)は、化学式が NaBH3CN と表される無機化合物。無色の塩で、有機合成化学においてイミンの還元に用いられる。

合成と利用

シアノ水素化ホウ素ナトリウムを合成するためには、ボランシアン化ナトリウムを反応させるか、もしくは水素化ホウ素ナトリウムシアン化水銀(II)を反応させる。電子求引基であるシアノ基を持つことから、 アニオンの求核性は アニオンよりも弱められている[2]

シアノ水素化ホウ素ナトリウムはイミンアミンへと還元する穏和な還元剤である。アルデヒドケトンのようなカルボニル化合物と、1級アミンとを共存させてシアノ水素化ホウ素ナトリウムを作用させると、脱水縮合により系中で発生するイミンが還元されることで、2級アミンが得られる。アンモニアを用いると同様に1級アミンが得られる。pH 7-10 の弱塩基性条件では反応が選択的に進み、還元的アミノ化反応として利用される。

この還元反応は Borch反応として知られる[3]

シアノ水素化ホウ素ナトリウムは水と反応して分解するが、その速度は遅いため還元反応の溶媒として水系を用いることもできる[4]。環状アセタールの水素化分解にも用いられる。

脚注

  1. ^ Sigma-Aldrich Co., Sodium cyanoborohydride. Retrieved on 2014-11-09.
  2. ^ Baxter, E. W.; Reitz, A. B. Reductive Aminations of Carbonyl Compounds with Borohydride and Borane Reducing Agents in Organic Reactions, 2002, John Wiley and Sons. doi:10.1002/0471264180.or059.01
  3. ^ Borch, R. F.; Bernstein, M. D.; Durst, H. D. (1971). “Cyanohydridoborate Anion as a Selective Reducing Agent”. J. Am. Chem. Soc. 93 (12): 2897–2904. doi:10.1021/ja00741a013. 
  4. ^ Beard, T. M; Turner, N. J. (2002). “Deracemisation and Stereoinversion of alpha-Amino Acids Using D-Amino Acid Oxidase and Hydride Reducing Agents”. Chem. Commun. (3): 246–247. 



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