五酸化二リンとは? わかりやすく解説

五酸化二リン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 05:43 UTC 版)

五酸化二リン
識別情報
CAS登録番号 1314-56-3 , 16752-60-6 (P4O10) 
PubChem 14812
ChemSpider 14128 
UNII 51SWB7223J 
ChEBI
RTECS番号 TH3945000
特性
化学式 P4O10
モル質量 283.9 g mol−1
外観 白色の粉末
高い潮解性
匂い Odorless
密度 2.39 g/cm3
融点

340 °C

沸点

360 °C (昇華)

への溶解度 発熱加水分解
蒸気圧 1 mmHg @ 385 °C (安定状態)
危険性
安全データシート(外部リンク) MSDS
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード DANGER
Hフレーズ H314
Pフレーズ P280, P301+330+331, P303+361+353, P305+351+338, P310
主な危険性 水と反応、強力な脱水剤、腐食性
NFPA 704
0
3
3
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

五酸化二リン(ごさんかにリン、: Phosphorus pentoxide)はリン酸化物である。組成式 P2O5 に由来する慣用名で呼ばれるが、実際の分子の構造は十酸化四リン (P4O10) であり、近年、高校の指導要領がこれを採用したことから、十酸化四リンの名称で呼ばれることが一般的となっている。五酸化リンとも呼ばれる。

化学的性質

リンを酸素中、もしくは乾燥した空気中で燃焼させることで得られる昇華性の無色の固体。生成時に白煙を生じる。多形性を示し、3種類の結晶構造、そのほかガラス状、無定形状の5種類の変態が知られる。灰色を帯びたものは加水分解生成物などの不純物を含んでいる。五酸化二リンだけが昇華性をもつため、昇華によって精製できる。

水に対する反応性が高く、音と熱を発しながら溶解し、リン酸となる。水と反応した場合はメタリン酸が、温水との場合はオルトリン酸が生成する。このため脱水剤乾燥剤として利用される。硫酸、硝酸を脱水することができ、それぞれから三酸化硫黄五酸化二窒素が得られる。有機化合物に対しては、例えばアミドを脱水してニトリルを与える。ほか、脱水剤としての用途は広く、電球製作時の脱水剤としても用いられる。そのほか、医薬品や農薬の原料、試薬としても利用される。

強い脱水作用を有するため、人体に対しては強酸や強アルカリ同様の腐食性危険物であり、取り扱いには注意を要する。

製法

工業的にはリン鉱石 3Ca3(PO4)2•CaF2、もしくは黄リンを原料とする。黄リンを原料とする場合は単純であり、燃焼室で酸化させればよい。リン鉱石を用いた場合は、コークス、ケイ砂 (SiO2)、鉄くずと混合し、650 ℃ 程度の熱風によって燃焼させる。

生産

2000年の日本国内での生産量は、4,000トンである(リン酸は14万トン)。

出典

関連項目


五酸化二リン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 04:42 UTC 版)

白リン弾」の記事における「五酸化二リン」の解説

白リン酸化されると生じる。強力な脱水作用有し工業および実験室において乾燥剤として使用される固体人体付着した場合脱水作用により酸やアルカリのような腐食性を示すため、閉所での使用には注意促される

※この「五酸化二リン」の解説は、「白リン弾」の解説の一部です。
「五酸化二リン」を含む「白リン弾」の記事については、「白リン弾」の概要を参照ください。

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